私が勇者であんたが魔王よ!

四ノ宮士騎

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第15話 勇者科の才女① イルとの再会①

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 教室の入り口付近で、何人かの女の子たちに囲まれているルミナを見つめる視線があったからだ。

 ルミナはじっと自分を見つめている気配に気付くと、そちらのほうに視線を向けて問いかける。

「だれ?」

「あっその声っやっぱりル~ちゃんだ♪」

 ルミナを見つめていた彼女と同じ青の制服に身を包んでいた少女は、彼女の声を聞くなり嬉しそうにルミナの名を叫びながら、ルミナの周りにいる人ごみを掻き分けて、いきなりルミナに飛びついてきたのだった。

 いつものルミナならこのようなことをされようものなら、持ち前の運動神経で瞬時にかわしているはずだ。
 
 だが、抱きついてきた少女の身体能力があまりに高く、さすがのルミナもかわすことが出来ずに、少女に抱きつかれてしまったのだった。

 ルミナが自分に抱きつき、嬉しそうに胸に顔を埋めている少女を見つめて、慌てたように問いただした。

「え? 誰?」

 ルミナの態度を見ていた小柄な少女はルミナの胸から顔を離すと、自分の顔がルミナに見えるように顔を上に向けながら口を開いた。

「僕だよ僕っイルだよっ」

 少しはねた緑色の髪と、大粒のつぶらな瞳を持った少女が、自分の顔を指差しながら答える。

「もしかして、食いしん坊のイル!?」

「うん♪」

 イルは心底嬉しそうに緑色の瞳を輝かせながら返事を返すと、再度ルミナの胸に顔を埋めた後、上目遣いにルミナの顔を見上げて心底嬉しそうに口を開いた。

「やっぱりル~ちゃんもこの学校だったんだね♪」

 ルミナと再会できたのがよほど嬉しいのか、まるでよく懐いている子猫のように、つま先立ちをしてルミナの顔に頬ずりをする。

「あ、うん。勇者科に入ったのよ」

「勇者科? でもル~ちゃんはまお……」

 と声に出して言いそうになったイルの言葉を、ルミナは素早くさえぎり話題を変える。

「魔王饅頭って、おいしいわよね~イル♪」

「え? へ? へ?」

 ルミナに強引に話を変えられて戸惑うイル。だがルミナはそれを無視して話を進める。

「じゃ積もる話もあるし、行くわよイルッ」

 ルミナはなにごとかを言おうとしているイルの口を塞ぐと、不審げに自分の行動を見つめる同級生たちに愛想笑いをかましながら、イルの小柄な背中を押して、強引に教室の外に連れ出したのだった。
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