俺はいつも拾われている

つちやながる

文字の大きさ
34 / 74
約束と共に歩む道

2 引っ越し作業

しおりを挟む
「って、祭りの話聞いたんです」
「駄目だ」

まだ行きたいと伝えてないのに。先読みですか。

「……何でデスか」

さすがに即駄目が出ると思ってなかった。手を止めて、机上の書類に怠そうに記入するフィルを見る。頭ごなしの否定は相手の心証が良く無いよね。少し眉間にが寄ったのが自分でわかる。

「地面が見えない人の多さだ。揉みくちゃになりたいか。家から見降ろし近くの屋台で楽しむ。その程度が丁度いい祭りだ」
「それでも現地で臨場感を味わう事こそ祭りの醍醐味、と思うんデスが」
「レオ」
「何デスか」
「食べて騒ぐなら家でも出来るだろ」
「……なに無理いってやがるんデスか」

フィルとバルと俺で、どう騒げと?
全然想像付かない。

「はは。こっち来いよ、レオ」
「……仕事中デス」

竜国の屋敷から届いた荷物と書類を仕分け、書斎の動線効率化を図り、アンフィル様の相手を適当にする。俺は忙しい執事なんだ。

「聞いてるか?レオ」
「聞いてます」

帝国でしばらく過ごすから、最低限仕事の荷だけは片付けないと。過去の書斎を早く整えないと、次々新しい書類がやって来る。紙だから嵩張るし困るのは勿論、俺。

言うことを聞かないレオに焦れたのか、フィルは席を立つ。

「……何ですか」

近づいたフィルはレオの腰に手を回し引き寄せた。

「拗ねるな。祭りは怪我人続出だ。お前に怪我をさせたく無い」

どんな祭りだよ、それ。

「聞いたのと違います。それ昔の事じゃないですか。仮装して飲んで歌って、暴れて、……暴れる?」
「一部酔って喧嘩が始まるな。暴徒化する。騎士や軍服は取り締まりでその日は仕事だ」
「えぇ……」
「わかったか?」
「えーー」

苦笑してフィルは俺の腰を更にぐいっと両腕で寄せ持ち上げた。

「アンフィル様、仕事中は仕事だけですよ」
「レオが祭りの話をするからだ」

俺を軽々腰だけで抱き上げて机に戻る。

四六時中一緒にいるのに、フィルはどこかでスイッチを入れエロエロになることが判明した。だから仕事中は仕事をするいう当たり前の事を取り決めた。

なのにこれだ。

シュチュフェチのフィルは大きめの机が大好きだ。

ほら、また俺をここに座らせる。足を割って体を捩込むフィル。太腿に手を乗せてさりげなく固定するし、この姿勢で逃げられなくするのも好きだよね。

大事そうな書類を見て横に除ける俺を見て、フィルは優しい目をしてクスリと笑う。

「祭りの話をしたのは執事達と何の話をしたか聞いてきたからです」
「だから何だ」
「私に非は有りません、なので

聞きたくないとばかりにフィルはレオの口を塞いだ。軽く触れるだけのキスをして、間近でレオを嗜めるように見つめた。

ああもうっ、ズルい。本当にずるい。
俺がそう見られるの弱いって知ってるのに。

「機嫌取りのキスは嫌いです」

この目に弱い俺はこれでも精一杯の拒否だ。
ぷいと、目をそらして横を向いた。

「レオ。馬鹿だな。それが可愛いって」
「え」
「ほら釣れた」

思わず向き直ると視線を絡め取られた。もうこれで俺の惨敗確定だ。近づいて甘いキス。

「どうする?」

これだよ。ふっと柔らかく微笑むフィルの目は優しいけど俺を獲物としてみる獣になる。
ゾクゾクする。これで好きなのに欲情しない方がおかしいよ。

「ほんとズルい」
「そうか?」

俺からついばむ軽いキスを返すとそれだけで凄く嬉しそうな顔をする。

それが了承の合図とばかりにフィルはレオを机に押し倒し、更に体に体重を乗せて股間を押し付ける。

仕事中は仕事をする。

いつになったら守れるのだろうか。


緩やかにねっとりしたキスをして股間を擦り合わせると、気持ちよさと仕事中だという気不味さなのか、眉間に皺が寄るレオ。

「っあ」
「可愛いな」

日に日に身体に刻む快楽に、目は蕩けてキスをせがみ、自然と腰も合わせて揺れ始める。

ああ、いやらしくなってきた。

俺の可愛い執事。俺のレオ。

「服、脱ごうか」
「……脱ぎません」
「……レオ」
「し、仕事ちゅ、にゃ、ちょ!」
「うるさいぞ」
「っんー!」

なけなしの抵抗で上着を抱え込む。頑固だな。はは。ああ、楽しい。
少し起き始めた物に手を添えてやると困ったように睨むが、上目遣いでそれは俺を煽るだけだな。

「レオ、それは駄目なやつだ」
「っ、え、なにが」
「ははっ、脱がせたいのはこっちだ」
「わ、あっ!?」

脱力しきったレオのズボンをさげるのは簡単な事だ。

フィルは戦利品をぽいっと投げた。







(違う作業やん……)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

処理中です...