武器は棍棒。撲殺系いっぱん羊飼いの俺、スキルXitterで超越者たちと相互フォローになってしまい「力が欲しいか?」とウザ絡みされる

うーぱー

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第3章:カス村長ぶちのめし編

3-11. 村長に棍棒をぶちかます! ケルリルは興奮しすぎて絶頂

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 さあ。いよいよ俺の番だ。

「安心してくれ、村長。俺で最後だ。これであんたの罪は払われる。俺は何発も叩いたりしない。一撃だ」

「い、ひぎぶ」

「なに言ってるか分かんねえよ」

 俺は野球のバッターのように棍棒を構え、全力スイング。
 しかし、すぐに急停止。
 反転して再び棍棒をスイング開始位置に戻す。
 そして、全身に蓄えた力を全解放。
 威力倍増のダブルポンプスイングを喰らえ!

 ドゴムッ!
 パァアアアアンッ!

 脂肪で膨らんだ腹に全力の一撃を決めると、風船が破裂するような快音が響いた。

「ぶちのめすぞ!」

 俺は決めセリフを吐き捨てた。
 脅しの予告「ぶちのめすぞ」ではない。
 また同じことを繰り返したら、何度でも「ぶちのめすぞ」という宣言だ。

「あびゃっ、あびゃ、あびゃ。びゅぶ、ぶっ」

 村長は血を吐きながらごろごろと転がり、住民たちの作る罪払いの道を逆戻りだ。
 醜い肉の塊がピクピクと痙攣している。
 さすがに住民は、もう攻撃を加えない。


────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
おー。
すっとしたー
────────────────────
■自分
ほら。ケルリルも満足したか?
……ん?
どうした、ケルリル?
────────────────────
■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ
(ビクンッ……! ビクンッ……!)
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
これ、白目むいて舌をたらしながら意識がトんでるだろ
────────────────────
■自分
興奮しすぎてイっちまったのか……
────────────────────


 従騎士さんは「お見事」と俺に言い残すと村長の元に向かい、脇にしゃがんで回復魔法を使い始めた。

「ほう。デバフの一撃でこれか。本来ならば3メートル級ドラゴンの尾に匹敵する威力があるとみた。内臓はほとんど潰れている。久しぶりに治しがいがある」

「あびゅー。あびゅー」

 村長が何かうめき続けている。
 どうやら痛みと恐怖で精神が壊れたようだ。
 村長はうつろな表情で口から血の泡を吐きつつ、空に向かって笑みを浮かべている。

 余罪の多さからすれば、もっと苦しんでほしいんだが……と俺が思っていると――。

 列の向こうで騎士アーサーが、まさに聞きたいことを言う。

「慈悲深き村人たちよ。心配するな。ラルム様の慈悲の魔法で村長の精神は、すぐに妖精の国からこちらに呼び戻す」

 アーサーさん、皮肉も言えるなんて、マジで立派な方だな。

「村長の罪は裁かれた。異論のある者は手を上げよ」

 しん……。

 村長はこの後、餓死するまで幽閉されるのだから、村人の誰も不満はない。

「では、これにて裁判の終わりを告げる!」

 アーサーさんが剣を鞘に収めた。

 従者も盾を下げた。途中から存在をすっかり忘れていたけど、お前、ずっと盾を掲げていたのか……。お疲れ様だ。

 裁判が終わり、村長の件は片付いた。

 はあ。それにしても、中世的な解決方法だ。
 最高すぎる。
 警察組織がないんだし、こういう暴力的な裁判で犯罪抑止しているのだろう。

 村民が、ひとり、またひとりと村へつまさきを向ける。
 イベントは終了だ。みんな仕事に戻る。
 男たちは一日分でも多く家族の食糧を備蓄し、女たちは一切れでも多くの布を織って冬に備える。

 村最大の悪は片付いた。
 だが、村にはもうひとり、悪しき存在がいる。
 俺の母さんを狙っている顎傷のジャックだ……。

 俺は友人のヨッシュ、その嫁のアンナが待ってくれていたので合流して、家の方へ歩きだす。
 男がふたり並んで歩き、アンナは少し後ろをついてくる。

 その途中、足を引きずるジャックがいた。

 どうする?
 近くに騎士がいる。
 村長の時みたいに、大声を上げて、こいつが聖女候補の母を陵辱したがっていることを知らしめるか?

 しかし、同じことを二回も繰り返すと、怪しまれるか?

 それに、顎傷のジャックは一応、村を護って負傷した英雄だ。村人が彼を擁護する可能性はあるし、騎士だって彼のような戦士に好印象を抱く恐れがある。

 村長は、上手くアーサーさんの前で失言を引き出すことに成功したが、次も上手くいくか?

 ジャックを追い詰める決定的な証拠がない……!

 それに、騎士だって男だ。
 もし、次の裁判で騎士が俺の美しい母さんを見てしまえば、よからぬ劣情を抱いて襲うかもしれない。

 騎士とて、所詮、男……!
 エンターテインメント作品では高潔な存在として描かれることが多いが、実際の中世ヨーロッパでは、敵から略奪したり女を陵辱したりする、卑劣な者もいた。女を誘拐して連れ去ることもあった。

 俺の母さんの美しさを前に、冷静を保てなくなる恐れがある!
 騎士は頼れない!


────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
お前、母親のことになると、知能が衰えるよな
────────────────────
■自分
は? なんだって?
────────────────────
■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
……別に。何も
────────────────────
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