10 / 59
第十話 ブタっぽい俺の最後の一枚と増えるポテチ
しおりを挟む
俺は俺のぶっといプルプル震える指先に、摘ままれている正真正銘の最後の一枚であるポテチを見つめながら迷っていた。
そう、この最後のポテチを食べるか? 食べないか? でだ。
どうする? ここで感情に身を任せて食べることは簡単だ。だが、これは間違いなく正真正銘最後のポテチ。最後の一枚だ。そんな貴重な物を果たして感情の赴くままに、食していいのだろうか? 否! 答えは断固否だ!
そう決めたまではよかった。よかったのだ! が、やはりポテチ。俺が無意識に貪るほどの魅力、否。魔力を有していた。
そのためポテチを摘まんだ俺の指先は、我知らず俺の口元に近づいてしまう。
抗いがたい魅力、こうしがたいうまさを多分に含んでいる薄っぺらな黄色い果実。高カロリーの塊を前にして我慢できるものなどこの世にいるはずがなかった。
俺は我慢に我慢を重ね、ついつい食べてしまいそうになるポテチをプルプル震える指先で口先から遠ざけた。
だが、その瞬間。
ポテチにヒビが入り二つに割れてしまったのだ!
「あっ!?」
俺は思わず声を出して、落下していくポテチに意識集中する。
そう、俺のプルプル震えるぶっとい指先に、我知らず力が入りすぎてしまい俺は、無意識のうちに最後のポテチを傷つけてしまっていたのだった。
当然割れたポテチの二つの欠片は、俺の指先から地面に落下していったために、俺は反射的にこれでもかというほどの大口を開けて受け止めていた。
「うんめえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
思わず口にいれたポテチを噛み砕き、そこからあふれでる豊潤で油ぎっしゅなジャガイモの旨味と、ポテチに振りかけられていた程よい塩加減の旨味を一日ぶりに味わった俺は、ヒステリア森林中に響き渡るほどの大声をあげていた。
たった一日ぶりのポテチを口にし、感動の声を上げたとたん俺の腹が、胃袋が、今口にしたポテチをさらに寄越せと催促してくる。
「ポテーチッ!」
ポテチを食べた瞬間。ポテチが食べたい食欲の渦に飲み込まれた俺は、逆さまにして一心不乱にリュックの中身を地面にぶちまけると、すぐさままだ調べていなかった空になったはずのポテチ袋を逆さまにして右手に中身をぶちまける。
するとどうしたことだろうか? ないはずのポテチがまた一枚だけ、俺の手のひらに舞い降りてきた。
当然ポテチを食べたい食欲に支配されている今の俺に、ポテチを残す。という選択肢はなく、目の前に現れたポテチをすぐさま口へと運んでいた。
「うんめええええっっっ!!!」
再びポテチを口にした俺は声の限りに叫んでいた。
そして味をしめた俺は、空になっているはずの残ったポテチ袋を次々にひっくり返した。
するとどうしたことだろうか? ないはずのポテチが、一袋に一枚づつだが、見つかり、俺は合計三枚のポテチを手に入れることに成功していた。
もちろん次々と見つかったポテチは、その場その場で完食していたために、在庫はない。
そしてもちろんたった数枚のポテチ程度で俺の腹がふくれることはなかった。
そして俺が期待を込めて再びポテチ袋のなかを探してもポテチ一枚足りとも見つけることができなかったために、俺の悲痛な叫び声が再びヒステリア森林に響き渡ったのはいうまでもない。
そう、この最後のポテチを食べるか? 食べないか? でだ。
どうする? ここで感情に身を任せて食べることは簡単だ。だが、これは間違いなく正真正銘最後のポテチ。最後の一枚だ。そんな貴重な物を果たして感情の赴くままに、食していいのだろうか? 否! 答えは断固否だ!
そう決めたまではよかった。よかったのだ! が、やはりポテチ。俺が無意識に貪るほどの魅力、否。魔力を有していた。
そのためポテチを摘まんだ俺の指先は、我知らず俺の口元に近づいてしまう。
抗いがたい魅力、こうしがたいうまさを多分に含んでいる薄っぺらな黄色い果実。高カロリーの塊を前にして我慢できるものなどこの世にいるはずがなかった。
俺は我慢に我慢を重ね、ついつい食べてしまいそうになるポテチをプルプル震える指先で口先から遠ざけた。
だが、その瞬間。
ポテチにヒビが入り二つに割れてしまったのだ!
「あっ!?」
俺は思わず声を出して、落下していくポテチに意識集中する。
そう、俺のプルプル震えるぶっとい指先に、我知らず力が入りすぎてしまい俺は、無意識のうちに最後のポテチを傷つけてしまっていたのだった。
当然割れたポテチの二つの欠片は、俺の指先から地面に落下していったために、俺は反射的にこれでもかというほどの大口を開けて受け止めていた。
「うんめえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
思わず口にいれたポテチを噛み砕き、そこからあふれでる豊潤で油ぎっしゅなジャガイモの旨味と、ポテチに振りかけられていた程よい塩加減の旨味を一日ぶりに味わった俺は、ヒステリア森林中に響き渡るほどの大声をあげていた。
たった一日ぶりのポテチを口にし、感動の声を上げたとたん俺の腹が、胃袋が、今口にしたポテチをさらに寄越せと催促してくる。
「ポテーチッ!」
ポテチを食べた瞬間。ポテチが食べたい食欲の渦に飲み込まれた俺は、逆さまにして一心不乱にリュックの中身を地面にぶちまけると、すぐさままだ調べていなかった空になったはずのポテチ袋を逆さまにして右手に中身をぶちまける。
するとどうしたことだろうか? ないはずのポテチがまた一枚だけ、俺の手のひらに舞い降りてきた。
当然ポテチを食べたい食欲に支配されている今の俺に、ポテチを残す。という選択肢はなく、目の前に現れたポテチをすぐさま口へと運んでいた。
「うんめええええっっっ!!!」
再びポテチを口にした俺は声の限りに叫んでいた。
そして味をしめた俺は、空になっているはずの残ったポテチ袋を次々にひっくり返した。
するとどうしたことだろうか? ないはずのポテチが、一袋に一枚づつだが、見つかり、俺は合計三枚のポテチを手に入れることに成功していた。
もちろん次々と見つかったポテチは、その場その場で完食していたために、在庫はない。
そしてもちろんたった数枚のポテチ程度で俺の腹がふくれることはなかった。
そして俺が期待を込めて再びポテチ袋のなかを探してもポテチ一枚足りとも見つけることができなかったために、俺の悲痛な叫び声が再びヒステリア森林に響き渡ったのはいうまでもない。
0
あなたにおすすめの小説
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる