18 / 59
第十八話 ブタっぽい俺の夜の森① ブタと噛み付きお化け
しおりを挟む
俺が森に入ってからすぐに日が落ち、辺りは暗闇に包まれてしまう。
「暗い。暗い。暗い」
俺が連呼するほどに、思ってた以上に夜の森の中は暗かった。
森の中が暗い原因は、地球と同じように月が夜空に浮かびながら、淡く優しい月明りを大地に降り注がせているにもかかわらず、森の中の乱立する木々たちが、月明かりをことごとく遮ってしまっていたために、末端である森の木々の下まで月明りがほとんど届いてこなかったからだ。
「ああもう暗いなあ。怖いなぁ」
俺はそう思いながらも、ただでさえ瞼の脂肪の圧迫を受けて細い目をさらに細めながら、今は唯一の心のよりどころである一本のハルバートに括り付けられた松明の灯りと、いつのまにか昼間別れた女の子の匂いを頼りに、何とかオークと死闘を繰り広げ、女の子と別れたと思わしき場所にたどり着いていた。
「ウーンやっぱいないか?」
俺はあの女の子がいないかキョロキョロと、辺りを見回しながらも、念のために口元に手を添えて呼び掛ける
「オーイッ誰かいるかあっ」
返事はない。念のためにもう一度。
「オーイッ誰かいるかあっ!」
返事はない。
うまく逃げたか捕まったか?
それとも、食われたか。
俺はそう思いながらも、念のためにブヒブヒと鼻をひくつかせる。
「血の匂いはないか」
俺が思うに多分住処に帰ったんだろ? 見た目相当なへまをやらない限り魔物に捕まりそうにない獣耳をした女の子の姿を思いだした俺は、考え続けてもきりがないしそう思うことにした。
それに夜の森は危険だ。よく異世界ものでは、モンスターが活性化したり凶悪化したり、昼間とは比べられないほどの凶悪な魔物が出るって言うし、夜の森に不馴れな俺では不利なことは確かなので、とりあえず、夜営をしている場所に帰ることにした。
そうして、俺が夜の森の暗さに脂肪を震わせビクビク怯えながら帰りの道を歩いていると、がさりと葉っぱが擦り合う音がしたと思うと、いきなり背後から何物かに飛びかかられる。
「うわっなんだ!?」
俺が慌てながらとっさに松明をくくり付けたハルバートを振り回すと、俺の体に飛びかかってきた奴が「ギィギィ」と奇声を上げる。
寄声を上げた何物かが、今度は背後から俺の首筋に噛みつこうとしているのか、鋭い犬歯が俺の首筋に触れるような感触を感じた俺は、怒声を張り上げる。
「くそっこのやろ! いいかげんにしやがれ!」
俺は怒声を張り上げながら、松明をくくり付けたハルバートを投げ捨てて自由になった両手で、俺の体に覆い被さり背後から首筋に噛みつこうとしてくる噛みつきお化けの頭をつかむと、背負い投げの要領で力任せに体から引き剥がして地面に叩きつけると同時に、頭と思わしき部分を力任せに押さえつける。
しかし地面に叩きつけた奴は、未だ生きているのか俺に頭を掴まれ押さえつけられているにもかかわらず暴れ始めると、不意に頭を押さえつけている俺の手に痛みが走った。
「つっ!?」
どうやら、俺に頭を押さえつけられながらも、俺の首筋に噛みつこうとしてきた何物かが、力任せに頭を押さえつけようとしている俺の手に噛みついてきたようだった。
手に噛みつかれたことで頭に血が上った俺は、もう容赦はしないとばかりに必殺技を発動した。
「このぉっ喰らいやがれっ噛みつきお化けっ百八十キロ~っ(実際もっとある)ボディップレス!」
全体重を乗せた俺の腹によるボディプレスを受けた噛みつきお化けは、しばらくは腹の下で手足をばたつかせていたが、徐々に動かなくなり終いには、「ぎぎぎい
」と小さく鳴くとその動きを停止させた。
俺は俺の腹の下にいる奴の息の根が止まったことに安堵しつつ立ち上がると、先ほど放り投げた松明を拾い上げてから、背後から俺に襲いかかり、先ほど俺のボディプレスを受けて息の根を止めた奴の正体を探るために松明を近づけた。
「蝙蝠?」
そう、先ほど俺を背後から襲ってきたのは、地球に生息していた蝙蝠と見た目がそっくりなモンスターだったのだ。
ただし、体長はゆうに一メートルを超え、体重はよく肥え太った体格からして、二、三十キロオーバーの大物だった。
そうして多少の手傷は負ったものの。帰りがけに思わぬ獲物を手にした俺は、ホクホク顔で帰路に着いたのだった。
「暗い。暗い。暗い」
俺が連呼するほどに、思ってた以上に夜の森の中は暗かった。
森の中が暗い原因は、地球と同じように月が夜空に浮かびながら、淡く優しい月明りを大地に降り注がせているにもかかわらず、森の中の乱立する木々たちが、月明かりをことごとく遮ってしまっていたために、末端である森の木々の下まで月明りがほとんど届いてこなかったからだ。
「ああもう暗いなあ。怖いなぁ」
俺はそう思いながらも、ただでさえ瞼の脂肪の圧迫を受けて細い目をさらに細めながら、今は唯一の心のよりどころである一本のハルバートに括り付けられた松明の灯りと、いつのまにか昼間別れた女の子の匂いを頼りに、何とかオークと死闘を繰り広げ、女の子と別れたと思わしき場所にたどり着いていた。
「ウーンやっぱいないか?」
俺はあの女の子がいないかキョロキョロと、辺りを見回しながらも、念のために口元に手を添えて呼び掛ける
「オーイッ誰かいるかあっ」
返事はない。念のためにもう一度。
「オーイッ誰かいるかあっ!」
返事はない。
うまく逃げたか捕まったか?
それとも、食われたか。
俺はそう思いながらも、念のためにブヒブヒと鼻をひくつかせる。
「血の匂いはないか」
俺が思うに多分住処に帰ったんだろ? 見た目相当なへまをやらない限り魔物に捕まりそうにない獣耳をした女の子の姿を思いだした俺は、考え続けてもきりがないしそう思うことにした。
それに夜の森は危険だ。よく異世界ものでは、モンスターが活性化したり凶悪化したり、昼間とは比べられないほどの凶悪な魔物が出るって言うし、夜の森に不馴れな俺では不利なことは確かなので、とりあえず、夜営をしている場所に帰ることにした。
そうして、俺が夜の森の暗さに脂肪を震わせビクビク怯えながら帰りの道を歩いていると、がさりと葉っぱが擦り合う音がしたと思うと、いきなり背後から何物かに飛びかかられる。
「うわっなんだ!?」
俺が慌てながらとっさに松明をくくり付けたハルバートを振り回すと、俺の体に飛びかかってきた奴が「ギィギィ」と奇声を上げる。
寄声を上げた何物かが、今度は背後から俺の首筋に噛みつこうとしているのか、鋭い犬歯が俺の首筋に触れるような感触を感じた俺は、怒声を張り上げる。
「くそっこのやろ! いいかげんにしやがれ!」
俺は怒声を張り上げながら、松明をくくり付けたハルバートを投げ捨てて自由になった両手で、俺の体に覆い被さり背後から首筋に噛みつこうとしてくる噛みつきお化けの頭をつかむと、背負い投げの要領で力任せに体から引き剥がして地面に叩きつけると同時に、頭と思わしき部分を力任せに押さえつける。
しかし地面に叩きつけた奴は、未だ生きているのか俺に頭を掴まれ押さえつけられているにもかかわらず暴れ始めると、不意に頭を押さえつけている俺の手に痛みが走った。
「つっ!?」
どうやら、俺に頭を押さえつけられながらも、俺の首筋に噛みつこうとしてきた何物かが、力任せに頭を押さえつけようとしている俺の手に噛みついてきたようだった。
手に噛みつかれたことで頭に血が上った俺は、もう容赦はしないとばかりに必殺技を発動した。
「このぉっ喰らいやがれっ噛みつきお化けっ百八十キロ~っ(実際もっとある)ボディップレス!」
全体重を乗せた俺の腹によるボディプレスを受けた噛みつきお化けは、しばらくは腹の下で手足をばたつかせていたが、徐々に動かなくなり終いには、「ぎぎぎい
」と小さく鳴くとその動きを停止させた。
俺は俺の腹の下にいる奴の息の根が止まったことに安堵しつつ立ち上がると、先ほど放り投げた松明を拾い上げてから、背後から俺に襲いかかり、先ほど俺のボディプレスを受けて息の根を止めた奴の正体を探るために松明を近づけた。
「蝙蝠?」
そう、先ほど俺を背後から襲ってきたのは、地球に生息していた蝙蝠と見た目がそっくりなモンスターだったのだ。
ただし、体長はゆうに一メートルを超え、体重はよく肥え太った体格からして、二、三十キロオーバーの大物だった。
そうして多少の手傷は負ったものの。帰りがけに思わぬ獲物を手にした俺は、ホクホク顔で帰路に着いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる