2 / 14
02
しおりを挟む
同い年であるラビリットとルカは屋敷以外でも顔を合わせる場所がある。
それがこのセルドニア学院である。
この学院へ通う学生のほとんどが爵位持ち。所謂貴族が通う学校である。
ルカ・マクスウェルも例外ではない。
マクスウェル家は公爵位を持つ大貴族である。
そんなルカがこの学院に通うのは当然のことなのだが、そんなルカがこの学院で納得のいっていないことが二つある。
一つ目はルカの婚約者であるラビもこの学院に通っていることだ。
ラビの家はウェルダン家と言い、伯爵の位を持つ貴族であるため、この学院に通う権利を得ているのだが、ルカはそれ自体が気に食わないのだ。
ウェルダン家の持つ伯爵位は土地を持っている貴族であるが、その領地経営が上手くいっておらず、その土地をマクスウェル家が借りる形で様々な事業を行っているのだ。
つまりウェルダン家はマクスウェル家がいなければ収支を安定させることのできない貧乏貴族というわけである。
例え婚約者であっても、ルカはなぜ貧乏貴族なんかと同じ学院に通わなければいけないのかと不服なのである。
二つ目は、ラビに友達が多いことだ。
学院で見かけるラビはいつもクラスメイトを思われる人物と行動している。
それも見かける度にいつも連れている人間が違う。
つまりラビには友達が多いということだ。
ラビのルカへの媚売りは学院内でも行われており、以前は昼食の時間になると毎日ルカのクラスの来てはお昼の誘いをしていたのだが、それをルカは無視。
ルカのクラスでは公爵の位を持つマクスウェル家に何か発言できる者はおらず、どんなにラビが可哀そうであっても、誰もルカに物申すことができないでいた。
学院中がラビとルカが婚約者の関係であることは周知の事実であったが、ルカはそんなことはお構いなしに、昼食を誘ってきたラビを無視して別の女を連れて昼食へ向かった。
ルカが苛つくのはここからである。
ルカがある程度離れた後、ラビのクラスメイトやルカのクラスメイトが何人かラビの周りに集まり、ラビを励ましている。
なぜ婚約者だからといって昼食を共に取らなければならないのか?
なぜ昼食を食べるのを断っただけで、自分が悪者みたいな扱いを受けるのか?
ルカはそれが理解できずにいた。
女と食堂へ向かう途中で横目に見たラビの表情は、泣くのを我慢して必死に笑っている、そんな表情だった。
授業が終わり、ルカが帰ろうと校門へ向かっていると、前には友達数人に囲まれながら会話をするラビがいた。
話し声こそ聞こえないものの、笑い声は聞こえる。
そしてそんなラビの表情はルカには見せたことがないほど、心の底から楽しそうに笑っていた。
あぁ、そう。
婚約者の俺にはいつも怯えたような表情しか見せないのに、クラスの連中には笑って見せんのかよ。
こいつは誰にでも媚売ってるのかよ。
きもちわりぃ。
笑っているときに、ルカが後ろにいることに気づいたラビの表情は一瞬曇ったように見えたが、すぐにぎこちない笑顔に変わり、ルカに声をかけてきた。
「ルカ。きょ、今日なんだけどね。
一度家に戻ってからルカの家に行くよ。
だから...」
「なんでお前が仕事に遅刻することを俺が言わなきゃいけねーんだよ。
大体お前がいなくても、ウチの事業は回ってんだろ。
お前なんか来なくていいだろ。」
「............ご、ごめんなさい。
そう、だよ、ね。」
ラビの表情が一気に暗くなった。
しかし、ルカにとってそんなことはどうでもいい。
ラビの真横をわざと肩がぶつかるように歩き、勢いよく尻もちをつくラビを尻目にルカは帰路に就いた。
ルカの後ろでは、ラビを心配する声がクラスメイトからかけられていたが「大丈夫」の一点張り。むしろ「ごめん、急がなきゃいけないみたい」といいクラスメイトを置いて、ルカを抜かす形で走って帰っていった。
■ ■ ■ ■ ■
ルカが家に着くと、何やら屋敷が少し騒がしかった。
メイドたちが厨房とダイニングルームを忙しなく行き来している。
なんだ?
まぁ、俺には関係ないか...
夕食まで部屋で休むか。
俺は自室に入り、鞄をベッドに投げつけ俺自身もダイブする。
窓から差し込む陽の光が妙に温かく感じ、俺はそのまま眠りについた。
どのくらいの時間が経っただろうか。
部屋に響き渡るノック音で俺は目が覚めた。
窓から差し込む陽の光は既になく、薄暗い空間の中、ノック音をする方を見て「入れ」の一言。
そこには執事がおり、夕食の準備ができたことを知らせに来た。
眠い目をこすりながらも、俺はダイニングルームへ向かう。
ダイニングルームの扉を開くと、そこにはまぶしい光景が広がっていた。
タンドリーチキンにビーフステーキ。煌びやかなスープに大きなホールケーキ。
すでに席についている両親も心なしか、嬉しそうであった。
「え、何これ?どうしたの?」
「どうしたのって、今日はルカの誕生日じゃない!」
「あぁ、そうだっけ?」
そうか、今日は俺の誕生日なのか。
完全に忘れてた。
それでメイドたちは忙しくしていたのか。
俺は手招きをする母につられ席につく。
家族そろって食事をするのは珍しいことじゃない。
メイドが次々と食事をよそって俺と両親の元へ運んでくる。
「これうまい」
「よかったわ。まだまだあるからね。
たくさん食べるのよ!」
「あぁ」
なんてことない家族の会話をしながら、食事を終え団欒の時間になった。
家族そろって食事をするほどには家族仲は悪くはないのだが、少しこっぱずかしさはある。
そんな雰囲気を察してか、父親が口を開いた。
「そういえば、ラビリットくんとは仲良くやっているかい?
彼はとてもいい子だからね。」
そして俺は思いついてしまった。
「ねぇ、誕生日プレゼントってことでさ。
ラビとの婚約を破棄してくれない?」
空気が凍った。
両親も執事もメイドも、動かなくなってしまった。
「...俺、そんなに変なこと言ってる?」
「...ラビリットくんがルカに何かしたのか?」
「何かって、そりゃ毎日俺のところに来ては媚売りしてきて正直うざいんだよね。
あいつが手伝ってるっていう仕事も別にあいつがいなくても回るだろ?
婚約者っていっても、そんな記憶もあいまいな時に決められても困るっていうかさ。」
「.........ルカはラビリットくんが、その、き、嫌いなの?」
「二人も気づいてんでしょ?俺がラビと話していないの。
それと俺がいろんな女と遊んでるの。
正直性別が嫌とはそんなんは無いけど、男なら別にラビ以外にもいい奴いるだろ?」
俺がそう言い終えると、屋敷のどこかの扉が勢いよく開いた音がした。
その音を聞いたルカの父親であるルイと執事は音の鳴った方へと走り出した。
ダイニングルームに残った母親であるリアとメイドは顔を真っ青にして、黙り込んでしまっていた。
その状況を見て、俺は察した。
あぁ、ラビが来てたんだ。
そして全部聞いてたんだ。
数十分後ルイと執事がダイニングルームへと戻って来た。
俺は間髪入れずに質問する。
「あいつは帰った?」
「ルカ...ラビリットくんが来ていると知っていて、あんなことを言ったのか?」
「いや、知らなかったよ。
でも何でいたの?サプライズでもしようとしてた?」
そう言うと、執事が何か小さな木箱を俺に渡してきた。
箱を開けるとそこには俺が以前欲しいと言っていた腕時計があった。
「こちらはラビリット様からルカ様への誕生日プレゼントにございます。
本日はそちらをプレゼントされるためにお越しになっておりました。」
「...なんであいつがこんな高価なもの買えてんの?
これなに?盗んできたもの?
気持ち悪すぎんだろ。
こんなのいらねーよ。」
そういって俺は腕時計を木箱ごと地面に叩きつけた。
叩きつけられ転がっていく腕時計の風防は砕け散り、文字盤は変形していた。
そんな腕時計を最後に踏みつけながら、俺は両親の制止も聞かずに自室へと戻った。
それがこのセルドニア学院である。
この学院へ通う学生のほとんどが爵位持ち。所謂貴族が通う学校である。
ルカ・マクスウェルも例外ではない。
マクスウェル家は公爵位を持つ大貴族である。
そんなルカがこの学院に通うのは当然のことなのだが、そんなルカがこの学院で納得のいっていないことが二つある。
一つ目はルカの婚約者であるラビもこの学院に通っていることだ。
ラビの家はウェルダン家と言い、伯爵の位を持つ貴族であるため、この学院に通う権利を得ているのだが、ルカはそれ自体が気に食わないのだ。
ウェルダン家の持つ伯爵位は土地を持っている貴族であるが、その領地経営が上手くいっておらず、その土地をマクスウェル家が借りる形で様々な事業を行っているのだ。
つまりウェルダン家はマクスウェル家がいなければ収支を安定させることのできない貧乏貴族というわけである。
例え婚約者であっても、ルカはなぜ貧乏貴族なんかと同じ学院に通わなければいけないのかと不服なのである。
二つ目は、ラビに友達が多いことだ。
学院で見かけるラビはいつもクラスメイトを思われる人物と行動している。
それも見かける度にいつも連れている人間が違う。
つまりラビには友達が多いということだ。
ラビのルカへの媚売りは学院内でも行われており、以前は昼食の時間になると毎日ルカのクラスの来てはお昼の誘いをしていたのだが、それをルカは無視。
ルカのクラスでは公爵の位を持つマクスウェル家に何か発言できる者はおらず、どんなにラビが可哀そうであっても、誰もルカに物申すことができないでいた。
学院中がラビとルカが婚約者の関係であることは周知の事実であったが、ルカはそんなことはお構いなしに、昼食を誘ってきたラビを無視して別の女を連れて昼食へ向かった。
ルカが苛つくのはここからである。
ルカがある程度離れた後、ラビのクラスメイトやルカのクラスメイトが何人かラビの周りに集まり、ラビを励ましている。
なぜ婚約者だからといって昼食を共に取らなければならないのか?
なぜ昼食を食べるのを断っただけで、自分が悪者みたいな扱いを受けるのか?
ルカはそれが理解できずにいた。
女と食堂へ向かう途中で横目に見たラビの表情は、泣くのを我慢して必死に笑っている、そんな表情だった。
授業が終わり、ルカが帰ろうと校門へ向かっていると、前には友達数人に囲まれながら会話をするラビがいた。
話し声こそ聞こえないものの、笑い声は聞こえる。
そしてそんなラビの表情はルカには見せたことがないほど、心の底から楽しそうに笑っていた。
あぁ、そう。
婚約者の俺にはいつも怯えたような表情しか見せないのに、クラスの連中には笑って見せんのかよ。
こいつは誰にでも媚売ってるのかよ。
きもちわりぃ。
笑っているときに、ルカが後ろにいることに気づいたラビの表情は一瞬曇ったように見えたが、すぐにぎこちない笑顔に変わり、ルカに声をかけてきた。
「ルカ。きょ、今日なんだけどね。
一度家に戻ってからルカの家に行くよ。
だから...」
「なんでお前が仕事に遅刻することを俺が言わなきゃいけねーんだよ。
大体お前がいなくても、ウチの事業は回ってんだろ。
お前なんか来なくていいだろ。」
「............ご、ごめんなさい。
そう、だよ、ね。」
ラビの表情が一気に暗くなった。
しかし、ルカにとってそんなことはどうでもいい。
ラビの真横をわざと肩がぶつかるように歩き、勢いよく尻もちをつくラビを尻目にルカは帰路に就いた。
ルカの後ろでは、ラビを心配する声がクラスメイトからかけられていたが「大丈夫」の一点張り。むしろ「ごめん、急がなきゃいけないみたい」といいクラスメイトを置いて、ルカを抜かす形で走って帰っていった。
■ ■ ■ ■ ■
ルカが家に着くと、何やら屋敷が少し騒がしかった。
メイドたちが厨房とダイニングルームを忙しなく行き来している。
なんだ?
まぁ、俺には関係ないか...
夕食まで部屋で休むか。
俺は自室に入り、鞄をベッドに投げつけ俺自身もダイブする。
窓から差し込む陽の光が妙に温かく感じ、俺はそのまま眠りについた。
どのくらいの時間が経っただろうか。
部屋に響き渡るノック音で俺は目が覚めた。
窓から差し込む陽の光は既になく、薄暗い空間の中、ノック音をする方を見て「入れ」の一言。
そこには執事がおり、夕食の準備ができたことを知らせに来た。
眠い目をこすりながらも、俺はダイニングルームへ向かう。
ダイニングルームの扉を開くと、そこにはまぶしい光景が広がっていた。
タンドリーチキンにビーフステーキ。煌びやかなスープに大きなホールケーキ。
すでに席についている両親も心なしか、嬉しそうであった。
「え、何これ?どうしたの?」
「どうしたのって、今日はルカの誕生日じゃない!」
「あぁ、そうだっけ?」
そうか、今日は俺の誕生日なのか。
完全に忘れてた。
それでメイドたちは忙しくしていたのか。
俺は手招きをする母につられ席につく。
家族そろって食事をするのは珍しいことじゃない。
メイドが次々と食事をよそって俺と両親の元へ運んでくる。
「これうまい」
「よかったわ。まだまだあるからね。
たくさん食べるのよ!」
「あぁ」
なんてことない家族の会話をしながら、食事を終え団欒の時間になった。
家族そろって食事をするほどには家族仲は悪くはないのだが、少しこっぱずかしさはある。
そんな雰囲気を察してか、父親が口を開いた。
「そういえば、ラビリットくんとは仲良くやっているかい?
彼はとてもいい子だからね。」
そして俺は思いついてしまった。
「ねぇ、誕生日プレゼントってことでさ。
ラビとの婚約を破棄してくれない?」
空気が凍った。
両親も執事もメイドも、動かなくなってしまった。
「...俺、そんなに変なこと言ってる?」
「...ラビリットくんがルカに何かしたのか?」
「何かって、そりゃ毎日俺のところに来ては媚売りしてきて正直うざいんだよね。
あいつが手伝ってるっていう仕事も別にあいつがいなくても回るだろ?
婚約者っていっても、そんな記憶もあいまいな時に決められても困るっていうかさ。」
「.........ルカはラビリットくんが、その、き、嫌いなの?」
「二人も気づいてんでしょ?俺がラビと話していないの。
それと俺がいろんな女と遊んでるの。
正直性別が嫌とはそんなんは無いけど、男なら別にラビ以外にもいい奴いるだろ?」
俺がそう言い終えると、屋敷のどこかの扉が勢いよく開いた音がした。
その音を聞いたルカの父親であるルイと執事は音の鳴った方へと走り出した。
ダイニングルームに残った母親であるリアとメイドは顔を真っ青にして、黙り込んでしまっていた。
その状況を見て、俺は察した。
あぁ、ラビが来てたんだ。
そして全部聞いてたんだ。
数十分後ルイと執事がダイニングルームへと戻って来た。
俺は間髪入れずに質問する。
「あいつは帰った?」
「ルカ...ラビリットくんが来ていると知っていて、あんなことを言ったのか?」
「いや、知らなかったよ。
でも何でいたの?サプライズでもしようとしてた?」
そう言うと、執事が何か小さな木箱を俺に渡してきた。
箱を開けるとそこには俺が以前欲しいと言っていた腕時計があった。
「こちらはラビリット様からルカ様への誕生日プレゼントにございます。
本日はそちらをプレゼントされるためにお越しになっておりました。」
「...なんであいつがこんな高価なもの買えてんの?
これなに?盗んできたもの?
気持ち悪すぎんだろ。
こんなのいらねーよ。」
そういって俺は腕時計を木箱ごと地面に叩きつけた。
叩きつけられ転がっていく腕時計の風防は砕け散り、文字盤は変形していた。
そんな腕時計を最後に踏みつけながら、俺は両親の制止も聞かずに自室へと戻った。
48
あなたにおすすめの小説
異世界転生したと思ったら、悪役令嬢(男)だった
カイリ
BL
16年間公爵令息として何不自由ない生活を送ってきたヴィンセント。
ある日突然、前世の記憶がよみがえってきて、ここがゲームの世界であると知る。
俺、いつ死んだの?!
死んだことにも驚きが隠せないが、何より自分が転生してしまったのは悪役令嬢だった。
男なのに悪役令嬢ってどういうこと?
乙女げーのキャラクターが男女逆転してしまった世界の話です。
ゆっくり更新していく予定です。
設定等甘いかもしれませんがご容赦ください。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
【完結】星に焦がれて
白(しろ)
BL
気付いたら八年間囲われてた話、する? わんこ執着攻め×鈍感受け
「お、前、いつから…?」
「最初からだよ。初めて見た時から俺はお前のことが好きだった」
僕、アルデバラン・スタクにはどうしても敵わない男がいた。
家柄も、センスも、才能も、全てを持って生まれてきた天才、シリウス・ルーヴだ。
僕たちは十歳の頃王立の魔法学園で出会った。
シリウスは天才だ。だけど性格は無鉄砲で無計画で大雑把でとにかく甘えた、それに加えて我儘と来た。それに比べて僕は冷静で落ち着いていて、体よりも先に頭が働くタイプだったから気が付けば周りの大人たちの策略にはめられてシリウスの世話係を任されることになっていた。
二人組を作る時も、食事の時も、部屋だって同じのまま十八で学園を卒業する年まで僕たちは常に一緒に居て──そしてそれは就職先でも同じだった。
配属された辺境の地でも僕はシリウスの世話を任され、日々を慌ただしく過ごしていたそんなある日、国境の森に魔物が発生した。それを掃討すべく現場に向かうと何やら魔物の様子がおかしいことに気が付く。
その原因を突き止めたシリウスが掃討に当たったのだが、魔物の攻撃を受けてしまい重傷を負ってしまう。
初めて見るシリウスの姿に僕は動揺し、どうしようもなく不安だった。目を覚ますまでの間何をしていていも気になっていた男が三日振りに目を覚ました時、異変が起きた。
「…シリウス?」
「アルはさ、優しいから」
背中はベッドに押し付けられて、目の前には見たことが無い顔をしたシリウスがいた。
いつだって一等星のように煌めいていた瞳が、仄暗い熱で潤んでいた。とても友人に向ける目では、声では無かった。
「──俺のこと拒めないでしょ?」
おりてきた熱を拒む術を、僕は持っていなかった。
その日を境に、僕たちの関係は変わった。でも、僕にはどうしてシリウスがそんなことをしたのかがわからなかった。
これは気付かないうちに八年間囲われて、向けられている愛の大きさに気付かないまますったもんだする二人のお話。
番だと言われて囲われました。
桜
BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。
死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。
そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。
婚約解消されたネコミミ悪役令息はなぜか王子に溺愛される
日色
BL
大好きな王子に婚約解消されてしまった悪役令息ルジア=アンセルは、ネコミミの呪いをかけられると同時に前世の記憶を思い出した。最後の情けにと両親に与えられた猫カフェで、これからは猫とまったり生きていくことに決めた……はずなのに! なぜか婚約解消したはずの王子レオンが押しかけてきて!?
『悪役令息溺愛アンソロジー』に寄稿したお話です。全11話になる予定です。
*ムーンライトノベルズにも投稿しています。
BLゲームの主人公に憑依した弟×悪役令息兄
笹井凩
BL
「BLゲーの主人公に憑依したら、悪役令息の兄が不器用すぎてメロかった」……になる予定の第一話のようなものです。
復讐不向きな主人公×ツンツンクーデレな兄ちゃん
彼氏に遊ばれまくってきた主人公が彼氏の遊び相手に殺され、転生後、今度こそ性格が終わっている男共を粛清してやろうとするのに、情が湧いてなかなか上手くいかない。
そんな中、ゲームキャラで一番嫌いであったはずのゲスい悪役令息、今生では兄に当たる男ファルトの本性を知って愛情が芽生えてしまい——。
となるアレです。性癖。
何より、対人関係に恵まれなかったせいで歪んだ愛情を求め、与えてしまう二人が非常に好きなんですよね。
本当は義理の兄弟とかにしたほうが倫理観からすると良いのでしょうが、本能には抗えませんでした。
今日までの短編公募に間に合わなかったため供養。
プロットはあるので、ご好評でしたら続きも載せたいなと思っております。
性癖の近しい方に刺されば、非常に嬉しいです。
いいね、ご感想大変励みになります。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる