生きる希望を失った青年は伯爵様の娼夫として寵愛されている

甘い甘い愛蜜の交換②

「ああ……おいしいっ」

　我慢できずにかぶりつき、口の中をリューク様の昂りでいっぱいにする。

「ふ、うぅん……ん、ん」

　歯を立ててしまいたいけれど、我慢だ。今までリューク様に躾けられたとおりに、舌や頬の粘膜をすり付けた。

　昂りが上顎に擦れると、腰からお尻の骨がじん、と痺れ、下腹がきゅう、と疼く。

「腰が揺れて、艶めかしいな、ユアル」

　髪の中に手が入り、頭を撫でられる。長い指がつつ、と頭皮を這い、お尻を高く上げた四つん這いで口淫に夢中なっているおれの耳を擽る。

「必死な君と薄桃色のふたつの丘をずっと眺めていたいが、そろそろ私にも味合わせておくれ」　
「んっ、あっ……」

　不意に腰をずらされ、口の中から昂りを取り上げられた。

　リューク様はしっかりと上半身を起こすとおれを対面で跨らせて座り、胸に吸い付く。

　ぢゅ、ぢゅ、と吸われて体が跳ねた。すかさず先走りを滴らせたおれの昂りを握り込まれて、口の中に溜まっていた唾液が唇の端から垂れる。

「ふぅんっ……リュ、ク様ぁ、おれ、すぐイッちゃうから、待って……待って」

　もっとリューク様を味わいたいのに、敏感になった胸の先を引っ張り気味に吸われ、リューク様の手には余りある昂りをにゅくにゅくと扱かれれば、快楽に踊らされて頭が真っ白になってしまう。

　目の焦点も合わなくて、大好きなリューク様の姿が霞んだ。

「や。いや……待ってって、言ってるのに、んっ、ぅう……んんんっっ！」

　涎だけじゃなく涙もこぼれる。同時に、頭の天辺から双珠へかけて、神経そのものを舐ねぶられたような刺激が走り、全身がビクビクと震えた。

「……濃いな。私が留守にしていた間、ここを触るのを我慢できたんだね。いい子だ。ユアル」

　リューク様は、痙攣しながらも力が抜けたおれをしっかりと抱きとめつつ、白濁で濡れた手で、おれの萎んだそこを再び上下にこすり始める。

「ふぁ、あぁっ、もう、イったから、手を止めて……！　いい子にしてたから、許して……！」

　快感のさらにその奥をこじ開けられそうで怖い。
　変になる。自分じゃなくなりそう。

「ユアル。まだまだこれからだぞ。やっと身体が私を受け入れる器になったんだ。この日をどんなに待ち焦がれていたか」
「……んんっ！」

　いやいやと首を振っていると、頭の後ろをがっしりと支えられた。

　食いつくようなキスをされながら、ベッドに背を戻される。
　おれのものを握っていた手はお尻の片側を掴み、指があわいに入ってきた。

　ねっとりとした白濁をまとった指先が下の口を探し当て、窄まりを広げて潜り込んでくる。

「ああ……本当にいい子だ、ユアル。中もしっかりと濡れて、私のものを呑み込むためにうごめいているよ」

　これではオイルも必要ないな、とつぶやくように付け加えたリューク様は、指を増やしておれの中を拡げていく。

　おれがはしたない声を上げてしまうところを知っている指は、やがてそこばかりを執拗に責め立て、おれを動物のようにした。

「ああ、ああっ、あんっ……！」

　なにも考えられない。声が掠れるほど、ひっきりなしに喘いでしまう。

「ユアル……そう煽ってくれるな」

　ため息交じりの切なげな声が耳元で聞こえて、飛んでしまいそうだった意識を繋ぎ止められた。

「リュ、ク様……あ、ぅうんっ」

　霞む目を声がする方に向ければ、熱を孕んだ瞳と視線が絡んで、同時に下の口から指が抜かれた。

　急な開放感は空虚感と直結していて、寂しさに切ない声が漏れる。

　けれどその次の瞬間。

「挿入するぞ」
「っあっ……！」

　熱く硬いものが下の口に充てがわれ、ぐぷりと挿し入ってきた。