death after

kzeroen

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終章天界・現世編

chapter70 last

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あの事件に関わった人達は、全員修羅の修理へ。兵士や修羅に住む人達が協力し合い、わずか一週間で城の一階部分は出来た。そして今、会議室にある二人に呼び出された。
 
「蘇生はするのですね奈佐君」
 
「はい、俺は現世である目的があるため蘇生します」
 
会議室にいるのは真剣な表情の竜嬉と圭助、それに礼。礼は地玉を片手に持ち、竜嬉は横に天玉を置いていた
 
「わかりました。明日にでも天界に行きましょう」
 
「うっし、天使ちゃんや、女神さんに…」
 
嬉しそうな顔をした礼は、一瞬にして表情が変わった。理由は竜嬉が礼の足を踏んだからだ…
 
「何不謹慎な事を考えるのですか、礼!」
 
「別にいいだろ、こっちには野郎や鬼や、小動物ばかりだからよ~」
 
「それは仕方ありません」
 
拗ねている礼はふくれっ面になり、俺は苦笑いしか出来なかった。まぁ天使や女神も見てみたいけどな
 
「明日の正午、裁判所前までお願いします」
 
「わかりました」
 
部屋を後にした圭助は、霊華に船の船頭を頼み家に戻ることにした。ちなみに冬至と納は、まだ修羅の修理で忙しいため冥界にはいない
 
「ただいま~母さん」

「おかえり、圭助」
 
圭助は玄関から戻るとリビングに向かい、昼食を待つ
 
「つかれたー! 」
 
「だなぁ…」
 
「こんな日はサボるに限るよね~」
 
「ああ、確かになぁ…?!」
 
圭助が横を見ると、疲れた表情で片手をあげている霊華がいた
 
「たっ、確かお前俺を降ろした後すぐ三途に行ったよな?!」
 
「行ったよ~」
 
確かに間違い無く俺を降ろした確認した…けど俺より先に家に上がるって…
 
「お前まさか上の…」
 
霊華は笑顔で頷く。圭助の部屋に張ってある札から、空間移動を使いサボりに来たのだ。圭助は呆れて物も言えない
 
「お邪魔しますっ!ここにっ霊華ちゃん来なかっ…!!」 
 
突然ドアが開く。雛と襟首を捕まれ、気絶中の冬至が入ってきた。圭助は霊華に指を指す
 
「あっ!あたしの霊力は全部使い切り、働けませーん」

「本当です、雛さん…」
 
「遅かった…酷魔から霊華ちゃんが消えたって話し聞いたから…」
 
どや顔で笑う霊華に、頭を抱える雛。後悔だけが残っていた
 
「今日はサボった方が正解だから…あっ…彼気絶を…」
 
「えっ…ごめん冬至君!」
 
その後納さん、酷魔が到着した。夜まで母さんのご馳走をつまみながら、騒ぎ放題の最後の宴会だった
 
 次の日

「母さん…会え嬉しかった、本当にありがとう…」
 
「ええ、私も同じ気持ちだからね。お父さんの事よろしくね」
 
「ああ、わかったよ…元気でな…」
 
最後に母と握手をして、実家を立った。俺は涙をこらえるだけで精一杯だった。他の人達は、気を使ったのか先に船に乗っていた。
  

「ここだけ、異様な雰囲気な扉だな」
 
圭助の前には二メートル半ぐらいの扉。冬至と納さんは圭助の肩を叩いた

「うん。圭助ここで俺達はお別れだ…俺と納さんは冥界の人間、天界には行けない…」
 
えっ…あっ確かに…
 
「ああ…今までありがとな冬至。後しっかりしろよ」
 
圭助は左手の小指を立て雛さんを見る。冬至は少し赤くなり、圭助に蹴りを軽く入れた
 
「す、素直な圭助って少し変!そうっすよね納さん?」
 
圭助は、思わず冬至の首を腕で絞めた。冬至はジタバタともがく
 
「たまにはいい。圭助気をつけろよ」
 
「はいっ!納さんも!」
 
「圭助…」
 
酷魔が俺を見て手招きをしていた。俺は後ろに手を振ると、酷魔達の後をついてった
 
 
 天界に入ると長い階段を上った。俺は、最初にこの世界に来た時より長く思わない。竜嬉様達は先に行って準備をしていて、姿が見えない
 
「これで最後か…この世界の事は現世で話すなよ」
 
酷魔は頂点につくと、俺に手を差し出し支えてくれた
 
「ああ。酷魔や雛さんにも、俺は相当助けられた。ありがとう」
 
「後こちらこそ、裁判の時助けてくれてありがとうね!圭助君!」
 
「はい!後、霊華。お前には最初から、最高まで世話になった!言葉に出来ないぐらい感謝してる」
 
圭助は手を出すと、素直に霊華は握手した
 
「今度は、すぐこっちに来ないでね…」
 
相変わらずだな、霊華は。珍しくローブを頭から外していて照れているな。
 
「じゃっ!元気でなっ!」
 
圭助は、目の前の光の中に入り姿を消した…
 
 
 「けっ、圭助!!」
 
ここは…もしかして病院…?
俺は目を開けると、利音が横で俺の手を握りしめ涙を流している。信じられないという顔をして
 
「本当に心配したんだから…何度も心肺停止になりそうだったんだよ…!!」
 
その事は思い当たる。あの世界で何度も死にかけたからだ
 
「あっ…もしかしてずっと俺の側に…」
 
やつれている利音を見ると、そうにしか見えない
 
「当たり前…だから…」
 
「すまねぇ…ありがとな…」
 
生き返ってよかった…本当に大切な人と…また会える事が出来るとは思わなかった…

俺は利音の手を握ると、何かを思い出しす
 
ん?!あの時は、事故った時の格好だからあれがあった。けど、俺今病院の寝間着だから…

「ところで、俺のポケットに入ってた物しらねぇ?」
 
「えっ、これのこと?」
 
利音は引き出しを開け、小包みを出した

「ああ。中身は無傷」
 
俺は、中身が無事な事を確認し一安心した
 
「それは…何?」
 
俺は、袋を開け小さな箱の中身を見せると、利音は驚きと赤面の表情
 
「そ、そのふっとい左手の薬指に合うかわかんねぇけどよ…」
 
「だっ、誰がふっとい指ってっ!」
 
圭助は指輪を取ると、利音の左手を取り薬指にはめた。利音は顔を逸らし、大人しくしている

「利音、今まで散々心配かけてしまってすまねぇ」
 
「うん…」
 
そして、圭助は利音の目を見つめ、唾を飲み覚悟を決め手を握った
 
「あとな…これからも、永遠によろしくな利音」
 
「ええ、よろしくね圭助」
 
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みんなの感想(1件)

まみ夜
2017.05.26 まみ夜

はじめまして。
非番に公用車を私的に使用でしょうか?
続きが楽しみです。

kzeroen
2017.05.26 kzeroen

初めまして!
コメントありがとうございます!
設定ではたまたまランプを持っていたということになります!
もちろん自車です笑

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