武器は棍棒。撲殺系いっぱん羊飼いの俺、スキルXitterで超越者たちと相互フォローになってしまい「力が欲しいか?」とウザ絡みされる

うーぱー

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第5章:王都への旅

5-2. 旅の荷物を紹介する

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■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
なあ。お前が背負っている袋には何が入っているんだ?
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■自分
普通の旅の荷物だ
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■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
詳しく教えて
────────────────────
■自分
は?
いや、荷物なんて見ても面白くないだろ?
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■ヴォルグルーエル@闇刻あんこく魔王
いやいやいや、我はそういうところ、興味津々だ!
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■自分
そうか。分かったよ
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 さて。荷物は次の物を用意した。


・丸パン:3個

 日本で売っているような物より大きい。バレーボールを二等分にしたくらいのサイズで、1日1個食べる想定だ。小麦は少なめで大麦を多く使用しているため茶色い。

 村ではパンはひとり1個と定められていて、パン食にはその数しか用意しない。特別な事情があれば事前に予約して追加可能だが、今回は急な旅なので、予約できなかった。
 そのため、これは今日の俺用の1個と、母さんとユーノの今日の分だ。貴重な食糧を提供してくれた母さんの愛を感じる……。

 申し訳ないが、ふたりは今日、チーズや麦を煮た粥を多めに食べてもらう。

 旅の日程は聞いていないが、さすがに3日もすれば街や村に寄るだろうから、そこでパンを補充するつもりだ。


・山羊チーズ2個

 俺が育てた山羊から絞ったミルクで、俺と母さんが作ったチーズだ。ふたりの愛の結晶とも言う。
 日本で売っているような牛のチーズと異なり、酸味があり、しっとりしている。色は白っぽい。

 自動車のタイヤくらいの大きさがあり、今回用意した荷物の中で、ダントツの最大サイズだ。下の妹のユーノくらいの重さがある。

 荷物袋に入らないので、紐で縛って俺が背負って運ぶ。それが1個め。

 さらに、藁を編んで作った座布団のようなシートをレストの背中に縛り、その上にチーズをくくりつける。これが2個め。

 合計40キログラムくらいのチーズだ。メイと同じくらいの重さになるこれは、だいたい1年間に山羊1頭の乳から作れる。

 大量に作っているので村人に分けあたえたあとでも、家にはまだ3個くらいある。これを主食にしたら、仮に俺とメイが家にいたとしても余裕で越冬できる量だ。

 旅に持って行くチーズは俺とメイだけで食べるつもりはなく、騎士やソフィアさんやサリナちゃんにも分けるつもりだ。
 まあ、羊飼いにとっての名刺代わりみたいなものだ。お近づきの印として「俺が育てた山羊のチーズです」と贈るつもりだ。

 むき出しで輸送するから不衛生だが、この時代の人はあまり気にしないし、空気と接する部分は削る。削りかすや端切れはレストにあげたり、馬に食べさせたりすればいい。


・乾燥野菜:給食袋サイズの革袋1杯

 旅の秘密兵器とも言えるアイテム。俺の水魔法で作ったフリーズドライ野菜だ。おそらく世界に1つ。
 軽くて運びやすい。旅で不足しがちな野菜を手軽に補給できる。


・ナイフ:1本

 戦闘用ではない。狩りの獲物やパンやチーズなどを切ったり、木を削ったりする。


・木靴:1足

 俺は普段は革の靴を履いているが、道路次第では木靴に履き替える。例えば泥濘ぬかるんでいるところは、革靴だと水が染みてしまうから、木靴の方が便利だ。
 道路は整備されていないので、とにかく、悪路が多い。多分、街で最も多い職業は、靴の修理人。それくらい、悪路だらけで靴は壊れやすい。


・靴の修理キット一式

 太い針、太い糸、革の切れ端。俺は靴の修理職人ではないが、旅では応急処置が必要になることが多い。
 さすがに王都へ向かう街道はよく整備されているはずだが、俺は普段、山を歩いているから応急処置の道具は手放せない。


・薬草:1袋

 HPが回復するようなものではない。解熱や下痢用。あまり効果はない。今のところ、俺は本当に効果のある薬草を見たことはない。


・ロープ:2本

 洗濯物を干したり、狩りの罠を作ったりする。


・釘:2本

 マントを木に固定したり、地面に文字を書いたり、様々な用途で使う。


・マント:1着

 羊の皮を編んで作った一枚布。羊毛ではなく「皮」製だ。
 雨が降ればカッパになるし、寝るときは掛け布団になる。母さんが旅の無事を祈ってAと刺繍してくれた。愛情が込められている最高のアイテムだ。これに包まれて眠ることにより、毎晩、母さんを思いだすつもりだ。


・下着:1枚

 水魔法で手洗いするから予備は1枚でじゅうぶん。


・パンパイプ:1個

 羊飼いの笛。旅では使わないが、まあ、お守りみたいな物だ。


・スカーフ:4枚

 自分用と、聖女候補用。貧乏人や奴隷だと思われないための装飾品。おそらく王都で使うことになる。街に行ったことのある俺が、他の人の分も用意しておいた。


・革袋:4個

 水筒として使う。内側に松の油が塗られていて防水してあるが、乱暴に扱うと漏れる。
 2個は俺が持ち、残り2個はレストの背中にくくりつけてある。


 あとは、いつもの短槍と棍棒を腰のベルトに引っかける。

 妹のメイは、劣化版俺といった感じの荷物だ。
 丸パン3個、ナイフ、木靴、薬草、ロープ、釘、マント、空の革袋×2、下着を荷物袋に入れて背負う。中身の入った水筒用の革袋を1つ、腰にさげる。

 基本的にメイの食料は道具類は俺が運ぶ。メイに持たせたのは、俺とはぐれても自力で3日生きるための装備だ。

 メイは棍棒と呼ぶのは気が引ける細さの、長い棒を持つ。杖代わりにしつつ、護身用に使う。

 メイは山村暮らしの半野生児だから一般人よりかは遙かに体力があると思う。だが、まだ小学校高学年くらいだから、あまり無理はさせられない。無理そうなら荷物は俺が持つつもりだ。とりあえず旅に慣れてもらうため、しばらくは本人に運ばせる。

 来年からメイにひとりで遊牧に行かせられるか、俺は厳しい目で見ていくつもりだ。
 今回の旅は俺的に魔族討伐だけでなく、ついでに妹たちの結婚資金稼ぎと、父親の消息捜しと、妹の羊飼い独り立ち試験も兼ねている。

 ……わりと魔族はどうでもいいな。
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