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3話 努力あるのみ

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 本作品をお読みいただきありがとうございます。

 一部表現に修正を加えましたが、内容は変わっておりません。
 初めて各作品のため、表現が幼稚であったり間違いがある部分があるかと思いますが、随時修正して参ります。

 何かご意見、お気づきの点があれば、感想欄に記入していただけると嬉しいです。

 今後とも宜しくお願い致します。

                アオイ
************

--ガチャ

 突然、部屋の扉が開き人が入ってきた。

 急いだのか、髪が少し乱れているが息を切らしていないところを見ると体力があるのだろう。

 入ってきた人物が手に持っている本を見て俺は、笑顔で声をかけた。


 「急いで取ってきてくれたんだっ!ありがとうベルさん!しかも希望の本まで!持ってきてくれて本当にありがとう!」

 「いえ、私は何も。こちらご希望の本です。図書への入場の権利も貰ってきたので、もし他に必要な本があれば指示していただければ持ってきます。」

 「本当に凄いね、ベルさんは。あの父相手に、図書の入場の権利まで取ってきてくれたなんて。俺の望んだ以上の結果だよ。それに急いでくれたのに息が切れてないって事は、ベルさん相当体力あるでしょ?僕も見習って勉強頑張るね!」

 「……!勿体なきお言葉、恐縮です。それでは私は仕事があるので。」

 「そっか、他の仕事もあるもんね。忙しいところごめんね。ありがとう。はい、これ。俺のためにありがとう、冷たいお水を用意しておいたから飲んでよっ!」

 「勿体なきご配慮ありがとうございます。では。」

◆◇

 ~ベルside~

 私は、部屋を出た後もドキドキが止まらなかった。
 何を年甲斐もなくと思うだろう、いや恋とかじゃない。

 ロディ坊ちゃんは、3歳だ。それなのに色んなことに気がつく。
 
 私は、メイド長であり、暗殺を生業とする者。
 それこそ急いでいたとしても服の乱れや髪の乱れなどは、察しが付かないように隠すのに長けている。

 私の実力は、自分で言うことではないが、この国でもかなり高い方だと自負している。

 そんな私の少しの違和感を感じ取り気づく、ロディ坊ちゃん。

 入ってすぐに全身を見られ、状況整理までのスピード。
 そして、推測と気遣い。

 何をとっても3歳の子供ではない。
 しかも、教育も1歳から受けてないのにだ。

 彼の可能性は底が知れないかもしれない。
 私としたことが、当主相手よりも丁寧な対応をしてしまったことが何よりも証拠だった。

 これから、より一層、彼については調べていこう。

 そう心に決めて、いつもの仕事に戻った。

◇◆

 「……?」

 ベルさんが部屋から出て行ったけど、いつもと違う様子だったことに違和感を覚える。

 だがまぁ、小さいことは気にしない、それワ○チコワカ○コ。

 あれ?これなんだっけ?
 まぁいいか。

 俺は、早速ベルさんが持ってきてくれた本を読むことにした。

 まずは、魔法の本からだ。

 体内に流れる魔力……手に集めて……魔法はイメージ……魔素は空気中にも……水、火、森、闇、光の基本的な属性がある……詳しい魔法の方法は、それぞれの魔導書に記載がある……

 俺は、魔法の本を読み終え、パタンと本を閉じる。

 部屋にある小さな窓から日の傾きを見ると、日は天高く昇っていた。きっとお昼の時間くらいだろう。

 そろそろベルさんがお昼を持ってくるだろうから、一旦休憩にしようと伸びをしながら、本の内容を思い出す。

 内容は、魔法の基礎の本で、1歳までの間に教えてもらった内容だった。

 けど、忘れていた部分もあったからちょうど復習になって良かった。

 『使用した魔力は、時間と共に回復する。空気中の魔素が呼吸と共に体内に取り込まれ、それが魔力となる。』

 という部分なんて、生まれてこの方、魔力を使った事がないから完全に忘れていた。

 でも、魔力を使用してない時に、魔力を取り込んだらどうなるんだろうか。

 ふと、そんな疑問が頭をよぎる。
 んっじゃ、やってみっか。

 という事で、地面に座りリラックス体制をとりつつ目を閉じてみる。

 空気中の魔素か。
 ってか魔素ってなんだろうか。

 目を閉じ、さらに集中してみる。

 空気の流れを感じる。
 窓を閉め切った部屋に流れるゆったりとした空気の流れ。
 
 そんな空気の中に、俺にまとわりついてくるような空気とは少し違った流れを感じる。

 ん?これか?

 この正体不明の流れを、今度は全身の毛穴から呼吸をするようなイメージで体内に取り込んでみる。

 ん、かなり集中力がいるなこれ。

 全身を掃除機のように…そんなイメージだ。ん?掃除機ってなんだ?まぁいいか。

 そんな事を考えながら集中していくと……。

 おー凄い!かなりの勢いでまとわりついている空気が吸い込まれていくのが分かる。

 ドンドン吸収、ドンドン吸収ッ!はい、ドンドン吸収ッ!

 リズムに乗ってどんどん吸収していた時だった。
 身体に強い衝撃を受けて、俺は押し倒されたのだった。

 誰に!?

 急いで目を開けると押し倒した相手はベルさん……
 ベルさんの息は荒く、顔も紅潮しているのが分かる。
 吐息が俺の顔にかかり……俺の顔も紅潮していくのが分かった。

 でも……


 「ベルさんっ!俺はまだ子供ですっ!そんなっ!まだ精通もしてないのに……大人の階段は早いですっ!」

 「まだ…早い…?大人の階段……??精通……???ロディ坊ちゃん、何を?」

 「……へっ?」


 と、まぁそんなこんなで、俺は正座をさせられ怒られました。

 要は、魔素の吸収は危ないとのこと。
 魔力容量を超えて吸収してしまうと体が爆散してしまうらしく、ベルさんは俺を見て自殺しようとしてるのではないかと必死になって止めたらしい。

 それなのに俺は、精通だなんて……なんて、恥ずかしい。

 こってり怒られた俺は、魔法の本を取り上げられ、属性の魔導書を借りることも却下された。

 反省が見えるまでしばらくはダメらしい。
 幸い、剣術の本とスキルの本は手元に残ったので良しとする。

 それよりも、人生で初めて本気で怒られた事に、少し喜びを覚えたのは内緒だ。

 俺ってMなんだろうか?
 あれっ?Mってなんだろうか?

 その日俺は、反省の意味も込めて大人しく過ごした。
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