俺はいつも拾われている

つちやながる

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約束と共に歩む道

10 従僕たち

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使用人として執事とは主と屋敷をマネジメントする所謂従僕たちをまとめるトップである。
しかしレオは微妙な扱いをされることに不満を訴え『第一回業務会議』を行う事になった。議題は仕事の分担だ。

「俺の仕事が少な過ぎます」

レオは抗議する。今までやってきた屋敷内の雑用が無くなったからだ。

「厨房はもう俺のテリトリーだからよ、チビの仕事はあそこにゃもう無いぜ?」

サモンは皿の位置、材料、調味料の位置、注文在庫数まで細かく人に触られるのが嫌なタイプだった。

「じゃあ買い出し行きます」
「帝国の野菜と食材相場が言える様になってからにしろよ、ぼったくられてただろーが」
「……ぅ」

そうなのだ。出納で計算してたらサモンの食費代が俺の半額で済んでた。竜国の相場と違うのを忘れて倍額払わされてたオチだ。

「まあまあ、それも経験ですな」

「じゃあ、日用品とか買い出しに」
「ダメです。この間バウロさん無しで行って絡まれて帰ってこれなかったでしょ。結局誰かが心配して迎えに行くんだから二度手間になるの!」
「竜国より街ですからなあ」
「……顔隠して、帽子被ったりします」

ミナが強く抗議して一瞬の沈黙後レオに視線が集中する。

「何でですか。じゃあ、屋敷内の掃除、」
「ダメ!」
「駄目だわそりゃ」
「もう無理ですなあ」
「……どうしてですか」

な、なんだよ。バルまで皆なんで生温い目で俺を見るんだよ。

「旦那様が所構わずだから駄目です」
「いちゃいちゃすんの執務室か自室にしてくんねえかなぁ」
「最近目に余るものがありますぞ」
「ぃ、いちゃいちゃしてないです!」

手繋いだり、ひっついたりしてるだけじゃないか。やらしい事もしてないし何だよ。なんで皆遠い目して俺から視線外すんだよ。

「掃除しながら話したりはいいんだよ。途中で喧嘩始めたり、仲直りで手繋いでどっか行っちゃうだろ。途中放棄すんのどーよ、暫く帰って来ないときの片付け誰がしてっか分かってんのか、チビ」
「……ぇ」

横に座るサモンはレオの頭をつんっと小突いた。続けてミナもバルモンクも溜息混じりに話す。

「旦那様がレオさん見つけたら暫くそこから離れませんよね」
「アンフィル様もかまい過ぎですな」

俺、皆の上司……。皆、部下じゃないの?
味方は誰一人いないのか。

「え、現行担当のまま決まりですか?」
「あたしはハウスとパーラー兼任でーす」
「レオはバトラー業務に集中でいいんです。領地財産管理は専門がいますしな」
「ところでよ、これ今朝出来上がったんだ。コンフェッティ食ってくれ。食が細いんだからよ、砂糖でも食えチビ」
「ちょ、なに」

サモンはレオの口に向けてコンフェッティをぐいぐい押し込んだ。

「あまい……」
「んだよ。糖衣で甘いに決まってんだろ、バカかチビ」
「チビじゃないです。レオですけど」
「強そうな名前負けしてんだから少し太れ」

な、なんだと。フィルに貰った名前なのに!
ぐぬぬぬ。サモン許すまじ。ジロリと睨むとニヤッと笑ってまた口に押し込もうとするのを手で押し返す。

「何するんですか、いらないです」
「美味しいのに。サモンさん。あたしアーモンド好きだし貰っていいですか?」
「まあまあ、ここの銘菓も仕入れましたぞ」

バルは街の人気菓子をワゴンに準備していた様で、各々に並べ出す。

「あたし、お茶いれます」
「業務会議、は?」
「そんなの今仕事まわってんだ。それでいーだろ。ほらチビ、あーんしろ口入れてやる」
「えぇ……」

サモンは焼き菓子をフォークに刺しレオに向ける。バルモンクとミナは何故か注視した。

「……なんですか」
「何だ可愛いのは顔だけか」
「サモン、それは今後絶対しない様に。アンフィル様が許しませんよ」
「そうか?俺小動物好きなんだわ」
「……誰が小動物」
「ふ、ふふっ、レオさん小柄ですしね」

ふふふ、ははっ、ほっほっほ

それぞれに何か含んだ笑いをする三人を半目で眺めるレオ。何なの。俺はこの人達とやっていけるんだろうか。既に仕事は十分過ぎるほどに皆出来ているから文句は無い。

俺の扱い以外は文句は無い。

そして久し振りに権力や媚び、腹黒い人の思惑も無い人達と過ごせる事に気付いたレオ。

もしかして他人に頼らない俺の性格を見越して、バルは押しが強く芯のある人選をしたのかな。サバサバしてるサモンもミナも悪い人じゃない。それはわかる。

フィルの執事に専念しろって事?

「ふふっ」

思わず漏れた笑い声に、三人はレオが優しく幼く感じさせる可愛いらしさで微笑んだのを見た。

(……チビ、やっぱ可愛いな)
(レオさんマジ癒し。あたし良い就職しちゃった!美形絡み多過ぎて萌え死にそう!)
(アンフィル様が見たらやきもきしそうな顔ですなあ。私も若ければなあ)

ある意味がっつり人の心を掴むレオ。従僕たちのティータイムは笑顔で続くのだった。
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