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XXII 予期不安-IV
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「えっ」
紅茶に口を付けて早々、彼がテーブルにカップを置きソファから腰を上げる。
「ちょっと、何」
彼は真っ直ぐと躊躇い無く私に近付き、耳元に顔を近付けた。無意識的に、彼から距離を取る様に背を反らす。
「お前、今迄こんなの付けてたっけ」
彼の指先が、耳に付いたガーネットのピアスに触れた。その感覚が、耳に伝わる。
ファーストピアスの存在にも気付かなかった癖に、良くこのピアスに気付いたものだ。そう感心しながらも、マリアの存在を口にする事が躊躇われ、「ちょっと、ね」と曖昧に誤魔化した。
「ルビーか?」
「うぅん、ガーネット。瞳の色と似てるからって、人から貰ったの」
やや気まずく感じ、彼から顔を背ける。このピアスの事を、マリアの事を、詮索されたくない。
勿論マリアの事は生涯忘れる事は無いが、あまり思い出したくないのも事実だった。
ふぅん、と曖昧に相槌を打った彼が、興味が無さそうにソファの方へ戻っていく。これ以上、彼は詮索するつもりは無いらしい。しかし、どうにかピアスから完全に意識を離したかった為、適当に言葉を探し口を開いた。
「セディ、最近調子悪いね」
彼の調子が悪い事位、今更口にしなくとも分かり切っている事だ。もう少しまともに考えて発言すれば良かったと思いつつも、彼は特に気に留めた様子は無く「まぁちょっと色々な」と誤魔化す様に言った。
「エルちゃんにはまだ、何も伝えてないみたいだけど」
「……」
踏み込んだ発言をしてみれば、透かさず彼の鋭い視線が飛んでくる。
エルの話題を振ると、彼が纏うオーラは見ていて面白い程に変わる。それは恋情、愛情、羞恥、焦燥感、など、様々な感情が混ざり合ったものだ。
まるで、恋する乙女の様である。――なんて言いたくなってしまうが、そんな事を口にすれば間違いなく鉄拳が飛んでくるだろう。にやにやと抑えられない笑みを零しながらも、ついうっかり彼の神経を逆撫でする様な事を言ってしまわぬ様に口をきゅっと結んだ。
「どうせ、さっさと言って関係持てとか言いたいんだろ」
彼が、諦めた様に溜息交じりに呟いた。
「分かってんじゃん。なら話は早いね」
彼にしては、随分と話が早い。もっと手こずると思っていたが、これはもしかすると思っていた以上に早く解決するかもしれない。
そんな期待に胸を膨らませ、テーブルの上に置かれたカップを雑に端に除け身を乗り出した。顔を近付けると同時に、彼の掌が私の額を強く押し返す。幾ら幼馴染の私でも、彼のパーソナルスペースに入る事は出来ない様だ。
紅茶に口を付けて早々、彼がテーブルにカップを置きソファから腰を上げる。
「ちょっと、何」
彼は真っ直ぐと躊躇い無く私に近付き、耳元に顔を近付けた。無意識的に、彼から距離を取る様に背を反らす。
「お前、今迄こんなの付けてたっけ」
彼の指先が、耳に付いたガーネットのピアスに触れた。その感覚が、耳に伝わる。
ファーストピアスの存在にも気付かなかった癖に、良くこのピアスに気付いたものだ。そう感心しながらも、マリアの存在を口にする事が躊躇われ、「ちょっと、ね」と曖昧に誤魔化した。
「ルビーか?」
「うぅん、ガーネット。瞳の色と似てるからって、人から貰ったの」
やや気まずく感じ、彼から顔を背ける。このピアスの事を、マリアの事を、詮索されたくない。
勿論マリアの事は生涯忘れる事は無いが、あまり思い出したくないのも事実だった。
ふぅん、と曖昧に相槌を打った彼が、興味が無さそうにソファの方へ戻っていく。これ以上、彼は詮索するつもりは無いらしい。しかし、どうにかピアスから完全に意識を離したかった為、適当に言葉を探し口を開いた。
「セディ、最近調子悪いね」
彼の調子が悪い事位、今更口にしなくとも分かり切っている事だ。もう少しまともに考えて発言すれば良かったと思いつつも、彼は特に気に留めた様子は無く「まぁちょっと色々な」と誤魔化す様に言った。
「エルちゃんにはまだ、何も伝えてないみたいだけど」
「……」
踏み込んだ発言をしてみれば、透かさず彼の鋭い視線が飛んでくる。
エルの話題を振ると、彼が纏うオーラは見ていて面白い程に変わる。それは恋情、愛情、羞恥、焦燥感、など、様々な感情が混ざり合ったものだ。
まるで、恋する乙女の様である。――なんて言いたくなってしまうが、そんな事を口にすれば間違いなく鉄拳が飛んでくるだろう。にやにやと抑えられない笑みを零しながらも、ついうっかり彼の神経を逆撫でする様な事を言ってしまわぬ様に口をきゅっと結んだ。
「どうせ、さっさと言って関係持てとか言いたいんだろ」
彼が、諦めた様に溜息交じりに呟いた。
「分かってんじゃん。なら話は早いね」
彼にしては、随分と話が早い。もっと手こずると思っていたが、これはもしかすると思っていた以上に早く解決するかもしれない。
そんな期待に胸を膨らませ、テーブルの上に置かれたカップを雑に端に除け身を乗り出した。顔を近付けると同時に、彼の掌が私の額を強く押し返す。幾ら幼馴染の私でも、彼のパーソナルスペースに入る事は出来ない様だ。
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