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68話。とりあえず穴に飛びこむ。その後、下から女の子達を見上げる
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「まあ、とにかく、俺が最初に突入する。安全そうなら合図を送る。そうしたらシャルが来てくれ」
「敵が待ち構えているかもしれない。同時に突入しよう」
「いや、毒ガスや罠の可能性がある。防御力の高い俺が先に行く」
「駄目だ。相手は高度な奴隷スキルを持っている。お前が奴隷化されて敵に回ると厄介だ。私が先に行く。私が奴隷化されたら、お前が私を止めるんだ」
「……?!」
奴隷?!
……それって、エッチな感じになる可能性があるよな?
エッチな意味で奴隷になったシャルロットが、エッチな意味で大変なことになっている絵面をしっかり妄想した俺はモンスターホール(なんかエッチな言葉に思えてきた)の方に体を向け、内部を観察しているフリをしながらしゃがみこむ。
「大丈夫だ。俺が奴隷化しても、お前に触れた瞬間に意識を失う。そういう意味では俺が行くべきだ。お前が奴隷になって俺が無力化される方が怖い」
「……たしかに。私がスボスラの奴隷になってアーサーが意識を失うパターンが最も危険か」
「ああ。だから俺が行く」
「分かった。これを持っていけ」
シャルロットが蒸しパンのような、スポンジたわしのような、乾燥ヘチマのような謎の物体を出した。
「これは?」
俺は受け取ったそれを観察する。細かい穴がいっぱいあいててふわふわしている。かなり軽い。
「発光植物だ。ちぎると発光する。これを落とし、目印として使う。2つほど持っていけ」
「あ、なる」
下ネタを言った気がした俺は「ほど」と付け加えるか一瞬、戸惑う。しかし、言えずに数秒経過したので、もう言うタイミングはない。
つまりはヘンゼルとグレーテルだな。
……ヘンゼルとグレーテル?
「これって食べれる?」
「植物だから食べられないことはないと思うが、腹が減っているなら何か用意するぞ」
「いや、違うんだ。仮の話だが、例えば村人全員が実は既に親父の奴隷で、俺の突入後に穴周辺を包囲したとする。それで、逃げ場を失ったサフィたちが穴に入るだろ?」
「ああ。十分に考えられることだ。だからこそ、目印となる、この発光植物をちぎって落としていくんだ」
「うん。それでサフィは俺たちと合流できる。だがな、その移動中に――」
俺はメルディの馬面を見る。
「ブヒ?(なに?)」
俺はシャルロットに視線を戻して続ける。
「馬が食べたらどうする?」
「え?」
「なんか落ちてる~。美味しそうブヒ~。パクパク……。となったら? もし地下が複雑な迷路になっていたら迷子になる」
「あ、なる」
さっき俺が「あ、なる」と言ったから、その言葉がうつってしまったらしく、シャルロットがちょっと下ネタっぽいことを口にした。
「アーサーが出発し次第、馬には飼い葉を与えて腹を満たせておく。サフィ。頼めるか?」
「任せるみゃ!」
語尾のせいで拒否られたみたいだが「任せてくれ」って意味だろう。
「シフィもサフィを手伝うんだ」
「うんワン!」
さすがシャルロット。
シフィに『何もできない無力感』を与えないよう、ちゃんとお仕事を与えた。
「よし。決まりだな。じゃあ、行ってくる!」
俺は念のために、気か魔力かスキルパワーか生体エネルギーか何か知らないけど、体の中にある不思議力で全身を覆って、ガードしながら穴に飛びこむ。
ドボンッ!
水?!
「ガボボボボッ……。マイグラがよ(※)!」
※:ゲームのこと。高い位置から落ちるとダメージをくらうため、縦穴の落下地点に水をためておく。そうすると落下時にダメージがないため、はしごを使わずに高速移動ができる。
俺の体は落下の勢いで数メートル沈んだ。
しかし、慌てない。
人間は大人しくしていたら体の1パーセントくらいが浮く。その1パーセントが鼻と口になるよう、腕は上げず仰け反った姿勢をとるのが、生きるためのコツ。
これで勝手に浮いて、鼻と口が上に出るはずだ。
へへっ。地味に役立つ現代知識。
俺は上下左右が分からない状態だが、息を止めてじっとしてたら体が浮くのを待つ。
やがて、視界が明るくなり、口と鼻が水面に出た。
ん。
空が見える。意外と浅い穴だった。
溺れる可能性があるから続けるわけにはいかないが、先ずは状況確認のために脚を動かして体を垂直にし、周囲を見る。
暗くて分かりにくいが近い位置に地面がある。
俺はそっちへ移動して、地上(地下だが)に上がった。
「ふう。こんな所に水なんかためやがって……。地下水が溜まったのか?」
おそらく山の城から続く地下通路なので意図的か意図せずかは分からないが、傾斜があるのだろう。
「臭ッ……。獣臭か?」
水から上がると異臭が立ちこめていることが分かった。しかし周囲に獣の気配はない。臭いだけが残っている?
見上げた感じだと、穴は20メートルくらいの深さだ。
こんなのでも、上から覗くと下は見えなくなるもんなんだな。
上からは分からなかったが、よく見ると壁面にスロープが掘ってある。結構な幅がある。馬の出入りも可能か?
地下通路の用途を考慮すると、もしかしたら、意図的に上からはスロープが分かりづらい構造になっているのかもしれない。
俺はスロープをのぼって地上に向かう。
穴の縁に立ち、心配そうに中を見ているシャルロットの下着(スパッツのようなもの)とサフィのパンツ(ニュルンで買ったちゃんとしたパンツ)が見えた。
「ステータスオープン!」
シフィは穿いてなかった。俺は咄嗟にステータスウインドウでシフィの股間を隠した。あとでパンツを買ってあげなきゃ。
「何があったアーサー! なんで濡れてるんだ」
「中は暗くて見えないが。下は水が溜まっていた。飛びこまなくて正解だ。ちょうどここがせり出していて分かりづらいが、この下から壁に沿ってスロープがあって、そこから移動するようになっていた」
「なるほど」
「それじゃあ、俺は進むから、少し時間をあけてシャルも来てくれ」
「分かった。聖書の一節を唱えてから出発する」
俺は穴に戻った。
「敵が待ち構えているかもしれない。同時に突入しよう」
「いや、毒ガスや罠の可能性がある。防御力の高い俺が先に行く」
「駄目だ。相手は高度な奴隷スキルを持っている。お前が奴隷化されて敵に回ると厄介だ。私が先に行く。私が奴隷化されたら、お前が私を止めるんだ」
「……?!」
奴隷?!
……それって、エッチな感じになる可能性があるよな?
エッチな意味で奴隷になったシャルロットが、エッチな意味で大変なことになっている絵面をしっかり妄想した俺はモンスターホール(なんかエッチな言葉に思えてきた)の方に体を向け、内部を観察しているフリをしながらしゃがみこむ。
「大丈夫だ。俺が奴隷化しても、お前に触れた瞬間に意識を失う。そういう意味では俺が行くべきだ。お前が奴隷になって俺が無力化される方が怖い」
「……たしかに。私がスボスラの奴隷になってアーサーが意識を失うパターンが最も危険か」
「ああ。だから俺が行く」
「分かった。これを持っていけ」
シャルロットが蒸しパンのような、スポンジたわしのような、乾燥ヘチマのような謎の物体を出した。
「これは?」
俺は受け取ったそれを観察する。細かい穴がいっぱいあいててふわふわしている。かなり軽い。
「発光植物だ。ちぎると発光する。これを落とし、目印として使う。2つほど持っていけ」
「あ、なる」
下ネタを言った気がした俺は「ほど」と付け加えるか一瞬、戸惑う。しかし、言えずに数秒経過したので、もう言うタイミングはない。
つまりはヘンゼルとグレーテルだな。
……ヘンゼルとグレーテル?
「これって食べれる?」
「植物だから食べられないことはないと思うが、腹が減っているなら何か用意するぞ」
「いや、違うんだ。仮の話だが、例えば村人全員が実は既に親父の奴隷で、俺の突入後に穴周辺を包囲したとする。それで、逃げ場を失ったサフィたちが穴に入るだろ?」
「ああ。十分に考えられることだ。だからこそ、目印となる、この発光植物をちぎって落としていくんだ」
「うん。それでサフィは俺たちと合流できる。だがな、その移動中に――」
俺はメルディの馬面を見る。
「ブヒ?(なに?)」
俺はシャルロットに視線を戻して続ける。
「馬が食べたらどうする?」
「え?」
「なんか落ちてる~。美味しそうブヒ~。パクパク……。となったら? もし地下が複雑な迷路になっていたら迷子になる」
「あ、なる」
さっき俺が「あ、なる」と言ったから、その言葉がうつってしまったらしく、シャルロットがちょっと下ネタっぽいことを口にした。
「アーサーが出発し次第、馬には飼い葉を与えて腹を満たせておく。サフィ。頼めるか?」
「任せるみゃ!」
語尾のせいで拒否られたみたいだが「任せてくれ」って意味だろう。
「シフィもサフィを手伝うんだ」
「うんワン!」
さすがシャルロット。
シフィに『何もできない無力感』を与えないよう、ちゃんとお仕事を与えた。
「よし。決まりだな。じゃあ、行ってくる!」
俺は念のために、気か魔力かスキルパワーか生体エネルギーか何か知らないけど、体の中にある不思議力で全身を覆って、ガードしながら穴に飛びこむ。
ドボンッ!
水?!
「ガボボボボッ……。マイグラがよ(※)!」
※:ゲームのこと。高い位置から落ちるとダメージをくらうため、縦穴の落下地点に水をためておく。そうすると落下時にダメージがないため、はしごを使わずに高速移動ができる。
俺の体は落下の勢いで数メートル沈んだ。
しかし、慌てない。
人間は大人しくしていたら体の1パーセントくらいが浮く。その1パーセントが鼻と口になるよう、腕は上げず仰け反った姿勢をとるのが、生きるためのコツ。
これで勝手に浮いて、鼻と口が上に出るはずだ。
へへっ。地味に役立つ現代知識。
俺は上下左右が分からない状態だが、息を止めてじっとしてたら体が浮くのを待つ。
やがて、視界が明るくなり、口と鼻が水面に出た。
ん。
空が見える。意外と浅い穴だった。
溺れる可能性があるから続けるわけにはいかないが、先ずは状況確認のために脚を動かして体を垂直にし、周囲を見る。
暗くて分かりにくいが近い位置に地面がある。
俺はそっちへ移動して、地上(地下だが)に上がった。
「ふう。こんな所に水なんかためやがって……。地下水が溜まったのか?」
おそらく山の城から続く地下通路なので意図的か意図せずかは分からないが、傾斜があるのだろう。
「臭ッ……。獣臭か?」
水から上がると異臭が立ちこめていることが分かった。しかし周囲に獣の気配はない。臭いだけが残っている?
見上げた感じだと、穴は20メートルくらいの深さだ。
こんなのでも、上から覗くと下は見えなくなるもんなんだな。
上からは分からなかったが、よく見ると壁面にスロープが掘ってある。結構な幅がある。馬の出入りも可能か?
地下通路の用途を考慮すると、もしかしたら、意図的に上からはスロープが分かりづらい構造になっているのかもしれない。
俺はスロープをのぼって地上に向かう。
穴の縁に立ち、心配そうに中を見ているシャルロットの下着(スパッツのようなもの)とサフィのパンツ(ニュルンで買ったちゃんとしたパンツ)が見えた。
「ステータスオープン!」
シフィは穿いてなかった。俺は咄嗟にステータスウインドウでシフィの股間を隠した。あとでパンツを買ってあげなきゃ。
「何があったアーサー! なんで濡れてるんだ」
「中は暗くて見えないが。下は水が溜まっていた。飛びこまなくて正解だ。ちょうどここがせり出していて分かりづらいが、この下から壁に沿ってスロープがあって、そこから移動するようになっていた」
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「それじゃあ、俺は進むから、少し時間をあけてシャルも来てくれ」
「分かった。聖書の一節を唱えてから出発する」
俺は穴に戻った。
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