俺はいつも拾われている

つちやながる

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未来へと歩む道

9、失言ゆえに

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「子供に手を出すとは貴様!」
「オイオイおい、マジかよ」

フラッグは熱り立ち、ノールは頭を抱えた。俺は多分顔が紅潮してきてると思う。横に座るフィルは相変わらず淡々と話し続ける。

「レオはこう見えて二十三だ。そして同意の上の関係。問題ない。あとは噛んだ事だけ影響が詳細不明では困る」
「噛まなきゃいいだろーが」
「にじゅうさん、歳?!」

フラッグは俺を指差したから取り敢えずうんうん頷いてみるけどまた開口して固まった。

「問題ないとか、いや噛むってな。噛んだのか……いや確かに本気で気になる子はこう、ムラっと歯がムズムズしてな。噛んだ事は未だ無いけど、お前もあるだろ坊ちゃんよ」
「……まあ」
「て事は、アンフィルは本気なんだな。いや参ったね。お前がね」
「貴様が本気で?」

フンッと鼻息で返事をしたのか、フィルは目が笑ってないのに笑顔になった。

こわっ。超ブリザード感じる。

つい姿勢を正して座りなおしてみる。

俺を噛むのはフィルが本気って事?そんなに意外な事なのかな。今まで噛んだ事は無いって言ってたの本当なんだ?俺、今嬉しいとか思ったな。ああぁ、駄目だ。やっぱり俺はもう駄目なんだ。フィルから逃れられない運命ってやつなんだ。デ、ディスティニー。

落ち着かなくなって両手で顔を覆い隠した。

「付き合いきれん。エリアルはどうする」
「あれはレッグ一筋だろ。アンフィルは子育て支援と世間体から護ってただけだ。お前も相当だな。いい加減諦めろ」
「何だと」

ノールとフラッグも声が刺々しくなって来たのがわかった。同族嫌悪みたいなのがあるって聞いたけどそうなのかな。

「二人とも知らないと」
「他を当たれ。白けたから帰るぜ。レオっての仲良くやれよ」
「暫く会いたく無いものだ。レオとやら、その獣で困ったら力になるが覚えておけ。執事は従僕だ。わきまえろ。あの態度は品位に欠ける。じゃあ、俺も失礼する」

ノールは酒瓶を両手に、フラッグは時計を見て迎えを気にしながら屋敷から出て行った。

「収穫無し。次に行くかレオ」
「次?」
「帝都跡」
「南下?本は?」
「娯楽小説だから後でいい。俺も変わったがレオも変わったな」
「どこが」
「手をつねらなくなった。俺の執事は今まで通りでいい。レオはレオのままでいい」

フィルはフフッと笑み、俺の腰にあてた手を更にググッと力を入れたと思いきや、体重を一気に乗せて押し倒された。

なんつー早技。

「いいもんだな」
「意味がよくわかんないデス」
「あいつらの顔を見たか。間抜けな顔は早々みれないぞ。恋人か。自慢もいいもんだな」

自慢なんだ。俺が恋人で自慢?俺、溺愛されてるよね。それにフィルが楽しそう。うん。俺、認めるよ。

「嬉しい」
「……可愛いな」

引き寄せられるとはこの事だ。どちらからでもなく自然と唇を重ね、少し離れては微笑み合い、また唇を啄ばむ。
次第に熱が加わると深く、乱暴になるキスはお互いを煽り昂りを感じ始める。

恋人だって。伴侶って言わなかった。何だかんだ言っても俺の嫌がる事は面白がるけど、匙加減が絶妙なんだ。甘やかされ護られ安心して側にいられる。……甘々だな。

「っ、フィル」
「ん?」
「こ、ここソファなんだけど」
「何だ」

キスにうっとり頭でぼんやり考えてるうちに既にシャツははだけ、ズボンの中に手なんだけど!?

「な、何だじゃ無いデス。何でこうベッド以外でスイッチ入るわけ?」
「レオが煽るからな」
「は?」
「自覚無しも可愛い」
「え、え、ちょ、っん」

あわわわ。獣だ。獣降臨した!目がやらしいんだけどおおぉ。前を握りこまれては無闇に抵抗出来やしない。それで真っ直ぐ俺を見て射抜くんだから狡い、ずるいよ。抵抗する気なんか無くなるだろ。

ここが玄関ホール兼サロンだっていうのに。

ゆるゆると前を刺激されて、キスに身を委ねると快感しか追わなくなる訳で。

フィルも俺も最中に会話して楽しむタイプじゃなくて、ひたすら快感に行為に集中するってやつだ。絡み合う視線に身体に、触れ合う手と肌でお互いを確認する。

荒がる息の合間に思い出したようにキスをして頬を寄せ触れ合う。たまんないよ。

「あら、やだ」

「……いたのか」
「……う」
「帰宅したのよ。ここはあくまでも玄関サロンでしょ。場所変えてくれるかしら、ふふ」

「だ、だからベッド!」
「今更だ。来い」
「っも」
「どれだけ俺を煽れば気が済むんだお前は」

緩慢に乱れた格好のまま、手を繋ぎ部屋へと向かうって間抜けだ。

煽るって?知らないよ。俺のせいじゃない。多分恥ずかしさで顔が紅潮してるって言いたいんだろ?恥ずかしくさせるのはフィルじゃないか!くそうっ、くそーっ!

バルモンクに続きエリアルさんにまで見られたじゃないか。俺、見られて興奮とかないからね!くああぁっ!

「何ぶつぶつ言ってる。ほら脱げ」
「えぇ」
「何だ素直だったのに。可愛くなかせてやるから脱げ」
「言うことおっさん」
「……何だと」
「いえ、失言デス」
「ふふん」

あ、ああぁ、マズった。野獣スイッチ押したかも。俺のバカ!

「て、手加減して!」
「ははっ、さあな」



手加減なんて程遠く、あんあん泣かされたのは言うまでもない。

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