俺は帰りたいんですが。

つちやながる

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へんか来たれり

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「という事なんですよ!」

いや端折りすぎで全然解りません。ワンモアプリーズ。

屋台街の隅の方の野外席でマッチョ二人と一匹がヒソヒソと話す。魔狼は聞いているだけなのだが。ラズは話を続ける。

「魔王様は異世界からの記憶が少しばかり残っている事で時々話が通じないのです。この世人だと自覚はあれど、ふとした事に執着しまして力の制御が甘くなり、その結果のこの事態でして」

俺みたいな完全記憶保持者じゃないって事?

「魔獣殿は数千年生きるとも言われてます。長命ゆえ、転生者とも遭遇した事があるのでは?魔王様の話を聞いて貰えたら少しでも解決するかと」

俺って、数千年も生きるの?数千年・・・?えーと、俺が転生者です。言わないけどな。

「赤目の魔獣なら地上の町再生に魔力添えを頼もうと思ったんだが。その格上の金目の魔獣となれば話は別になるんだ。悪いな」

ロズゴはまた苦笑した。
そう言えば魔物にもランクがあったな。赤目の魔力が強い魔物は魔獣と呼ばれる。知性も魔力も上級冒険者より上。その更に上が俺みたいな希少古代種の金目だとか。

もうここは上から目線でいこう。だってそうだろ。変に協力して貧乏くじは避けたい。

「対価次第だ」
「おお、やはり話せるのですね。失礼乍ら呼び名は何と」
「人名は魔狼。呼び名はループス」
「まさかの魔狼様ですか!光栄な事で。してループス殿の望みとは何ですか?」

ラズは少しばかり心配そうに構えた。
魔狼は今までの自分への反応を鑑みて、ラズの薄い反応は新鮮だと目を細めた。何か期待の様な感覚を感じた。

「帰郷。住処に帰ることだ」
「はい?」
「グルガナの霧の森に帰りたい。阿呆な魔術師の召喚で帰れず困っている。どうだ」
「召喚とはまた珍しい。契約ですか」
「俺には効かん」

失敗は黙っといてやるぞクロウ。

「グルガナとは何処だかラズ知ってるか」
「この大陸ではないですね?」

ロズゴはラズに聞いたが、ラズも場所は知らないようだ。

「阿呆な魔術師は行った所でマーカーが無いと転移が無理だという。お前達も無理か」
「いえ?マーカーは、いりませんよ」
「本当か!!」

俺は口をハッハッと開け興奮してテーブルに前脚を置いた。

「ええ。魔族だけ出来る術ですね。人は魔術師になれますが魔力幅が違うのでマーカーがいるんですよ」

か、神よ…!ゴッドファーザーよおぉぉ!!
もう俺は信者でも無いが祈りたくなったぞ!やっと、やっと、先の見えない道に光が見えた。天を仰いでもここは地下。土の天井だがもう気分は最高じゃないか!
魔狼は上を向いて感動に浸っていた。

「やりますか、やりませんか、ループス殿」

一気に安っぽくなる聞き方やめてくれ。取り敢えず詳細後の確約だ。見積もり書を出せ。

「魔王の情報も聞いてない今は即答し兼る。もう一歩詳細を詰めてからだ」
「そうですか。これは失礼を」
「それに連れに話を付けてくる必要がある」

連れという言葉に首を傾げたラズ。ロズゴも同様だった。

「ああ、それで許可証が首に。誰かと来たってことか。連れはどんな奴だ?」

ロズゴは首紐を見て納得した。

「確か魔族と知り合いといっていたぞ。魔術師シャズナルとクルフェルだが」

その名を聞いた途端、ラズにロズゴ、二人は顔を見合わせて笑い始めた。

は?

「はははっ!あいつらか!」
「世の中は狭いですねえ!その魔術師はうちの家の門下生でしたよ。弟子です。あはは!ここに来てるんですか?」
「え。あ、来てるが、弟子か。あんた達魔族も見た目は若いが長命か?」

二人はどう見てもクロウと同年二十代にしか見えなかった。

「それでも人の倍程度ですよ。好きに姿を変えてるだけで、私はジジイです」
「ラズはジジイだが俺はこのままだ。クロウと同じ歳だな」
「そうか。じゃあ取り敢えず連れてくるぞ」
「頼みますよ。町の再生手伝いしてもらおうかな。あははは!」

ラズは楽しそうに笑っていた。

ふ、ふふふ。

もう俺はテンション上がりマックスだった。
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