全てを無くした転生者は、スキルの力で成り上がる

蒼田 遼

文字の大きさ
9 / 18

8話 外は素晴らしい

しおりを挟む
 「ベルさん、おはよう」

 「おはようございます、ロディ坊ちゃん。」

 
 朝の5時。日の出とともに今日は出発となる。
 部屋の前でベルさんを待っていると、目の下に隈を作ったベルさんがノシノシと歩いて来たので挨拶をした。

 
 「ベルさん、そんなに隈を作ってどうしたの?大丈夫??」

 「あ、大丈夫ですよ、今日は外出の日なのでなかなか寝れなくて。」

 「ふふっ、ベルさん安心してよ。僕はもう前の僕じゃないんだから。ベルさんは魔獣がきたら安全な場所に逃げておいてね。」

 「あら、頼もしい。ではお言葉に甘えさせて頂きますね。でも危険と感じたらすぐに止めに入りますからね。」

 「もー心配性だなー。とりあえず時間がもったいないよ、行こう!」

  
 そうして、俺とベルさんは一緒に出かける。

 実は、家の外に出るのは二年ぶり。
 外出だけでも心がワクワクしているのがわかる。

 俺とベルさんは、家の外に出る。

 外は日が出て晴天だ。
 小鳥が鳴き、新鮮な空気が肺の中に入ってくるのがわかる。


 「ふぁ~~!気持ちぃぃ!」

 「ふふっ、ロディ坊ちゃんについては、久しぶりのお外ですもんね。でも確かに今日は気持ち良い天気ですね。」

 「さ、行こう!」

 俺は、家の隣にあった森の中に入ろうとするが、すぐにベルさんに止められる。

 
 「ロディ坊ちゃん、こちらはただのお庭です。まずは敷地を出ないと。」

 「お庭?あれ?ここ森じゃないの?」

 「ロディ坊ちゃん、まだ寝ぼけてらっしゃるのですか?アレクシス家は公爵家。広い敷地を持っているのです。ロディ坊ちゃんがいた家は、別館。本館は、あちらにございます。そして、本館から長く伸びている道の先にあるのが門で、そこから外に出られます。」

 「あー、長らく外に出てなかったから忘れちゃってたよ。危ない危ない。ベルさん居てくれてよかった、ありがとう。」

 「いえいえ。それでは行きましょうか。ここから門まではかなり遠いので馬を借りていきましょう。」

 
 俺たちは、近くにあった馬舎にいき、中にいた栗毛の可愛い顔をした馬に跨り、出発した。

 「馬の上は寒いので」と、ベルさんにフード付きのローブを着せてもらい俺は全身ローブに包まれた状態で、ベルさんと二人馬に乗った状態だ。

 俺の背中にはベルさんの豊満な胸が当たっているからなのか、なんだか俺の股が疼いているが、気のせいだろう。

 敷地は本当に広いらしく、数分馬で走って、やっと門へと辿り着いた。

 門から出ると、街が広がっていて、まだ朝が早いからか誰一人としていない街を馬で疾走できた。

 かなり気持ちのいい体験だったが、これから行う魔獣討伐を考えると、こんなところで興奮しているわけにはいかないと心の縄を締め直す。

 そうして、しばらく行くと高い城壁と大きな門が見えてくる。
 頑丈そうな作りで、衛兵さんが何人か立っていた。

 ベルさんは顔見知りのようで、衛兵さんに軽く挨拶をしたのち、すぐに外に出れた。

 うん、ベルさんついて来てくれて本当によかったよ。
 家に軟禁状態だった俺からしたら、もはやここに辿り着くまでに夕暮れを迎えてしまいそうだ。

 街を出ると一本の街道とその両端に森が広がっていた。

 「おー!ここが森か!!」

 「そうですね、ロディ坊ちゃん。そろそろ馬を停めましょうか。」

 俺とベルさんは、門からすぐ近くの少し草原になってる場所に馬を停めて、降りた。

 いよいよ、魔獣討伐が始まる。
 そんな期待と不安で胸がいっぱいになる。

 でも、今日はやってやるんだ、その覚悟を持って来たんだ。

 俺はそう思って、背中から相棒を引き抜き、素振りを行う。
 いつも通りの所作だ。うん、体のコンディションは非常にいい感じだ。

 「……あの。ロディ坊ちゃん?それは……何でしょうか?」

 「ん?あぁ、これはストレッチみたいなもので……」

 「いや、そうじゃなくて……その……棒に見えるんですけど、その棒って……」

 「あぁ、これは棒だよ。部屋に剣がないからさ、棒で練習してたんだよね、そしたら棒術ってのが手に入っちゃってさ。」

 「え、棒術ですか!?あ、でも、いや、そうではなくて……」


 ん?なんだか話が噛み合わない。
 俺はこれからだという時に水を差されているようでちょっとイラッとしてしまう。


 「ん?なに?」

 「水を差すようでごめんなさい。この棒ってもしかして、いや、でも、どこかで見たことあるような……」

 「あぁ、この棒のことか、見たことあるよきっと。だってベットの装飾だもん!」

 「へぇっ!?ベットの装飾!?それを武器として持って来たのですか!?」

 「え、だって部屋にはこれくらいしか何もないんだもん!」

 「え、え、でも、こんなものでは……ちょっ、ちょっと待っててください、今とって来ますから。あ、どこにも行ってはダメですからね。」

 そう言ってベルさんは慌てて門まで走って行った。

 俺はなにをそんなに慌ててるんだという感じだったが、とりあえず、待ってるのも暇なので、森の中に歩みを進めた。

◆◇

 森の中は、風に揺られて木々がさざめき、どこか喋りかけて来るような不思議な感覚だった。

 遠くの方で鳥の鳴き声が聞こえる。

 俺は歩みを進め、どんどんと森の奥へと入っていった。

 鳥の鳴き声がした場所にたどり着くと、一羽の綺麗な鳥が一羽の地味な鳥に対して歌を唄い、ダンスを踊っているような不思議な光景が目に飛び込んでくる。

 俺はその美しい光景に目を奪われて、鑑定をかけてみる。

 『フウ鳥:美しい姿の雄が雌に対してダンスや唄で求愛する。食用可』
 
 いや、食用可って。

 そんな鑑定結果に苦笑していると、後ろからガサゴソと音がする。

 俺は、ベルさんが来たかと思って、鳥の邪魔をするなと、人差し指を立て、唇の前に持って来て、シーっと後ろを振り向いた。

 そこにいたのは、フンドシ一枚で緑の身体をし、長い棒を持った俺と同じくらいの背丈の生き物だった。

 俺は、そんな姿が自分の後ろにあったことで、思わず大声を出してしまった。
 
 「ベルさんっ!!門で何があったの!?」

 求愛していた鳥たちは、俺の大声にビックリし飛び立っていった。

 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

処理中です...