事故つがいの夫は僕を愛さない  ~15歳で番になった、オメガとアルファのすれちがい婚~【本編完結】

カミヤルイ

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事故つがいの夫は僕を愛してる

NewYearKiss

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 大晦日。
 年末恒例の歌番組を見ている理人と天音。

「あ、"きみのとなりで"、だよ!」

 自分達を繋げてくれた思い出の曲の順番がきて、天音はニコニコして理人に言った。

「うん、見てるよ」

 理人はそんな天音を「可愛いなぁ」と言いながら見つめてくる。

「僕じゃなくてテレビを見て。ほら、♪一緒にいよう、ずっといよう、奇跡が軌跡になるように♪ ……ねぇ、理人、見てってば」
「うん、見てるよ」

 そう言いながら、理人は天音が口ずさむのにリズムを合わせて頷いて、やっぱり天音を見つめてくる。

「もぅ、理人ってば。せっかく初めて二人で並んで見れるのに……」

 事故つがいになってからついこの前の春まですれ違っていた二人は、大晦日も蕎麦を食べた後は各自の部屋で年越しを迎えていた。だから今年は記念すべき二人での年越しで、一緒に思い出の歌を歌いたかった。

 ぷぅ、と天音が頬を膨らませると、理人は食べるように頬に吸い付いてくる。

「わわ」
「二人でいられるからこそ、ずっと天音を見ていたいんだよ」

 ……ま、眩しい。キラキラ王子スマイルだ。

 かっこよさに、天音はつい目を閉じてしまった。すると理人は、今度は唇を啄んでくる。

 ちゅ、ちゅく、ちゅぽん……。

 歯列を割られ、頬の粘膜も上顎のざらざらもひと通り愛撫される。舌を濃厚に絡められたあとは、舌先まで吸われて長いキスが終わった。

「ん、理人ぉ……」 
「ふふ、天音、顔が真っ赤だね。年の最後まで可愛い顔を見れて嬉しい」 

 口の端に伝った、どちらのものも混ざった雫もぺろりと舐め上げられる。

「も、も、もう! これじゃあいつもと変わらないってば」

 理人の胸に顔を押し付けて反論しても意味はなく、あははと笑われてぎゅっと抱きしめられた。

 こうして愛情を見せてくれるのは嬉しくて幸せ。でも、でも、年越しというイベントを楽しみたい天音なのだ。

「ねえ理人、忘れてないよね?」
「うん? もちろんわかってるよ。歌番組を最後まで見て、それから近くの神社に出かけて、初詣するんだよね」
「そう! 一緒に除夜の鐘をつこうね。おみくじも一緒に引きたい」

 年の瀬が近づいてから何度も確認した約束だ。何もかも初めてで、天音はワクワクしていた。 

 ……ところが。   

 歌番組の勝敗がわかる前に、ウトウトしだした天音はとうとう眠ってしまった。

「あーあ。気合が入りすぎちゃったね」

 理人は優しいため息をついて、二人の寝室に天音を運ぶ。

「神社から帰ったら初エッチしようって約束もしてたのに、残念」

 理人はすっかり眠ってしまった天音にパジャマを着せ、自分も着替えてベッドの中で抱きしめる。

 それから、髪から始まり額、鼻、両瞼、両頬、顎に8個のキス。

 続いて身体へのキスは痕を残して、100個のキスマークをつけた。

「うん、これで108キス」

 108回のキスを終えるとちょうどお正月。

「あけましておめでとう、天音。今年もよろしくね」

 理人は天音の唇に初キスを落とし、大事に大事に抱きしめ直して眠りについた。



 翌朝、眠ってしまったことにガーンとなった天音だったが 「夕方には実家に行くから、今から出かけてそれまでお正月イベント行こう」と理人に誘われ、気を取り直して着替えを始める。

「天音、暖房効いているから、リビングで着替えたら?」

 キッチンから、お雑煮の準備をしている理人の声が聞こえる。

「大丈夫~、寒くないから」

 返事をして、パジャマのズボンをまず脱いだ。

「……あれ? なんだろう、虫刺され? 蕁麻疹……?」

 太ももに、膝に、下肢に、赤い斑点が。

「!」

 鏡の前に立って、肌着も脱いで声を失った。

「な、な、な、な……理人!」

 天音が初驚きをして、大混乱に陥ったことは言うまでもない。


 おわり
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