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オメガじゃないオメガ
③
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千尋は返事もできずに身体を強張らせた。
「……入るよ」
扉が開き、就寝用の足元ランプが点けられる。光也の気配が近づいた。
「成沢さんから結果を聞いたよ。千尋、顔を上げて?」
そっと身体を包まれて、凍てついた心と身体にぬくもりが染み入ってくる。
千尋は結果を聞いてから初めて、声を上げて泣いた。
「みっくん、どうしよう!」
「千尋」
「どうしよう、僕、オメガなのにオメガじゃない!」
力強く抱き上げられ、広い胸の中にすっぽりと包まれる。涙でぐしゃぐしゃになった顔を大きな手で包まれた。
「こんなに泣いて……どうして一人で泣くの? ちゃんと俺を呼んで?」
「だって、だって。どうしよう、みっくん、僕……!」
腹の奥によどむ黒い感情が喉につっかえ、嗚咽になる。
「う……僕、はっ、オメガじゃ、ない。んぐっ……みっくんと、番えない」
「千尋、好きだよ」
「僕には、なにも、ぅう……ない。みっくんを、……っ受け入れる身体も、ないっ……!」
「それでも好きだよ」
光也は千尋の言葉すべてに愛情で答え、溢れ出る涙を唇で拭う。まるで、千尋の悲しい気持ちを一滴も余すことなく、呑み込もうとするかのように。
「みっくんと番いたかった! みっくんとずっと一緒にいたいのに……!」
「千尋、俺は千尋から離れない。ずっとずっと千尋のそばにいる」
「みっくん……」
光也の暖かさに、しだいに心が落ち着いてくる。泣いて泣いて澱を出し切り、嗚咽はしゃくり上げに変わろうとしていた。
***
「……少し落ち着いた?」
どれくらいの時間がたったのか。長い時間とり乱していたが、穏やかな声に重い瞼を開いて見上げてみれば、光也の表情は声と同様に穏やかだった。
千尋を運命の番だと言ったのに、動じていないように見える。慰めて愛情を伝えてくれはしたが、あまりにいつもどおりの様子が複雑で、千尋は小さな声を震わせて聞いた。
「みっくんは……何も思わなかった? もしかして、僕なんかと番になれなくてもいいと思ってる?」
光也の服の胸元を掴む手が震える。「こんな僕はいらない?」と聞いているようなものだ。
「仕方ないな……」
光也は千尋を膝の上に横抱きにかかえ直すと、頭の後ろに手を回して引き寄せた。
「んっ……」
唇が重なる。背中にも反対の手を添えられ、口づけがもっと深くなった。
「千尋はやっぱりわからず屋さんだね」
ちゅっ、と音を立てて唇を吸われたあと、名残り惜しそうに離れた唇から甘い囁きが漏れた。
「好きだよって、ずっと一緒にいるって、俺は言ったよ?」
「そうだけど……」
自信がない。
今はそうでもこの先、番えないオメガを重荷に思う日がくるのではないか。
ごめん、オメガじゃない千尋はいらないんだ、と言われてしまう日が来るのではないか。
「……入るよ」
扉が開き、就寝用の足元ランプが点けられる。光也の気配が近づいた。
「成沢さんから結果を聞いたよ。千尋、顔を上げて?」
そっと身体を包まれて、凍てついた心と身体にぬくもりが染み入ってくる。
千尋は結果を聞いてから初めて、声を上げて泣いた。
「みっくん、どうしよう!」
「千尋」
「どうしよう、僕、オメガなのにオメガじゃない!」
力強く抱き上げられ、広い胸の中にすっぽりと包まれる。涙でぐしゃぐしゃになった顔を大きな手で包まれた。
「こんなに泣いて……どうして一人で泣くの? ちゃんと俺を呼んで?」
「だって、だって。どうしよう、みっくん、僕……!」
腹の奥によどむ黒い感情が喉につっかえ、嗚咽になる。
「う……僕、はっ、オメガじゃ、ない。んぐっ……みっくんと、番えない」
「千尋、好きだよ」
「僕には、なにも、ぅう……ない。みっくんを、……っ受け入れる身体も、ないっ……!」
「それでも好きだよ」
光也は千尋の言葉すべてに愛情で答え、溢れ出る涙を唇で拭う。まるで、千尋の悲しい気持ちを一滴も余すことなく、呑み込もうとするかのように。
「みっくんと番いたかった! みっくんとずっと一緒にいたいのに……!」
「千尋、俺は千尋から離れない。ずっとずっと千尋のそばにいる」
「みっくん……」
光也の暖かさに、しだいに心が落ち着いてくる。泣いて泣いて澱を出し切り、嗚咽はしゃくり上げに変わろうとしていた。
***
「……少し落ち着いた?」
どれくらいの時間がたったのか。長い時間とり乱していたが、穏やかな声に重い瞼を開いて見上げてみれば、光也の表情は声と同様に穏やかだった。
千尋を運命の番だと言ったのに、動じていないように見える。慰めて愛情を伝えてくれはしたが、あまりにいつもどおりの様子が複雑で、千尋は小さな声を震わせて聞いた。
「みっくんは……何も思わなかった? もしかして、僕なんかと番になれなくてもいいと思ってる?」
光也の服の胸元を掴む手が震える。「こんな僕はいらない?」と聞いているようなものだ。
「仕方ないな……」
光也は千尋を膝の上に横抱きにかかえ直すと、頭の後ろに手を回して引き寄せた。
「んっ……」
唇が重なる。背中にも反対の手を添えられ、口づけがもっと深くなった。
「千尋はやっぱりわからず屋さんだね」
ちゅっ、と音を立てて唇を吸われたあと、名残り惜しそうに離れた唇から甘い囁きが漏れた。
「好きだよって、ずっと一緒にいるって、俺は言ったよ?」
「そうだけど……」
自信がない。
今はそうでもこの先、番えないオメガを重荷に思う日がくるのではないか。
ごめん、オメガじゃない千尋はいらないんだ、と言われてしまう日が来るのではないか。
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