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約束と共に歩む道
1 執事達の憩い
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新入社員の気分を味わっている。馴染みの同僚と話の最中、口を挟むべきなのか否か。傾聴するふりをして見ている。
そして何故かソファに先輩執事に挟まれて座っていた。
「恋は傷より悪質ってか」
「今時知り合って窓の下で詩を朗読、演奏でお互いを理解して行きたいだって。古過ぎてやってられないよ」
「どこの旧貴族?ウケますね、それ」
「ヘンリー卿の孫…」
「箱入りか。古い恋愛本読んで真似するの流行ってるなあ」
「君はどう思う?」
「え、夢見過ぎですよね」
取り敢えず無難なところで答える。
「ですよねー」
「 だよな!」
「わかってくれるかー」
話を振られると思ってない油断した所で声を掛けてくる。
執事たる者常に執事たれ。バルの名言だけど、なかなか出来る事じゃなかった。
こうやってふざけて談笑しているようで周りを観察しているし、世間話が長引くと次第に探り知ろうと各々に興味がある人に適宜質問を投げ合う事になる。
帝国の執事は貴族以上に情報戦が凄かった。
帝国歴浅い俺は全然ついて行けて無いのだ。
ふと、皆も俺も開いたドアを見る。
「クリフ候方執事ニル、入りまーす」
「お、皆いるのか」
一人は顔見知りのリック、軽そうなもう一人は初見だった。
ここは初めての帝都軍本部。各部隊副官以上召集で、軍所属なのに貴族だからか執事持ちが数名いて待機中だった。
リックもニルも軍所属部下兼執事だから軍服を着用している。正直格好良いと思う。
「あれ、レオ君久し振り」
「はい、リックさん」
「ちょ!」
「はいはい、どいてー」
「俺まで?なんで」
リックはレオの隣に座る男との間に無理やり尻を突っ込み押し退けてソファに座る。
「大公からの指示でさー」
それを聞くと両隣にいた執事たちは向かいの席に移った。そして隙間が出来た所にニルが座る。反対にリックで両隣イケメン軍服に挟まれたレオ。人が変わっただけである。
「……指示ってなんですか」
また変な事かとリックさんに訊いてみる。
「そりゃ余計な虫をつけるな、だよ」
「いやー、参るねー」
「……そうデスか」
にやにやとするリックとニル。軍服に挟まれて座るレオは体格差から護衛付きの王子の様を呈していた。
シーンと静まり返る部屋。
気不味い。非常にやり難い。フィルのやつ、フィルのやつ…。ぐぬぬぬ。いつもこれじゃ気心知れた友達一人たりとも出来ないじゃないか。
後継パーティの後、執事公認のお墨付きとなった事で逆に苦労が増していた。
雪月花の君の名は貴族間に知れ渡り公務で付き添えば声がかかる。執事達は対等に話し掛けてくる。大公に近づきたい者も含まれて権力と興味と様々な感情が入り乱れての大混戦。
リックが居ない時はエンダインかバウロが側にいて、執事に護衛がいるという変な図だった。
沈黙を破ったのはニルだった。
「そういえば緑地祭はどうなったー?」
「え、やるそうですよ?」
「帝が許可したんだってなあ」
「今年はどの貴族がワインばら撒くか!」
リックは首が斜めになったレオに気付く。
「大公は行事に興味ないと聞くし、レオ君は知らなさそうだね」
「あ、はい。知らないです。祭なんですか」
「帝都は開発し過ぎて緑が少ないだろ?竜国の様にとまでいかないけど緑の恩恵を忘れるなと、植樹と草花の祭りなんだ。最近は緑の仮装で都中馬鹿騒ぎするだけなんだけど」
何それ、仮装?楽しそう!フィルもバルも、そんな事微塵も教えてくれなかった。
「いいですね。楽しそう」
レオは仕事中は笑顔が出る事は無いと評判だったが、祭の話題に気が緩み微笑んだ。
向かい側に座った執事たちは、レオの微笑を真正面から尊顔することになった。余りに柔和な変化に、そして少し幼さを感じさせる可愛さに頬を染める。
「あー、話題失敗したー。レオ君、その顔はダメだよー」
「…顔、デスか」
ニルに顔ダメ出しされる。そろそろ顔も知れ渡り免疫付けて貰った頃なのに、俺はまだ可愛いと思われるのかな。
自分の美貌は自覚すれど破壊力には未だ自覚無いレオ。色気が付加してパワーアップしたのに気が付かない。周りが大公の琴線に触れない程度に絡むのは苦労の賜物だった。
「そうそう。祭り一緒にいかねー?」
「ニル、それは無理があるだろ」
「えー、レオ君も行きたいよねー」
「そうですね。アンフィル様に聞いてみない事には返答しかねますが」
「そうだよなー」
「でも行けるといいな、レオ君」
「ですね、リックさん」
ほんと行けたらいいな。フィルは長命だからイベント飽きてるんだよね。許可くれるかなあ。緑の仮装ってどんなだろう。
視線をテーブルに、少し考え込むと首を傾げる癖は直ってないレオ。心なしそわそわしている様に見える。
「そ、そうですよ。都中緑なのは是非見て欲しいですね」
「だなあ」
「それに儲けてる人が酒をばら撒くんだ、誰彼問わず飲んで歌って暴れて、そこら中で寝るんだ。もう大騒ぎなんだよ」
「ほんとなー」
目をきらきらさせて祭話に聞き入るレオを、執事たちは微笑ましく見ていた。
そして何故かソファに先輩執事に挟まれて座っていた。
「恋は傷より悪質ってか」
「今時知り合って窓の下で詩を朗読、演奏でお互いを理解して行きたいだって。古過ぎてやってられないよ」
「どこの旧貴族?ウケますね、それ」
「ヘンリー卿の孫…」
「箱入りか。古い恋愛本読んで真似するの流行ってるなあ」
「君はどう思う?」
「え、夢見過ぎですよね」
取り敢えず無難なところで答える。
「ですよねー」
「 だよな!」
「わかってくれるかー」
話を振られると思ってない油断した所で声を掛けてくる。
執事たる者常に執事たれ。バルの名言だけど、なかなか出来る事じゃなかった。
こうやってふざけて談笑しているようで周りを観察しているし、世間話が長引くと次第に探り知ろうと各々に興味がある人に適宜質問を投げ合う事になる。
帝国の執事は貴族以上に情報戦が凄かった。
帝国歴浅い俺は全然ついて行けて無いのだ。
ふと、皆も俺も開いたドアを見る。
「クリフ候方執事ニル、入りまーす」
「お、皆いるのか」
一人は顔見知りのリック、軽そうなもう一人は初見だった。
ここは初めての帝都軍本部。各部隊副官以上召集で、軍所属なのに貴族だからか執事持ちが数名いて待機中だった。
リックもニルも軍所属部下兼執事だから軍服を着用している。正直格好良いと思う。
「あれ、レオ君久し振り」
「はい、リックさん」
「ちょ!」
「はいはい、どいてー」
「俺まで?なんで」
リックはレオの隣に座る男との間に無理やり尻を突っ込み押し退けてソファに座る。
「大公からの指示でさー」
それを聞くと両隣にいた執事たちは向かいの席に移った。そして隙間が出来た所にニルが座る。反対にリックで両隣イケメン軍服に挟まれたレオ。人が変わっただけである。
「……指示ってなんですか」
また変な事かとリックさんに訊いてみる。
「そりゃ余計な虫をつけるな、だよ」
「いやー、参るねー」
「……そうデスか」
にやにやとするリックとニル。軍服に挟まれて座るレオは体格差から護衛付きの王子の様を呈していた。
シーンと静まり返る部屋。
気不味い。非常にやり難い。フィルのやつ、フィルのやつ…。ぐぬぬぬ。いつもこれじゃ気心知れた友達一人たりとも出来ないじゃないか。
後継パーティの後、執事公認のお墨付きとなった事で逆に苦労が増していた。
雪月花の君の名は貴族間に知れ渡り公務で付き添えば声がかかる。執事達は対等に話し掛けてくる。大公に近づきたい者も含まれて権力と興味と様々な感情が入り乱れての大混戦。
リックが居ない時はエンダインかバウロが側にいて、執事に護衛がいるという変な図だった。
沈黙を破ったのはニルだった。
「そういえば緑地祭はどうなったー?」
「え、やるそうですよ?」
「帝が許可したんだってなあ」
「今年はどの貴族がワインばら撒くか!」
リックは首が斜めになったレオに気付く。
「大公は行事に興味ないと聞くし、レオ君は知らなさそうだね」
「あ、はい。知らないです。祭なんですか」
「帝都は開発し過ぎて緑が少ないだろ?竜国の様にとまでいかないけど緑の恩恵を忘れるなと、植樹と草花の祭りなんだ。最近は緑の仮装で都中馬鹿騒ぎするだけなんだけど」
何それ、仮装?楽しそう!フィルもバルも、そんな事微塵も教えてくれなかった。
「いいですね。楽しそう」
レオは仕事中は笑顔が出る事は無いと評判だったが、祭の話題に気が緩み微笑んだ。
向かい側に座った執事たちは、レオの微笑を真正面から尊顔することになった。余りに柔和な変化に、そして少し幼さを感じさせる可愛さに頬を染める。
「あー、話題失敗したー。レオ君、その顔はダメだよー」
「…顔、デスか」
ニルに顔ダメ出しされる。そろそろ顔も知れ渡り免疫付けて貰った頃なのに、俺はまだ可愛いと思われるのかな。
自分の美貌は自覚すれど破壊力には未だ自覚無いレオ。色気が付加してパワーアップしたのに気が付かない。周りが大公の琴線に触れない程度に絡むのは苦労の賜物だった。
「そうそう。祭り一緒にいかねー?」
「ニル、それは無理があるだろ」
「えー、レオ君も行きたいよねー」
「そうですね。アンフィル様に聞いてみない事には返答しかねますが」
「そうだよなー」
「でも行けるといいな、レオ君」
「ですね、リックさん」
ほんと行けたらいいな。フィルは長命だからイベント飽きてるんだよね。許可くれるかなあ。緑の仮装ってどんなだろう。
視線をテーブルに、少し考え込むと首を傾げる癖は直ってないレオ。心なしそわそわしている様に見える。
「そ、そうですよ。都中緑なのは是非見て欲しいですね」
「だなあ」
「それに儲けてる人が酒をばら撒くんだ、誰彼問わず飲んで歌って暴れて、そこら中で寝るんだ。もう大騒ぎなんだよ」
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目をきらきらさせて祭話に聞き入るレオを、執事たちは微笑ましく見ていた。
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