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XXXIV 様々な思い-VII
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主犯格がエルを狙っていると分かった今、セドリックが取るであろう行動には察しがつく。体調が優れないのを良い事に、エルを自宅に監禁でもしているのでは無いだろうか。
「――私は別に、良いんだけどさ。エルちゃんと話すの好きだし、何よりエルちゃんは大切な友達だし。でも」
監禁方法までは分からないが、ポケットに意識が向いているという事は何処かに鍵を掛けた可能性が最も高い。
「鍵が1つ、足りないんじゃない?」
鎌を掛ける様な、自身の言葉。確率は五分五分であったが、セドリックから流れてくる音が僅かに変化したのが分かった。
焦りや不安を意味する、ぴりぴりとした耳鳴り。どうやら、予感は的中した様だ。
「……“喜怒哀楽の激しさは、その感情と共に実力迄も滅ぼす”」
思わず口を衝いて出たのは、昔読んだウィリアム・シェイクスピアの作品の台詞。
「……お前らしくない事言うんだな」
自身の言葉に、彼の心情が乱れる。溢れる不安や焦燥感を、必死に誤魔化している様にも思えた。
「今のはウィリアム・シェイクスピアの言葉。私が昔良く話していたの、覚えてない?」
「何となく、聞き覚えが……。作品は確か――」
作品を思い出せないのか、セドリックの言葉が止まる。そんな彼に、「ハムレット」と一言述べ頬を緩ませた。
「……間違ってることは分かってる。だけど……、エルを自分じゃない他の誰かに壊されたくないんだ」
「分かってる」
緩やかに解けていく、彼の緊張感。
彼はきっと今でも、エルを自宅に閉じ込めておきたいと願っている筈だ。しかしそれは、セドリックの為にもエルの為にもならない。それに、エルを拘束する行為にセドリックが慣れてしまえば、これから先セドリック本人が無意識のうちにエルを拘束する様になってしまうだろう。それだけは、避けなければならない。
仮にそうなったとしても、エルの性格を考えれば関係が壊れる事は無いと言える。だが、最も危惧しなければならないのは共依存。共依存者は、相手から依存される事に無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動をとらせる事で、自身の心の平穏を保とうとする。そんな共依存者を待っているのは破滅のみだ。
「自分で自分の首絞めるのは良くないね。エルちゃんなら、別に怖がったりセディを嫌ったりする事は無いと思うけど、こういう行動に慣れちゃったら色々厄介だよ」
彼が此方に向かって抛った小さな鍵を片手で受け止め、そう告げる。その瞬間、セドリックの心を黒く染める様に不安が広がっていくのを感じた。
「いつか自ら関係を壊してしまうかもしれない、他の誰かに壊される位ならいっそ、自分が彼女を壊してしまおう。って、思った事無くは無いでしょ?」
彼に憑り憑いた不穏な感情が、徐々に肥大していく。
「――私は別に、良いんだけどさ。エルちゃんと話すの好きだし、何よりエルちゃんは大切な友達だし。でも」
監禁方法までは分からないが、ポケットに意識が向いているという事は何処かに鍵を掛けた可能性が最も高い。
「鍵が1つ、足りないんじゃない?」
鎌を掛ける様な、自身の言葉。確率は五分五分であったが、セドリックから流れてくる音が僅かに変化したのが分かった。
焦りや不安を意味する、ぴりぴりとした耳鳴り。どうやら、予感は的中した様だ。
「……“喜怒哀楽の激しさは、その感情と共に実力迄も滅ぼす”」
思わず口を衝いて出たのは、昔読んだウィリアム・シェイクスピアの作品の台詞。
「……お前らしくない事言うんだな」
自身の言葉に、彼の心情が乱れる。溢れる不安や焦燥感を、必死に誤魔化している様にも思えた。
「今のはウィリアム・シェイクスピアの言葉。私が昔良く話していたの、覚えてない?」
「何となく、聞き覚えが……。作品は確か――」
作品を思い出せないのか、セドリックの言葉が止まる。そんな彼に、「ハムレット」と一言述べ頬を緩ませた。
「……間違ってることは分かってる。だけど……、エルを自分じゃない他の誰かに壊されたくないんだ」
「分かってる」
緩やかに解けていく、彼の緊張感。
彼はきっと今でも、エルを自宅に閉じ込めておきたいと願っている筈だ。しかしそれは、セドリックの為にもエルの為にもならない。それに、エルを拘束する行為にセドリックが慣れてしまえば、これから先セドリック本人が無意識のうちにエルを拘束する様になってしまうだろう。それだけは、避けなければならない。
仮にそうなったとしても、エルの性格を考えれば関係が壊れる事は無いと言える。だが、最も危惧しなければならないのは共依存。共依存者は、相手から依存される事に無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動をとらせる事で、自身の心の平穏を保とうとする。そんな共依存者を待っているのは破滅のみだ。
「自分で自分の首絞めるのは良くないね。エルちゃんなら、別に怖がったりセディを嫌ったりする事は無いと思うけど、こういう行動に慣れちゃったら色々厄介だよ」
彼が此方に向かって抛った小さな鍵を片手で受け止め、そう告げる。その瞬間、セドリックの心を黒く染める様に不安が広がっていくのを感じた。
「いつか自ら関係を壊してしまうかもしれない、他の誰かに壊される位ならいっそ、自分が彼女を壊してしまおう。って、思った事無くは無いでしょ?」
彼に憑り憑いた不穏な感情が、徐々に肥大していく。
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