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第82話 冥界王ハデス③ 現臨する冥界の王と戦う意思
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それと時を同じくして、未だ収まらぬ土煙の向こう側から、町中を覆いつくさんばかりの瘴気を解き放ったと思われる物が、世界を覆いつくすほどの圧倒的な、禍々しい存在感と共にこの場に姿を現したのである。
まず最初に土煙から覗いたのは、ねじれた二本の巨大な角であった。次に黒い靄を吐き出す巨大な人型の頭骨が姿を現して、それと共にゆうに数百年以上はたったと思われる朽ちかけた巨大な剣の切っ先が姿を見せた。
そして最後に姿を現したのは、剣と同様に数百年は経過していると思われる朽ちかけた鎧を身につけた、青銅の巨人ミノタウロスよりはるかに巨大な身体だった。
土煙の中から姿を現したものの余りに巨大で禍々しい全容を目にしたフィフスは、驚愕に満ちた表情を浮かべ絶望の混じった声音で呟いた。
「冥界王……ハデス……」
「なんだって!? あの骸骨巨人がハデスだって言うのかね!? だとしたらそんな奴もう僕たちじゃどうしようもないじゃないか!」
「どうしよう、カナタ……」
と、ルミナは子供の頃勝気だった自分が本当に困ったときそうしていたように、思わずカナタのほうを振り返り弱音を漏らしてしまう。
「しっかりしろルミナ! お前がそんな弱気になってどうする! それに今戦えるのは俺たちしかいない! 俺たちで冥界の王を! ハデスを倒すんだ!」
「な!? あなたはなに馬鹿なことを言いだすんですか!」
「そうだともミスターカナタ! ここまでやれただけでも奇跡に近いというのに、冥界の王を相手にこれ以上一介の学生である僕らに何ができるって言うんだね君は!」
「そうかもしれない。けど、ここで俺たちが逃げ出したらっここにいる人たちはどうなるんだよ!」
「「あっ」」
こんな時でも自分以外の人たちのことを考えていたカナタの言葉に、一同は思わず声を重ねてしまう。
そう、この場にいる者たちはみな自分たちのことばかりで、カナタのように周りに目が届いていなかったのだ。
「あいつの放つ瘴気。あれはありとあらゆる生き物たちにとって猛毒なんだよ! それは俺たち人間や魔族なんかにとっても同じなんだ! んなもん浴び続けたらここにいるみんなが死んじまうだろうが!」
カナタにそうまくし立てられた仲間達は、誰一人として反論することが出来ずにいた。
そんな中真っ先に顔を上げ、意を決したかのようにして自分の意見を真っ向からぶつけてきたのは、オレンジ色の瞳に強き意志の光を宿したルミナだった。
「確かにカナタの言うとおりよね。このまま力を貸してくれたみんなを見捨てていくわけには行かないわ。わかった。やるわよ、カナタ。私たちで冥界の王を、ハデスを倒すわよ」
「ああ」
「ルミナ・ギルバート・オデッセリア! カナタ・ユア・モーティス! あなた達は自分たちが言っていることの意味がわかっているんですか!」
「僕も残るよ」
「ドゥルグ」
「ドゥルグ・ムド・クアーズ! あなたまでなにを言ってるんですか!」
「幸いなことにね、僕には瘴気の類は効かないんだ。それにここにいる女の子達を見捨てて逃げ出すなんてこと、クアーズ家の子息たる僕には到底できない相談だね。で、ミス・イル。君はどうするね?」
「もっちろん僕は最初から逃げる気なんてないよ♪ あんな奴ル~ちゃんと一緒にやっつけてやるんだから。ね、ル~ちゃん」
「イル・クア・ラシェス! あなたまで何を馬鹿なことを言ってるんですか!」
「大丈夫だよ、フィ~ちゃん。僕たちなら。それにさっきだって絶対無理って相手をやっつけたんだから♪」
イルの言葉を聞いたフィフスが何かを言おうとするが、ルミナがそれを遮って声を張り上げる。
「先生は結界を頼みます!」
それだけ言うと、みんなの顔を見回してルミナは再度声を張り上げた。
「みんなっ行くわよ!」
その掛け声を合図にルミナたちは土煙から姿を現した冥界の王へと向かっていった。
まず最初に土煙から覗いたのは、ねじれた二本の巨大な角であった。次に黒い靄を吐き出す巨大な人型の頭骨が姿を現して、それと共にゆうに数百年以上はたったと思われる朽ちかけた巨大な剣の切っ先が姿を見せた。
そして最後に姿を現したのは、剣と同様に数百年は経過していると思われる朽ちかけた鎧を身につけた、青銅の巨人ミノタウロスよりはるかに巨大な身体だった。
土煙の中から姿を現したものの余りに巨大で禍々しい全容を目にしたフィフスは、驚愕に満ちた表情を浮かべ絶望の混じった声音で呟いた。
「冥界王……ハデス……」
「なんだって!? あの骸骨巨人がハデスだって言うのかね!? だとしたらそんな奴もう僕たちじゃどうしようもないじゃないか!」
「どうしよう、カナタ……」
と、ルミナは子供の頃勝気だった自分が本当に困ったときそうしていたように、思わずカナタのほうを振り返り弱音を漏らしてしまう。
「しっかりしろルミナ! お前がそんな弱気になってどうする! それに今戦えるのは俺たちしかいない! 俺たちで冥界の王を! ハデスを倒すんだ!」
「な!? あなたはなに馬鹿なことを言いだすんですか!」
「そうだともミスターカナタ! ここまでやれただけでも奇跡に近いというのに、冥界の王を相手にこれ以上一介の学生である僕らに何ができるって言うんだね君は!」
「そうかもしれない。けど、ここで俺たちが逃げ出したらっここにいる人たちはどうなるんだよ!」
「「あっ」」
こんな時でも自分以外の人たちのことを考えていたカナタの言葉に、一同は思わず声を重ねてしまう。
そう、この場にいる者たちはみな自分たちのことばかりで、カナタのように周りに目が届いていなかったのだ。
「あいつの放つ瘴気。あれはありとあらゆる生き物たちにとって猛毒なんだよ! それは俺たち人間や魔族なんかにとっても同じなんだ! んなもん浴び続けたらここにいるみんなが死んじまうだろうが!」
カナタにそうまくし立てられた仲間達は、誰一人として反論することが出来ずにいた。
そんな中真っ先に顔を上げ、意を決したかのようにして自分の意見を真っ向からぶつけてきたのは、オレンジ色の瞳に強き意志の光を宿したルミナだった。
「確かにカナタの言うとおりよね。このまま力を貸してくれたみんなを見捨てていくわけには行かないわ。わかった。やるわよ、カナタ。私たちで冥界の王を、ハデスを倒すわよ」
「ああ」
「ルミナ・ギルバート・オデッセリア! カナタ・ユア・モーティス! あなた達は自分たちが言っていることの意味がわかっているんですか!」
「僕も残るよ」
「ドゥルグ」
「ドゥルグ・ムド・クアーズ! あなたまでなにを言ってるんですか!」
「幸いなことにね、僕には瘴気の類は効かないんだ。それにここにいる女の子達を見捨てて逃げ出すなんてこと、クアーズ家の子息たる僕には到底できない相談だね。で、ミス・イル。君はどうするね?」
「もっちろん僕は最初から逃げる気なんてないよ♪ あんな奴ル~ちゃんと一緒にやっつけてやるんだから。ね、ル~ちゃん」
「イル・クア・ラシェス! あなたまで何を馬鹿なことを言ってるんですか!」
「大丈夫だよ、フィ~ちゃん。僕たちなら。それにさっきだって絶対無理って相手をやっつけたんだから♪」
イルの言葉を聞いたフィフスが何かを言おうとするが、ルミナがそれを遮って声を張り上げる。
「先生は結界を頼みます!」
それだけ言うと、みんなの顔を見回してルミナは再度声を張り上げた。
「みんなっ行くわよ!」
その掛け声を合図にルミナたちは土煙から姿を現した冥界の王へと向かっていった。
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