23 / 71
ぬるい会話も大事だろ
しおりを挟む
ここは港町エウルス。海上要塞とまでいわれる程、突出した半島で城壁が囲む海上交易の町。帆船が行き交い商業が盛んらしい。
そして冒険者組合の前庭で、伏せって俺と向かい合わせでゴロゴロと行ったり来たり、転げては目の前に戻って来るのはクルフェル。服が砂まみれだ。
「……」
「わーんーこー」
「……」
「うーんーこー」
「……」
「き、ん、こ」
「……」
「金ザクザク、うはうは、ねー?」
「うるさいぞ熟女」
「…なぜ、しってる」
険しい顔になって這って近づいて来た。
賊の賞金を貰いに来たら、クルフェルが余りにも変わり果てた獣人の姿だったため、本人確認が証明書だけで信じてもらえなかったのだ。何のための証明書だか。
今はクロウが手続きから出てくるのを待っている。
「なーぜー、しっているー」
「寄るな。旅の商人が言ってたぞ熟女」
「ちっ」
「なんだ、若返って気にいってるのか。さっさと人に戻れ」
「…犬、お前、思考かたい、がんこ。人っぽい。主張主義もってる獣、面白い」
「……」
「魔狼、無益な殺生、きらい知ってる、でも、古い本のってるだけ。黒鉄魔狼《ブラロ》、とはなんだ」
パピヨンの顔をしたオバさんが鼻をすぴすぴ言わせながら話すんじゃねぇ。こいつに限り目元モザイクで横に(四十三歳)とかテロップが見えるわ。俺の耳がしんなり倒れた。
しかも魔狼とは何だ、だと?俺が知りたい。
「黒鉄魔狼と名付けたのは人間だ。本に載ってるならそれを見ろ。お前らが知らないことを俺が知るわけない」
「ふーん」
「魔獣で狼で話せるだけだ。住処に帰りたい」
「犬、もっと、世界をみろ。勿体ない」
「…俺は獣だ」
「あっはは!がんこ!人の世いる間、少しは人のルール、知るの大事」
郷に入ってはってやつか?少し首を傾げた。
「俺は犬だが」
「ちがう、ちがう。ただ、たくさん、色々見ろって、こと!それで得る物も、あるってこと」
「…獣に何をさせたい」
「おお…、魔狼、かしこい。個体差あるのか」
「…自分で調べろ」
「けち、だな」
「古竜や古い獣は知能高いし話せるだろ。そいつらに聞け」
そういうとポカーンとなって固まったパピヨンオバさん。え?なんか俺マズイ事いったか?
「え?古獣、って、はなせる?」
「じゃあ今お前と話してるのは何だ。人が嫌いで聞き流すのも多いが理解してるぞ。だから大昔はテイマーが多かったんだろ」
「ふ、ふふっ」
笑ったが目が獰猛に捕食者になったな。これはエサあげてしまったというのか、何だ。失敗したか?
嗅ぎ慣れた臭いが風に乗って来た。クロウだ。
近くに来たクロウはクルフェルと俺の距離を見て、ん?という顔をした。
「お待たせしましたー。仲良くなったんですか?」
「いや、四十三歳がしつこいだけだ」
「三十五歳、だし!」
「微妙だな」
「ですよね」
「うるさい!」
俺が話した事が、収穫になったようで機嫌がよくなったクルフェルは一冊の本をくれた。
ヒネリない題は「黒鉄魔狼」だった。クロウに読んでもらえだと。
魔狼含め古獣対象に拡大研究だ云々と対価以上だと満足したらしく、礼に二つ向こうまで明日転移してくれる事になった。
今日はこのエウルスに泊まる。
ああ、俺はもうすっかり昼夜逆転だ。
そして冒険者組合の前庭で、伏せって俺と向かい合わせでゴロゴロと行ったり来たり、転げては目の前に戻って来るのはクルフェル。服が砂まみれだ。
「……」
「わーんーこー」
「……」
「うーんーこー」
「……」
「き、ん、こ」
「……」
「金ザクザク、うはうは、ねー?」
「うるさいぞ熟女」
「…なぜ、しってる」
険しい顔になって這って近づいて来た。
賊の賞金を貰いに来たら、クルフェルが余りにも変わり果てた獣人の姿だったため、本人確認が証明書だけで信じてもらえなかったのだ。何のための証明書だか。
今はクロウが手続きから出てくるのを待っている。
「なーぜー、しっているー」
「寄るな。旅の商人が言ってたぞ熟女」
「ちっ」
「なんだ、若返って気にいってるのか。さっさと人に戻れ」
「…犬、お前、思考かたい、がんこ。人っぽい。主張主義もってる獣、面白い」
「……」
「魔狼、無益な殺生、きらい知ってる、でも、古い本のってるだけ。黒鉄魔狼《ブラロ》、とはなんだ」
パピヨンの顔をしたオバさんが鼻をすぴすぴ言わせながら話すんじゃねぇ。こいつに限り目元モザイクで横に(四十三歳)とかテロップが見えるわ。俺の耳がしんなり倒れた。
しかも魔狼とは何だ、だと?俺が知りたい。
「黒鉄魔狼と名付けたのは人間だ。本に載ってるならそれを見ろ。お前らが知らないことを俺が知るわけない」
「ふーん」
「魔獣で狼で話せるだけだ。住処に帰りたい」
「犬、もっと、世界をみろ。勿体ない」
「…俺は獣だ」
「あっはは!がんこ!人の世いる間、少しは人のルール、知るの大事」
郷に入ってはってやつか?少し首を傾げた。
「俺は犬だが」
「ちがう、ちがう。ただ、たくさん、色々見ろって、こと!それで得る物も、あるってこと」
「…獣に何をさせたい」
「おお…、魔狼、かしこい。個体差あるのか」
「…自分で調べろ」
「けち、だな」
「古竜や古い獣は知能高いし話せるだろ。そいつらに聞け」
そういうとポカーンとなって固まったパピヨンオバさん。え?なんか俺マズイ事いったか?
「え?古獣、って、はなせる?」
「じゃあ今お前と話してるのは何だ。人が嫌いで聞き流すのも多いが理解してるぞ。だから大昔はテイマーが多かったんだろ」
「ふ、ふふっ」
笑ったが目が獰猛に捕食者になったな。これはエサあげてしまったというのか、何だ。失敗したか?
嗅ぎ慣れた臭いが風に乗って来た。クロウだ。
近くに来たクロウはクルフェルと俺の距離を見て、ん?という顔をした。
「お待たせしましたー。仲良くなったんですか?」
「いや、四十三歳がしつこいだけだ」
「三十五歳、だし!」
「微妙だな」
「ですよね」
「うるさい!」
俺が話した事が、収穫になったようで機嫌がよくなったクルフェルは一冊の本をくれた。
ヒネリない題は「黒鉄魔狼」だった。クロウに読んでもらえだと。
魔狼含め古獣対象に拡大研究だ云々と対価以上だと満足したらしく、礼に二つ向こうまで明日転移してくれる事になった。
今日はこのエウルスに泊まる。
ああ、俺はもうすっかり昼夜逆転だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる