俺は帰りたいんですが。

つちやながる

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ほんねはどうだか俺は問う

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「無理です。それは本当に無理」

クロウは顔に縦斜線が入って見えるくらい青ざめた。
集合場所にはクロウしか居なかった。クルフェルは予通りの行動なのか、魔族の気配を察しての行動なのかは不明だが。

とりあえず宿に行き、今後について俺なりに説明したのにクロウは速攻拒否だった。

「何でだ。弟子だったんだろう。それに俺が帰れる。いい話じゃないか」

そう。俺が転移で直ぐ帰れるんだ。あの閑雅な霧の森。食べて寝て獣として生きて来た俺が俺で居るべき場所。目を細めて懐かしんでいたのが分かったのかクロウは話始めた。

「魔族の何を知っていますか」
「魔力が人より強い。魔王がいる、長命?」

首を気持ち斜めに答えると、なんとも言えない顔の真顔で溜め息をつかれた。

「確かに魔力が強い者だけが魔術師になれ、術を求めて魔術の祖と云われる魔族に弟子入りします。魔族も皆が魔力が強い訳じゃないんです。血脈を守る一族だけなんです。ここまではいいですか?」

何かクロウの顔つき変わってきたな。取り敢えずわそれは解るぞ。

「古い血筋が高魔力一族って事か。どうせ魔王もその血筋だろ。それらがココに来て町を再建して魔王の世話もしたらいいのにな」

魔王の名を出した途端クワッと目を見開くクロウ。完全に目付きが変わった。
こいつヤバくないか。変なキノコとか食べてないよな。魔王キノコ効果なのか?微妙に首を傾げた俺に、クロウは話を続けた。

「あの一族は個人至上主義が多いんです。クルフェルの様に他人は気にしない、変態が多くて言葉通じないし面白い事優先でどれだけ精神を削られるか。魔王様の尻拭いなんか側近しか付合いませんよ!俺は行きたくないですね。魔狼様には申し訳ないですが、魔術に関して得るものが無いなら近付きたくありません」

ふぅふぅ息も荒いし鼻と目が開いて銀華の君どころじゃ無い顔だった。

「そんなにやばいのか。魔王とは何だ」

魔王の名を出した途端に、今までのクロウの阿呆な印象を払拭させる利潤優先発言。これには魔狼もさすがに驚いた。ラズもロズゴも裏があるという事か。このままでは魔族と交渉どころではないが、それでも得るべきものは情報だ。
この世の中を俺は知らない。知らなくて良かった筈なのに必要に迫られる。次から次に本当に面倒臭い。クロウのせいだとは思ってはいるが憎んだりはしていない。只々面倒臭かった。
魔狼は希望が見えた事で浮ついていたが多少は苛ついてはいた。耳を前後に動かし尾も忙しなく床を叩いている。
眉間に皺を寄せ半目で沈黙しジーッと魔狼を見ているクロウ。魔狼はあの条件を思い出す。

「偉そうな事を言っているがクロウ、お前は今、俺の下僕だったはずだが。主の命は絶対だと思うか?従うべきか?どう思う?」

クロウはあっ、という顔をした。

「俺は魔王について詳細を求める。更には付き従い、住処に帰れるまで最後まで面倒を見ると承知した責任とやらを果たしてもらいたい。お前はココで放棄するのか。また自分のした事に何も成さずに投げ出すのか」

これでどうだと言わんばかりにフフンと鼻先を上げ言い切った魔狼。
クロウは落ち着いた顔に戻っていた。

「…そうですね。確かに俺は下僕。自ら望んでついて来た事も目的も忘れかけてましたね。すみません。嫌な事に、己の苦境に対峙してこその成長。魔狼様を理解し尊敬し共に歩み、ここに在る意味を見出し、新たなる、
「おい。そこまでだ」

段々と頬を紅潮させ、うっとりした目で俺を見始めたことに全身の毛がぶわと逆立ったから話を遮った。
久々に超気持ち悪い。お前も犬好きなのか、俺マニアになったのか知らないが十分変態の域に入ってると思う。師が師なら魔術師は何にせよ変人なのだろう。

「あ、はい。すみません。魔王の詳細を、」

魔狼はこれで魔王に会う事と転移帰郷が対価に見合うのか。判断材料のひとつになると踏んでいた。



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