DachuRa 2nd story -呪われた身体は、許されぬ永遠の夢を見る-

白城 由紀菜

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XLV 分岐点-III

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――

 The name of the woman who continues to regret is Aileen Stuart
 《後悔し続ける女性の名は、アイリーン・スチュアート》

 She is the only hope 
 《彼女こそが一筋の希望》

―― 

 書き示されているのはたった2行だけ。これは恐らく、メイベルの最後の予知であり、助言だ。
 しかし書かれている名前も、その言葉の意味も、とても理解し難い。

「――アイリーン・スチュアート……」

 読み上げる様に、その名を呟く。
 すると、目の前でぼんやりと此方を見つめていたエルが強く反応した。

「それって……! メアリーの!」

 彼女が俺の手を掴み、その紙を覗き込む。

「……この女を、知ってるのか?」

「――私が屋敷に居た頃に、とても仲の良い使用人が居たの。メアリーって名前の女の子でね。その、メアリーのお母様が、アイリーン・スチュアートという人で……」

「その母親は、今どこに?」

「そこまでは……分からないわ……。でも当時、メアリーと同じ様に“何処かの屋敷に勤めている”と言っていたのを覚えてる」

 もう一度、手元の紙に視線を落とす。
 もしこの女性が今も、何処かの屋敷に勤めていて、その屋敷がスタインフェルド家なら。
 そしてその後悔は養女の事で、ルイとレイに最も近い人物だとしたら――

「エル、紙と封筒。それとペンを用意してくれ。急ぎで手紙を出したい」

 
 ――この、アイリーン・スチュアートという女性が、娘と自分達を繋ぐ唯一のかけはしかもしれない。
 そう願いを込め、教会からの手紙を再び手に取った。
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