全てを無くした転生者は、スキルの力で成り上がる

蒼田 遼

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14話 突然の出立

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 さて、どうしたものか。
 俺は夢の内容を思い出し、一人で自称古代樹に寄り掛かりながら考える。

 あの女神の言葉は今までの経験を踏まえても信じて良いのかもしれない。

 でも、ベルさんが、メイド兼暗殺者だって?
 そして生きている?じゃあどこに?

 で、俺は命を狙われているから逃げろって?

 何がなんなのか、全く分からない。
 いや、命を狙われてる理由はなんとなく分かるかもしれない。
 俺がアレクシス家の汚点と呼ばれているからだ。

 でもなんで今なんだ?

 そしてベルさんは暗殺者で……
 俺を殺そうとし……いや、よそう。

 そんなはずはない……と信じたい。
 あんなにも優しかったベルさんが俺を殺そうとなんて。

 もし生きてるなら直接聞こう。
 俺を殺そうとしてたのかどうか。

 であるなら、俺は今は生きなきゃいけない。
 幸い今の俺には、最低限の実力があると自負している。

 よし。そうと決まればここからどこかに行こう。とりあえず、アレクシス家とは逆方向に行くか。

 いや、街道沿いは誰かに会う危険があるな。
 じゃあ森の中を進む?
 うん、それがいいかもしれない。

 俺は立ち上がり、覚悟を決める。
 いざ出発、と行きたかったが、栗毛の馬のことを忘れてた。

 森の中は通れないし、あの子は放してあげよう。
 俺はすぐに馬の元へ帰り、装備を全て外してあげた。

 「ブルルルルッ」

 身体が軽くなって嬉しかったのか、俺に顔を擦り付けながら甘えてくる。

 「じゃあね、君はもう自由だ、俺と一緒だな。くれぐれも道中気をつけてな。」

 俺は馬の頭を撫でてやる。

 「ブルルルルッ」

 そして一鳴きすると、森の中に入っていった。

 方向、俺と同じなんかーいっ!

◆◇

 俺は道なき道を進んでいる。

 とは言っても前を歩く、栗毛の可愛子ちゃんが獣道を作ってくれてるから、道が出来ていってる様なもんなんだが。

 ってかさっき別れたよね?別々の道を進んでいこうみたいなノリだったよね?

 まぁ小さいことは気にしない様にしよう。
 旅は道連れなんとやらだ。

 しばらく森を進んでいると、急に開けた草原の様な場所に出た。

 そろそろ太陽も沈んで来ているので、今日はここで一泊することにする。

 君はどうする?あ、一緒に泊まる?オッケー。
 栗毛ちゃんとのやりとりだ。

 俺は、魔力感知と気配感知で周囲の警戒をしつつ薪を集めることにした。

 薪を集めていると魔力感知に何が引っかかる。

 5匹くらい……ゴブリンか?
 
 俺は、前回の反省を踏まえつつ、隠密で近づいていく。
 目で見える範囲までいくと、正体がゴブリンだということが分かった。しかも、彼らは、狩をしたのか体長1メートル程のホーンラビットという角が生えたウサギの死体を持っている。

 あれは食べれる。ラッキー。

 って事でここは、先手必勝。

 ということで、火属性と水属性の融合魔法で霧を出す。
 もちろん、前回の反省を踏まえて、魔力を抑えながら霧を出したからいい感じの霧が出ている。

 おっと、ゴブリン達が混乱し始めた。

 俺は隠密で気配を消しながら、『炎弾ファイアーパレット』で一体ずつ仕留めていった。

 そして特に苦労する事なく、5分程度で戦闘は終わった。
 俺はゴブリン達を火葬し、ホーンラビットだけを頂いて、栗毛ちゃんが待つ草原へと帰った。

 栗毛ちゃんは、草原の草を食べて待っていた。
 あら優雅。

 そんな栗毛ちゃんを横目に集めた薪に魔法で火をつける。

 ナイフも何も持ってない俺は、とりあえずホーンラビットの死体を串刺しにして、そのまま火に掛けた。

 日が完全に落ちた頃、火にかけていたホーンラビットからいい香りがして来たので、焦げた皮を剥いで肉の部分を食べた。

 「うまっ!」

 味は正直かなり美味しくてほっぺが落ちそうなくらいだった。

 でも、体長1メートルのうさぎ肉は流石に量が多い。
 俺は3歳児。まだ一人では食べきれないので、食べれない量は勿体無いけど火にくべて、燃やし尽くした。

 そろそろ眠くなって来たので、寝ようと思ったけど。
 そうだ忘れていた。

 ここは外、ベットはなく野営となる。
 このまま草原で寝るのは、かなり危ないんじゃ……

 という事で、土で家を作ることにした。
 森属性と火属性の融合魔法の応用で、腐葉土を出し、それをカマクラ状に形成していった。

 かなり難しくて、何度も失敗したけど、ある程度の強度と大きさの家ができた。

 早速中に入り、光魔法を使う。

 『光球ライト』!

 空中に光の玉が出てきてそれを停滞させる。
 最後に入り口をもう一度腐葉土で固め、天井付近に空気穴をいくつか空ける。

 そして出来上がった空間で、俺は栗毛ちゃんと一緒に深く睡眠を取った。

◆◇

 起き上がると、身体のあちこちが痛い。
 ただ、昨日は栗毛ちゃんのお陰で寒くはなかったから、最低限の睡眠は取れた。

 俺は伸びをしてカマクラを壊して外に出る。

 今日も外は快晴の様だ。
 既に太陽は頭上まで登りかけているので、急いでカマクラを壊して出発の準備をする。


 「栗毛ちゃん、じゃあ今日も行こうかっ!」

 「ブルルルルッ」


 栗毛ちゃんも元気そうでよかった。
 ちなみに、腐葉土で作ったカマクラは朝起きると、外側にびっしり苔の様なものが生えていた。

 栗毛ちゃんは美味しそうに食べてたからきっと悪いものではないんだろう。
 
 それにしても魔法は便利だなぁ。

 そんな事を思いながら、草原が終わり、また森に入ろうとしている時だった。

 魔力感知に数えきれないほどの魔力が引っかかった。
 この数は、やばい。

 そう思い、栗毛ちゃんを草原に待機させ、俺は隠密を駆使して無数の魔力の元に駆け寄った。

 見えてきたのは集落だった。

 いや、人のではない。
 ゴブリンのだ。

 そして村の一番高いところに骨で作られた大きな椅子に座る、一際大きなゴブリンが見える。

 そしてその前には、大きな葉っぱに乗せられた犬の様な魔獣の姿も見えた。でもその犬の方は弱っているみたいだ。

 俺は興味本位で鑑定を掛ける。
 それが地雷だとも思わずに……

【鑑定結果】
種族:ゴブリン
役職:キング
配下:300
説明:A級の魔物。高い知能を持ち、約300匹のゴブリンを従え集落を作る。また、キングゴブリンの他にクイーンゴブリン3体(B級)、ジェネラルゴブリン5体(C級)がいる。
集落の掃討には、最低A級パーティを3パーティ集め、挑む事が推奨されている。食用不可。

【鑑定結果】
種族:シャドウウルフ(子)
役職:なし
配下:なし
説明:群れで生活し、闇夜に紛れて狩をするため、シャドウウルフと名付けられた。深い瑠璃色の体毛で、興奮すると波の様に身体が光るため森の幽霊とも呼ばれている。鋭い爪で獲物を仕留める。食用可。

 
 ほぉー。あれがキングゴブリンなのか、あれはやばそうだ。逃げよう。

 俺が後退りをしようとすると、その一際大きなゴブリンと目があっている事に気がつく。

 ドキリと心臓が高鳴るのが分かった。

 で、で、でも、きっと大丈夫だよね?

 俺は、一歩一歩と後ろに下がっていくが、時既に遅し。

 キングゴブリンが大声で鳴き声を上げる。
 そしてそれと同時に集落にいた全てのゴブリン達が一斉に俺に視線を向けた。

 おっと。どうやら逃げられない様だ。
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