俺はいつも拾われている

つちやながる

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未来へと歩む道

20、未来へと続く道

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着替えてからフィルに連れて来られたのは、帝都時代の城跡だ。
石造りのそれは所々は崩れ原型を留めず、崩れ消え行く場所もあった。

高台にあるそれは、遊歩道となっている道で簡単に来れた。

階段になっている所に腰を下ろしてフィルは話し始めた。俺もその隣に座った。

「レオ、一族以外の変化は本当に知らなかった。不確かという答えは不満だろうな。俺はそれでいいと思ってる」
「……旅の意味が無いよ」
「すっきりしないからな。俺はレオが側にいればそれでいい」
「え」

俺が思ってた事と同じだ。フィルが俺と同じ気持ちだってこと?

「何があっても一緒にいたいんだ。何かあれば俺もバルもいる。それで良くないか?」
「……最初言ってた事と違う」
「そうだな。お前の一生を壊したと、変えてしまったと思ったんだ。だから知るのは大事だと。必要だと考えた」
「執事になった事で変わったよ。今更だ」
「そうか。変化は不確か。それは俺とバル、ルースで何かあれば対応する」
「……うん」

フィルは遠くを見ていた。

「側にいてくれるか?」
「え?うん」
「一生だぞ」
「バルみたいに歳とっても執事でいたい」
「ははっ、それでいい」
「一緒にいたいよ」
「俺もだ。眷属とかどうでもいい。レオは俺の執事。俺のレオだ。それだけでいい」

うだうだしてたのが無駄だったってわかる。
フィルはちゃんと俺の事が大切だと、俺は俺でいいと言ってくれる。
何だ。俺、ちゃんと相思相愛。フィルとラブラブでバカップルじゃないか。
歳食っても、俺がヨボヨボになっても執事でフィルに小言を言うんだ。

「うん……隠してることは?」

そこで漸くフィルが俺を見てくれた。

「一生側にいると言ったな?」
「え?……言ったけど」

コレ、パターンじゃない?最後にどーんって種明かしくる?やっぱり魔人族の悪癖だな。な、なんだろ。 
黙ってタメないでくれるかな。緊張してきたな。どきどきしてきたぞ。

ごくんと生唾を飲み込んでフィルの言葉を待った。

「俺はレオを噛んだ」
「……だね」
「あれは所謂マーキングだった」
「は?」
「眷属を増やす。これは家族を作る意味だった。伴侶にマーキングをして子を成すんだ」
「はい?」
「レオが嫌がった伴侶の印だ」

ちーん。

合掌。

伴侶。

即ち嫁。

という事は。
噛まれた時点でもう伴侶だったって事?!

「マジですか」

レオはガックリ項垂れた。

嫁コースだけは避けたかったのに?
オチがコレかよ!
そりゃフィルが隠したがるわけだ。
俺が怒り出すから?
嫌がるから?

「……だった、って言ったのはフィルは知らなかったて事だよね」
「そうだ。昔は多妻制だから眷属を増やすとは仲間を増やすと同義語だったようだ。妻が沢山で眷属、血筋が増えるというわけだ」
「ははっ、まさかの意味だね。俺、伴侶が嫌なのは執事じゃ無くなるからなんだ。公で伴侶の立場が上だし」

フィルは不思議そうな顔をした。

「執事でいい。伴侶だから何かしてほしい訳じゃない。共に生きて欲しいだけだ」

俺は感動した。
欲しかった言葉だった。
唇をきゅっと食んで、嬉し涙を堪えた。

「てゆか、それなら最初からそう言ってくれないかな!色々悩んだんだからな!」
「俺だってそうだ。レオだけ悩んでると思うな。こっちも初めてのことだ。お前は直ぐに溜め込むし聞いても来ないからな。匙加減が難しいんだよ。ぷりぷりするな」
「言われないなら俺に必要じゃないって思ってたんだよ!伴侶って嫁だと思うだろ!いつも説明不足なんだよ!」

むぎぎぎ。
ものっすごい遠回りした気がする!

言いたい事を吐き出してスッキリしたのか、お互い目を合わせて苦笑した。

「城では誓いの間と言うのがあった。伴侶である事を報せ記録していたらしい」
「それでここ?」
「結婚や伴侶という名はどうでもいい。レオが側にいてくれると誓ってくれたら嬉しい」
「……誓う」

それは迷わない。
未来は誰にもわからない。
でもフィルの執事でいることは誓える。

それが俺の道だから。

ふふっと笑い、レオとアンフィルは自然と近付き、誓いのキスをした。

うむ?

「むっ?」

た、体重乗せて来ないで、倒れる!まさか、倒したいのか!?ちょ、

「フィル!」
「ふふん」

ふふん、じゃない!
変なスイッチ入った?え?入ったの?!

「外は嫌だ!野外フェスは嫌だ!」
「何だフェスって、時々方言がでるな」
「冷静に押し倒さないでくれます?」
「冷静に抵抗するな」
「うぎぎぎ」
「ははっ、わかった。宿とるか」
「……お願、わっ!?」
「なんてな。愛は場所と時を選ばないぞ」

フィルはがっつりレオを押し倒した。

「イミフ!ちょ、ま、あっ、そこ、だっ
「うるさいな」
「うわーっ!」

シュチュフェチのアンフィルの所為で野外デビューしたのは言うまでもない。



「ぼさぼさね。何やってたのかしら」

メルダはアンフィルとレオの汚れと乱れ具合に呆れていた。レオの怠そうな顔と色香の増した雰囲気で何をしてたか一目瞭然だった。

「バスを借りる。明日旅に戻る」
「そう。元気でね。レオ、アンフィルを頼みましたよ」
「え?」
「この歳でバカ息子が二人になったわね」

やれやれとメルダは自室に下がった。

「……義母だ」
「は?」
「身体洗うぞ、レオ」
「えええっ!?」
「うるさい」
「フィル!」

義母?お母様?!
えええーーっ!!


俺、早まった?
溺愛コースから伴侶まで、敷かれたレールの上をひたすら走ってきた気がする。

転生って毎回楽じゃない。

それでも足掻いて満足する道を選ぶしかないんだ。

今世は伴侶がゴール?
違う。執事でフィルの側で生きるのがゴールだと思う。

喧嘩して捨てられても、また拾ってくれる自信が今はある。


俺は執事。

フィルの執事。

身も心も、
俺はいつもフィルに拾われている。




 


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感想 3

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みんなの感想(3件)

紅月
2020.04.29 紅月

14 人は狙って墓穴を惚れない

→墓穴を掘る
なので漢字は「掘る」の方だと思うのですが

解除
2017.05.10 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2017.05.15 つちやながる

読んで下さり有難うございます。つ、続きですか?この二人の終わりは何処に……。半端なので追加はしたいのですが構想も書き溜めゼロなので、また忘れた頃に覗いて頂けたら幸いです。

解除
煌
2017.03.12
ネタバレ含む
2017.03.13 つちやながる

読んで下さり有り難うございます。あ、そっち?の展開ですが楽しんでいただけたら嬉しいです☆

解除

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