異世界オークはうまかった。ブタっぽい俺の異世界丸焼きサバイバル生活

四ノ宮士騎

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第三十六話 エピソード オーク狩り(ブタ)領主の決意表明

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「皆の者っこれから言うことをよく聞くのだ! これより近日中に、我がオールストン領にあるヒステリア森林にて、大規模なオーク狩りを行おうと思う! 理由については皆も知っていると思うが、先日わしの娘がオークの集団に襲われ危うく苗床となるところだった!」

「ビクトリー様のご息女がオークに襲われた?」

「あの噂は本当のことだったのか!」

 などという言葉が領主の発言を聞いた兵士たちの間を飛び交い。場がざわつき始める。

 ここは領主の住まう歴史ある古城にある城の兵士たちを訓練する練兵場。

 その練兵場にて、この地を治める領主であるビクトリー・オールストンの演説が行われていたのだった。

「さらに言うならば! 村の娘や商人や旅人たちもヒステリア森林に住まうオークどもに狙われ襲われている! 昨今のヒステリア森林においては、オークの凶暴化にともないオークの被害があとをたたない! しかも襲われて生き残った村人や旅人の話によると、中には剣や槍で武装するオークの目撃例もあるらしい!」

「オークが、武装?」

「そんな馬鹿な」

 領主であるビクトリーの演説を聞いて、練兵場に集められた兵士たちは皆一様にいぶかしげな顔をする。

 本来知能の低いオークはあまり得物を使わない。

 まして、鎧などは着ないのが常識だからだ。

 だから練兵場に集められた兵士たちは、口々に疑問の声を上げてざわつき始めたのだった。 

 騒ぎ立てる兵士たちを沈めるために、領主付きの衛兵が鐘を叩き警鐘を鳴らして兵士たちのざわつきを静める。

 鐘の音を聞いて練兵場に集まった兵士たちのざわつきが静まったころ合いを見計らって、領主であるビクトリーが練兵場にいる兵士たち皆に聞こえるように大声を張り上げる。

「皆も言いたいことはあろう! だがっ私が今ここで皆に伝えたことは全て事実である! よってここにヒステリア森林におけるオーク討伐隊を組織する! 隊長は我が領地を守護する勇敢なる兵士長ガルバンッガルバンは村々にふれをだし、オーク討伐隊に参加する兵を集めたのち、城の兵と志願兵を率いて近日中にオーク討伐に出陣し、ヒステリア森林のオークどもを根絶やしにせよ! 以上だ!」

 ビクトリーは声を荒げた後、城内に戻っていったのだった。

 ビクトリーが消えた練兵場では、簡素な木や獣の皮や安い銅板で作られた軽鎧に身を包み、手に槍や剣を持ち、訓練を再開した兵士たちが軽口をたたき合っていた。

「オークが武装?」

「ないない」

「いつも討伐を真面目にやらない俺らにたいしての当て付けだって」

「だよな」

「領主様も話を盛るのが下手だよな」

「オークが武装何て聞いたことないぜ」

 兵士たちはひとしきり軽口をたたき合った後盛大に笑い合う。

「お前たちっ何をしておるか! 今は戦闘訓練の最中だぞ!」

 大きな声で笑い合う兵士たちを見咎めた兵士長であるガルバンが、軽口をたたき合っていた兵士たちを怒鳴りつける。

「はっすみませんガルバン隊長!」

 ガルバンに叱られた軽口をたたき合っていた数人の兵士たちは、各々ガルバンに向かって頭を下げる。

「わかったならすぐさま持ち場に戻り訓練を再開せぬかっ槍もちのお主は円陣訓練! その他の者たちは、対オーク用集団戦術訓練だろうが!」

 ガルバンの一喝によって、小言を呟き合っていた兵士たちは、各々蜘蛛の子を散らすように訓練に戻っていった。

 そしてその翌日には、領主ビクトリー・オールストンの命を受けたガルバンによって、近隣の村々にオーク討伐の志願兵を募るふれが出されると、数日後には近隣の村々からオールストンの城に志願兵が集まり始めた。

 そうして数日後。オーク討伐隊の準備を整えたガルバンは、城の兵士たちと村から集まった志願兵たちをひきつれて、ヒステリア森林のオーク討伐に向かったのだった。
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