俺はいつも拾われている

つちやながる

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約束と共に歩む道

14 従僕たち2

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「サモン、ちょっと、ヤバいんだってば!」

厨房に勢い良く入るのは頬を赤らめ鼻息の荒いミナ。普段済ました顔が崩れるのは大抵可愛い上司の事だ。

「チビに何かあったか?」
「も、もう、あたし萌え死にそう」
「ああ?」

萌えるとは何だか分からんが。このミナと言うメイドは、同性婚も普通の大陸で珍しくもない男同士の絡みが好きだという事だけは分かった。

十も下の小娘に女友達の様に馴れ馴れしくされんのも何だが、そん時はチビの話だから聞いてやる。

「レオさんが目眩で、もう心配で堪らないって顔した旦那様に姫抱きで帰ってきたんですよ、もう完全見た目エルフ王と美姫ですよ?これが萌えずにいられる?」
「……目眩?」
「そうです、目眩、軽いから大丈夫。で、昼食を頼むってバルモンクさんが」
「チッ、先に言え」

山羊ミルク出したら口尖らせて『嫌いなんです』って言うあの小動物が目眩か。食が本当細いしな。何だったら食えるか。普通に粥でいいか。根菜入れよう。

「チビ、ミルク以外嫌いなもん無いな」
「苦い物です」
「はあ?」
「苦みの強い物って」
「……おう」


「なんでついてくるの」

ミナが俺が作ったリゾットを運ぶのに後ろについて歩く。

「チビの見舞い」

ちらっとサモンを見るミナの目がいやらしく笑む。

「気になっても旦那様が付きっきりで入れないんじゃないかなー」
「……つきっきり」

あの旦那とチビはそういう関係らしい。まあ溺愛してんの見て分かってんだけどな。

あれで二十三か。どう見ても十代半ば。美人で可愛いのに中身の気の強いこと。爪出してフーフー言ってる子猫にしか見えねーしな。

『無理をして倒れそうな上司の栄養管理を』って面接だけで高給職に受かったけどよ、あんな上司って有りかよ。

くっそ美味いもん食わしたいのに食べる量が少ねーんだよ。リゾットだって半分くらい食えるか気になるんだよ。

「バルモンクさん?」

ミナが立ち止まる先を見るとチビの部屋だというドアにバルモンクがへばり付いていた。

何やってんだ爺さん。まさか覗きか。

「シッ」

シッ、じゃねーよ。
ミナは当たり前の様に爺さんの横に並んでまあ……この二人はチビの周りでこそこそ何かいつもやってんだ。
見守ってるだか知んねーけど爺さんと気が合うってヤバく無いか。名高い大公の超ハイクラス執事だぞ。やってる事時々おかしいけどよ。

しれっと爺さんは中に入ってリゾットを置いて出て、またドアにへばり付く。

くそ。チビのやつ食えてっかな。
俺も気になり一番上からチラ見する。

あ、ぁあ!大公、チビにあーんだと?俺がやって拒否られたのにまさか食うのか?

その下でミナはぐっと拳を握りしめていた。
何かに萌えたようだ。

バルモンクはうんうんと話に聞き入っている様だった。

「……ンもバルもミナも心配しなくて大丈夫だよ」

バタン

バルモンクは思いっきり音を立てドアを閉めた。

覗きバレてるじゃねーか。

三人は姿勢を正して気不味くなる。

「はっはっは。仕事に戻りましょう。サモンは次にフルーツをカットしてくれますか」
「……おぅ」
「ミナはアンフィル様が放った衣裳を片してくれますかな」
「はーい」
「私はここでサモンのフルーツが届くのを待ちましょう」

……爺さんまた覗くつもりだろ。

なんだ。

これは本当に無理をする上司を見守り、健康管理が仕事ってことか。
こんな可愛い上司に、上司を心配して(?)見守る部下達。
なんだ、いい職場じゃねーか。

半分くらいはリゾット食えたかな。
あれは細いからな。
チビに美味いもん食わしでやんねーとな。

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