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第9話※r18注意
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少し遡ること10分ほど前。
炎龍side
口元に持っていた手拭を括り付け、ギルドに走っていたところいきなり、グンッと腹の奥に熱が来た。
「…?!」
ガクッと腰が落ちそうになったが、寸でのところで踏ん張った。
慌てて、走っていた道を外れ、森の中に身を隠す。
体に起きた状態を把握しようと体を確認するが特に怪我は無い。
「なんや…?」
だが確かに熱が、体の奥をじりじりと焼き始める。
この感覚には覚えがあった。
(媚薬…?!)
将軍家で毒を鳴らす講義で、一番最初に飲んだ毒、それが『媚薬』だった。
あの時はまだ精通が来ておらず、ただただ腹にくる、股の核心に集まる謎の熱を開放することもできず、ひたすら悶え苦しんだ記憶がある。
その毒が体になれるまで、何度も毒を飲み続けたと思う。
精通が来ないうちに慣れるように飲むのが『媚薬』だった。
熱が放たれることが出来ず、溜まった結果、体が勝手に痙攣を起こし、死の狭間をさまよった事をなんとなく思い出してしまう。
その幼い時の記憶。
「毒には耐性があるはずなんやけど…。」
精通が来た自分にとっては、集まる熱の解放の仕方を知っているが、それは毒が薄い状態で行うことで効果を的確に発揮するものであり、毒が多く、継続時間が長いような場合は、ただただその快楽を底上げするだけの行為と化してしまう。
「この場合は、後者の方やな。」
体の熱がゆっくりじりじりと上げられるタイプは、遅効性で、尚且つ効力が強いのが特徴だ。
だが、熱を解放か解毒薬で熱を無くさぬ限り溜まった熱は体に悪影響を及ぼす。
後で一人で毒を抜かねば...。
「だが...いろんな種類の媚薬を飲んだけど、この種は初めてやな。」
煙を利用した媚薬は、媚香という。
暗殺者が客相手に使うことが多い代物だが、ここまで強いものは拷問用くらいだろう。
(大抵の媚薬にはもう、うんともすんとも言わない俺の体でもこれだからな。他の連中やられとるんやないか?)
早くギルドに向かわなくては、雹華が狙いかもしれない。
一人でいるなら部屋にでも引き篭ってくれればいいが、もしかしたら…。
嫌な予感がずっとするのか、警鐘が頭の中で鳴り響いている。
この風、ギルドの方面に向かって強く吹いている。誰かわざと風の能力を使って風向きを変えている気がしてならないのもその要因の一つだろう。
すると後ろから女の声が聞こえてきた。先程森の影に隠れなければ今もあそこにいたであろう場所。
今は少し走ったおかげか、離れたところにいるし、何より森の中だ。
女には見えないはずだ。
「ねぇ、あと何分くらいでここに話の龍の男がやってくるの?」
「さぁ?でももうすぐじゃない?早く来るように仕向けといたって言ってたし。時間計算だとかなんだとか…?言ってたわよ。」
(俺が来るのを知っとるってことは、この煙の件はこの女どもやな。でも、他にも協力者がいそうやな)
急いで走ってなかったら、あの女たち(二人)とばったり会っていたところだろう。
いつもみたいにノロノロ歩かなくてよかった。なんて考えて体の熱をなるべく意識しないようにする。
「火の能力使いの中でも、だいぶ強いらしいじゃん?大丈夫かな~。」
「平気よ。用意してもらったこの首飾りを付けたら、能力使えなくなるらしいじゃん?」
女の一人が持っている首飾りとやらは、黒い石が埋め込まれている金色の首飾りだ。
まるで犬か猫に付けるような首飾り...いや、首輪だ。
「それって能力を使うたびに、首が締まるようになってるんだっけ?」
「そうそう!」
あんな代物は見たことがない。
(何の能力が込められたものや。…あぁくそ!熱のせいで意識が集中できん!!)
熱がこの場で集まる前に、あの女どもを排除しなければ。
能力が安定して使える今のうちに...。
火の能力を使おうと腕を構えた時だった。
とんでもない話が出てきたのだ。
「あの奥のギルド?ってとこにいる仮面の女ってやつ。今頃男どもにヤラれてるかね~?」
「あの不細工な手癖が悪い三人でしょ?特にタチ悪い奴らじゃん!かわいそう~!」
腹にたまる熱とは別の熱が頭に昇る。
予想していたことだ。
でも、予想よりずっと早く事が進んでいたら…?
(…死にさらせぇや、アマどもがっ!!)
想像してしまったらもう遅い。
火がいつもより温度を高め、青が少し混ざる。
龍のように形を成したかと思うと、楽しげに話す女の顔めがけて放った。
「「ぎゃぁああ!!!!」」
女に悲鳴がこだましていたが、そんな事はきにせず走る。
そのあと一気に振り返らず、ギルドに向かって加速する。
「雹華っ!無事でいてくれ…!!」
走るたびに熱がぐるぐると腹の奥で疼きだし、体全体を熱で覆いつくしていく。
「っはぁ。__っ!はあ…はぁ」
背中などに走る電撃のような快楽も、腰を重くするこの衝撃も今だけは耐え抜く。
ズサッァアッと雪煙を起こしてギルドの入り口に到着する。
止まった衝撃で一度達しそうになるが、何とか耐えた。
ギルドに来て分かったが、だいぶ煙が濃い。
見えづらいように白色なのと、風が強いせいで判断がしづらいのが特に悪質だ。
風が当たるだけで、意識が快楽の色で埋め尽くされそうだ。
手の平に刃物を当てて、少し切る。
傷をつけ、その傷口に爪を立てた。
痛みで快楽を誤魔化す作戦だ。
(だが、いつまでももたへん...!)
離れの屋敷に自分の部屋があると教えてくれたのはいつだったか。
(離れに行ってみるか。…あっちだったはずや)
ギルドの入り口には、結界の石が置いてあるにもかかわらず、その石になにか不思議なものが括り付けられている。
(しめ縄?それも黒色やと?…噂の闇の能力か…!)
結界が張られているはずの場所には結界が張られておらず、すんなり入ることができる。
つまり、もう敵は侵入した後になっているはずだ。
(急いで探さんといけん。)
体の毒耐性が変に働いてしまっているのか、正常に動いているのか…。
そのせいで体に燻ぶる熱だけが異様に高い。
(どこかで熱を発散しないと、こりゃ確実に後遺症が残るで。)
なんて冷静に考えてしまう分、狩人にとことん向いている性分なのだろう。
ふふっと自嘲気味に笑ってしまったその一瞬だった。
廊下に吹き込む風が、肌を刺す。
「_______ぁっ!」
一瞬気を緩めれば、快楽に飲み込まれるのはすぐに分かった。
すぐに気を引き締め、掌の傷に爪を立て直す。
(少しの衝撃でこの威力。これ絶対、拷問用やろ。こんなの町中に放つなんて...これ放った奴は何考えてるんや。)
自分もいつも通り歩いていたら...。
(あの女どもの餌食だったな。戦闘経験は俺の方があるだろうが、闇の能力の錬金物を持ってるなんて…能力を封じられたら体術か剣術しか使えんが、一歩間違えてあの首飾りをつけられたら抵抗できん。しかもこの快楽の強さ。いつも通りに戦闘だなんて不可能や。)
女の相手は仕事でしたことはあるが、狩人特有の方法だ。
その女が後にしつこくて、それ以降していないのだが...。
狩人特有じゃない方法でやってみたいと思ったことは一度もない。
(めんどくさそうだし、入れて終わりならそれが一番楽だし、短時間で済む為、体力を削らなくて済むので大変ありがたいからである。)
でも、あんなルールも守らなさそうな奴らに食われたら…
(想像するだけでも鳥肌モノや!)
敵がいないか確認しつつ、歩みを進める。
その時、曲がり角の向こうの廊下から声が聞こえた。
複数人いる男たちの声のようだ。
「こりゃぁ上玉だ!!!」
「うぉぉお!!めちゃくちゃいいじゃねぇか!!」
男たちが喜んで、まるで獣かのように雄たけびを上げている声だ。
「んっはっ。ん~~~っっ!」
それとは別のあまりにも官能的で、誘発的な声が耳に届いた。
一瞬誰の声だと驚いて呆けてしまった、だがすぐに雹華の甘い声だと気が付いた。
(この先にいるんか…!!)
快楽や熱のことなど全部頭の奥に追いやって、急いで駆ける。
走る度に快楽という熱が体を犯すが、この時全てを忘れて走っていた。
曲がり角を曲がったところで、三人の大の男たちの後姿が見えた。
後ろの男に両手を拘束され、前の男が袴の横から手を差し込み遠慮もなくその熱の元を弄る様子が目に入る。
左横にいる男が胸を服の上から揉み、服を脱がそうと(苦戦)しているらしい。
抵抗しているようだか、力の差は明らかだ。特に三対一は卑怯だろう。
首のあたりに後ろからでもわかる、あの女どもが持っていた闇の能力の首飾りを付けている。
いつも見えない雹華の顔が見える。
仮面が廊下に落ちている。どうやら外されてしまったらしい。
その雹華は足を必死にとじ、目を固くつぶっている。
口元には血が滲んでおり、下唇をかんでいる。
必死に抵抗しているのだろう、掴まれている腕は遠くからもわかる程赤くなっている。
髪は乱れ、汗が顔に浮いている...。
(な…んや、これは)
想像以上の状況で、一瞬硬直してしまう。
だがすぐに意識を戻し、廊下を走る。走る。
(距離がまだある…!!)
長い廊下、奥に近い場所にいる雹華にはまだ距離があった。
達することがないよう必死に耐えているらしい雹華の姿が見えた。
「いつまで耐えれるかなぁ?!」
「この顔最高!」
「味見してやろうなぁ」
左横にいる男が何を思ったのか、雹華の顔を雑に掴んで顔を己の方に向けたのが見えた。
顎を遠慮なく掴まれ泣きそうな雹華の顔を堪能すると、満足げに息を顔に吹きかけている。
口づけしようとしているのか何なのか、口を少し半開きにして雹華の顔に近づいていく男。
抵抗しようと顔を背けようとするが顎を強く捕まれている。
その様子が雹華の横顔から見えた。
ついに諦めたように目をうっすら開けて、近づく男の顔を見ると、力なく閉じた雹華の目から涙が落ちた。
「炎龍...」
小さいその口が動き、俺の名前を呼んだとき自分でも信じられないほど、頭に血が昇った。
(誰の女に手ぇ出しとるんやっこのカスどもがっ!!!!)
男の顔が雹華の顔に触れる前に吹っ飛んでいく。
自分の火の能力がいつもより荒々しく、高温の青色に変化して、男どもを襲う。
(わが呼び声に応えろ!!)
「燃え上れ!!!!」
龍のような炎が周りにいた男たちを焼く。
男たちがその炎が作り出した熱風で雹華から離なした。
「うぎゃぁああぁあああ!!!!」
「あちぃっ!!!」
「燃えるぅう!!!!」
全身が燃えるその男たちは体についた炎を消そうと、庭にある雪に走っていく無様な男ども。
雹華に口づけをしようとしていた男は、炎によって生み出された熱風で吹き飛んでいったようだ。
雪に体をこすり、火を消そうとのたうち回る男たちに追加の火の龍をお見舞いに送った。
あまりの熱さに皮膚が爛れ、そのまま痙攣をおこし、その場で動かなくなったのが見えた。
それでも怒りが収まらず、自分でも信じられないほど感情をむき出しにして怒鳴っておた。
「てめぇらが穢していい女とちゃうぞ!」
穢れなく、美しい泥水の中にでも咲く高貴な蓮の花。
(お前らごときの男どもが、手折っていい女じゃない!触るなやっ!)
まだ燃やしたりない。まだ殺したりない。まだこんなじゃ雹華の涙に釣り合わない__。
火よりも熱い炎を出そうと、能力を再び使おうとしたとき、ドサッと膝をつく音が聞こえた。
その衝撃に耐え、自分の体を抱きしめる雹華の後姿が見えた。
すると驚く程すぐに怒りが収まり、雹華のところに駆け寄る。
「っはぁ…。雹華。」
何とか一線を越える前に助けることができたという思いと、どうしてもっと早く助けられなかったんだという思いで、頼りない情けない声が出た。
「お、遅くなった…。はぁ、はぁ…。悪い。」
走ったせいか、媚香のせいか。息が上がる。
本来ならば動揺を悟らせてはいけないのに、どうしてか勝手に言葉が口から出た。
「炎龍…」
振り返った雹華は、涙の後が痛々しく頬に痕を残し、うるんだ扇情的なその海色の瞳は、光がなく、ゆっくりと俺を見返した。
少し空いた唇の間から見える赤く濡れたその舌がゆっくりと呼吸に合わせて見え隠れする。
(…っ!視覚的にもやばいな…っ)
体が反応してしまうのは媚香のせいだとしても、胸元がぐっと掴まれる感覚に陥ったのは、きっと視覚的問題があるからに違いない。(顔だけはいいと認めている。)
雹華が数回瞬きをすると、光がゆっくりと目に戻り、目尻に溜まった雫を一つ頬に流した。
動けないらしい、まだ少し快楽によってピクピクと体が跳ねている。
「すまん、持ち上げるで」
雹華の足と背中に、優しく、あまり衝撃が加わらないように手を添えて、両抱きした。
「っ!~~…!。ふぅ…。」
そのまま立ち上がると、そのまま衝撃が体に走った。
(危ない。手を離しそうになった。)
額の汗が粒のようにあふれ出て、額に浮かぶのが分かった。
荒い息を隠すように小さく息を吐くのは、不調を隠してしまういつもの癖だ。
(狩人が両腕を使えない状態でいるのは望ましくない。が、今回は特別や。)
歩き出すと足の裏から伝わる少しの衝撃で意識が快楽に変わる。
顔が歪み、持ち上げる腕に力が籠ってしまう。
なぜ、彼女だけ特別に扱ってしまうのか、その答えだけは考えないように歩く。
その答えが分かった時、自分が今までの自分でいられない気がしたから。
小さなため息で呼吸を整えて、表情をなるべく動かさず歩く。
常に自分の命を狙う者たちに弱みを悟られないようにして生きてきた中で身に着けた術だ。
「えん...りゅ...わたし…。へい…きです。にげ、て、くださ…い。」
甘い声が漏れないよう、雹華が慎重に言葉を紡ぐ。
ここに誰か敵が来たら、雹華を庇って戦うのは限界があるだろう。
だが、
(この女を穢されるくらいなら腕ぐらいくれてやるわ!)
「こと、わる!」
なるべく息が混じらぬように話す。
ぐっと掴む腕がに力が勝手に入った。
その感触が体に響いたのか雹華の体がビクンっと大きく跳ねた。
「っあ…はぁ…!ご、ごめ…んっ…あ。こえ…がっ。~~ぁっ!」
最後は声が漏れないよう必死に声を抑えたのだろう、少し鼻から抜けるような高い声にもならぬ声が腕の中で啼いた。
とっさに体に抱き着かれ、体に思わぬ衝撃が走る。
「~~~っ!はっ…。」
自分も声が出ないよう、耐えたのち、短く息を吐いた。
雹華は衝撃が入らぬよう、ゆっくりとその手を離して自身の顔を覆った。
俺に衝撃を与えぬように配慮したらしい。
まったく、本当に気を使うやつだ。そんなことに気を使わなくていいのに...。
覆った手の隙間から、とろんとした目が見え、口は少し開き、てらてらと光る唾液が小さい口の中に見える。
コクンと小さくその唾液を飲み込んだ後、雹華は謝罪を口にした。
「ごめっ…。」
「…っ気にせんで、ええ。なるべく、揺ら…さずに、あるく。」
謝る彼女をなるべく安心させるように、人間が安心するといわれる口調をなるべく意識して話す。
だが、少しでも気を抜くと、違う声が出そうなので、途切れ途切れになってしまった。
無理やり前を向いて歩く。
このままこの顔を見るのは毒だ。
この媚香よりも毒だ。あぁ、間違いない、とんでもない毒だ。
先程の顔を思い出す。煽情的で、誘惑的、蠱惑的なその動き、表情__。
(その口を口で塞ぎたい…、そのまま、下にも口を付けて中にまで…。)
喉の奥でゴキュンッと変な音が鳴った。
いままでどんな女(仕事で)を相手にしても、狩人の方法以外やりたくない、面倒くさい。と思っていたのに。
すべてを暴いて、自分のものを押し入れて、その美しく気高い穢れのない体を…花を手折ってまいたい。
部屋があると言っていたはずだ。
早く部屋に行きたい。
早く部屋に行ってそのまま_____
(違う!安全を確保する為に部屋に連れていくんや。)
自分の雄としての欲望が頭を占めないよう、必死に否定する。
部屋には結界の術がかけられるはずだ。そこならば少しは安全だろう。
入口の結界石は発動できぬようになっていたが...部屋はまだ荒らされていないはず...。
「へ、やどこや。」
「この、まま。まっすぐのところに…っ。みえ…る。」
「あそこ、か。」
「は…い。」
甘さを含むその声が腹の奥の熱を上げる。
本人には自覚がないのだろう。
話す声が、歩くたびに伝わる体の動きが腕を、触れているところ全てを通して伝わってくる。
(もう少し揺らして、達してやった方が楽やろか。それともこのまま焦らして、ぐずらせるのもありか…。)
なんて、意地が悪い感情が顔を出す。
それでも比較的揺らさぬよう、衝撃が加わらぬように歩く。
自分も衝撃が来ると、困るのは同じことだ。
「んっ、んっ…。んっあ。あっ。」
歩く動きに合わせて、声が漏れている雹華。
本人は気づいていないようだが、足と足を固く閉じ、擦り合わせている。
顔を隠している手で、自慰行為でもすればいいのに、そんなこともできないほど何やら考え込んでいるらしい。
たまにビクッと大きく跳ねるが、それでもこのぐらいの衝撃で加わる快楽では、達することはできないらしく、たまに残念そうな、強請る様な甘い声を漏らす。
あまり揺らさないように歩いているのも原因らしい。
部屋に到着した。
カツンっと床を鳴らしていた靴の音が止まる。
部屋に入ろうと思ったが、鍵が掛かっているようだ。
「鍵かかっとる。あけ、てくれ、や。」
変な声が漏れないよう話すため、いつもより話し方が曖昧だ。
毒耐性があるはずなのにこの体たらく...鍛え直しが必要のようだと思う。
「は、い…っ」
体が熱い。腹の奥が、ぐるぐると熱の渦を作っている。
早くこの熱を吐き出したい。
雹華が鍵穴に、腰にある巾着袋から鍵を取り出し、鍵穴に差し込み、ぐるりと回して開ける。
「はいるで」
無言のままコクリとうなずいた雹華を確認してから俺は雹華の部屋に入った。
(はやく、はやく…。はやくこの女を食らいたい___)
理性の線が焼き切れる一歩手前。
ゆっくりとその理性の線がブチブチとちぎれ始めていた。
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雹華の部屋
雹華side
ガチャンッ
扉を閉め、再びカギをかけると、黄色色の光が扉を包みゆっくりとその姿扉にしみこむようにして消した。
どうやら、結界は無事に張られたらしい。
(ギルドの入口はダメだったみたいけどこの部屋は平気だったのね...良かった。)
私をまだ持ち上げたままの炎龍がゆっくりとまた歩き出す。
先程の揺らさないような歩き方と違って乱暴な歩き方に変わった。
「っあ!ん。えん、りゅう。あぁ…!どうしっ…。」
「そろそろ、はぁ…。我慢の、限界や…!」
限界とはどういう意味か…。私が重いのか、それともこんな醜態をさらしている私が嫌いだから…?熱のせいで悪い予想しか浮かばない。
歩くスピードも、揺らさないようにしていた動きも感じない動作でありながら、褥にゆっくり横に寝かされる。
靴も脱がされ、入口に放られた。
「っ!~~…。は…ぁ。」
(私を置く時だけ優しいなんてずるい…。)
声が少し漏れたが、耐えた。
寝かされたので、早く褥の奥へ行って。
一人でこの症状が治まるまで、耐えれば…。
ドスッ
褥が揺れた。
上半身を何とか動かそうと片腕を立てた時だった。
炎龍が私の褥の端に座った。
口元を覆っていた布を乱暴に取り、どこかへ放ったのが見えた。
(なんで私のお布団のところに座ったんだろ?あ、そっか、ここ以外に安全なところがないだね。)
部屋から追い出すなんてことはできない。
ここまで連れてきてもらったのだ。
お礼を言わないと...。
「ありが、とう。えん...りゅう。」
無言でこっちを見て、炎龍がゆっくりと手を伸ばしてくる。
目の端でとらえたのは、炎龍の靴が脱げたところだった。
「…?____んっ!」
どうしたんだろうと見つめ返していたら、その手が私の腰を掴んだ。
がっしりとした、逞しい手が腰を途端につかむものだから、声を抑えることができなかった。
驚いて見つめ返してしまうと息が荒い炎龍の顔とぶつかった。
「ね…つ。吐き出さんと、後遺症…っのこるで。」
「え…?で、も…どう、やって?」
はぁはぁと息を切らしながら、話してくる内容は無視できないものであった。
この熱を耐えていればいつか終わるものだと思っていたが、実はそうではないらしい。
(熱の吐き出し方って…、あれしかないよね?でも、人前でどうしろと…?!)
キョトンとした顔と目が合った。
「はじ…めてか?ひとりでは…?」
無言で首を振るしかない。
(なんでこんなこと言わなくてはいけないの…!一人でヤッたことがあるのは日本の頃の私だし、この体はまだそんな経験ないんですよ!なんて言えない。)
「はぁ…。」
ため息つかれたんですけど…。
仕方がないではありませんか!この体大切にしたいんですよ!それにまだ十六歳だし!?
「ハニ、トラのヤリ方は?」
口調がずっと途切れ途切れだ。
声が漏れないようにしているのだろう。(ハニトラとは誘惑専門の略語だ。)
言われた意味が同じだと思うのだが、何か違うんだろうか?
(ハニトラのヤリ方でやったことはあるか?と聞かれたと思う)
一応その経験もないので首を振る。
(ヤッたことないんだから、狩人同士なんてもっとないですよ!言わせないで!何か胸に来る痛みがあるので!!)
何か考えたそぶりをしたが、特に深いことではなかったらしく、簡単にその思考を止めたらしい。
「…じゃあいいか。」
「っえ。ちょ。」
掴まれていた腰に添えられていた手が下腹の上をなでる。
「ん~~~!あぁ…は」
撫でている手がゆっくりと下に降りていく。
袴の結ばれている紐を手を回してほどかれる。
足と足の間にある熱く、濡れている場所に手が触れた。
性急すぎて何が起きているのか分からず、下着になっていることに遅れて理解する。
「あぁ…。あ…んぁ__!」
ビクッと大きく体をしならせる。
空いた手で、重なっている着物の前合わせをずらすと生の太腿が見える。
その閉じた場所から溢れる蜜によって濡れた太ももが現る。
その太腿に沿って手がゆっくりとその場所に下着の上から触れた。
「もう、こんなに濡れとる…」
「いわ、ないでぇ…。」
ゆっくりと形を確かめるように、割れ目に沿って擦られると、たまらず蜜があふれ出した。
(さっきの男の人たちが触ったときよりも、ずっとやさしくて…気持ちいい。)
くちゅくちゅと水音が部屋に響く。
もうすでに下着があふれ出る蜜によって濡れ、肌に張り付くほどで、形が見えてしまっている。
恥ずかしくて、それでも気持ちが良くて、何が起こっているのか分からなくて…。
「えんりゅ...あ。わかんな...。」
どうでもよくなるくらい触ってほしい。
熱くて熱くて仕方がないその場所。
「っ…!直接、がいいんか…?」
返事も聞かずに下着の中に手を入れてきた。
グチュッと今までとは比べようのない水音が鳴る。
「あぁぁあ!!」
腰が勝手に持ち上がりそうになる。
静電気のような感覚から、電気に一気に変えたような程、体全身に走るその信号が、まだこの世界で『快楽』の文字をうまく知らない私に快楽を叩き込んでくる。
声を我慢しようと下唇をかむ。
こっちをみた炎龍と目が合った。
炎龍も息が途切れ途切れで、汗がポタリとその綺麗な顔の輪郭を滑って落ちていく。
「噛むな、血…。でとる。はぁ…、はぁ。声出してええで…。」
前合わせを崩した後、空いていた手で私の顔をやさしく触れてくる。
先程の男たちの愛撫(愛撫と呼べるものではなかったが)で声を出さないようにしていた時に、下唇を強く嚙んでいた。その為か、下唇が少し切れているらしい。
言われれば血の味がする。
こんなにやさしくされるなんて…。
(勘違いしそう…。)
でも、今だけは夢を見てもいいのかな...。
顔に添えられた手に私の手も重ねて、頬を摺り寄せる。
掌に傷があるのが見えた。
(傷…。)
いつこんなところに傷を...?いつも手袋しているから気づかなかったのかな?
その掌の傷に口付けをする。
どうか、早く癒えますようにと願いを込めながら。
そのまま目を炎龍の方に向けると、何かを飲み込むような仕草をした途端、喉の奥からゴキュンッと変な音が聞こえた。
熱に浮かされて、少し潤んだ赤い瞳は、それでも甘さを含まず。ギラギラとして、こちらを凝視している。
目が合ったとたん、息が上がっている炎龍が目を細め、切羽詰まったような声を出した。
「っ。はぁ。ぁ。煽るなや。」
コリュッ
下の熱に隠れている、小さな芽に指が触れる。
小さく主張してしまっているその芽に気が付いたのか、気づいていたのか。
コリコリと擦ってくる。
「んあぁ、あ、あ、あ、そこ。よわ…いの。あぁぁああ____!!」
熱が一気に形を成したかのように蠢き、体を蹂躙する。秘部から頭へ、頭から秘部へ、電気が走る。
閃光が頭の中に流れ込んだ時、体が一回硬直した。
その後瞬間的にガクガクッと体が痙攣した。
頭の中が閃光で焼かれたように真っ白になって、体が一気に脱力する。
「ぁ…。はぁ…。んっああ」
空中に投げ出されたような感覚が怖くて、頬に添えられた手に必死にしがみついて、達してしまった。
「~~~~。」
何か言っているらしいが、そんなのちっとも聞こえないくらい私は混乱して、掌に必死に顔を埋める。
炎龍の大きい掌は私の顔を隠すにはちょうどいい。
(イッちゃった…。炎龍の前で…。)
軽蔑される。後悔される。はしたないって思われちゃったかも…。
一回熱が吐き出されたからなのか、ほんの少しの理性が戻ってくる。と同時に途端に涙が出てきた。
ぽろぽろと溢れて、あぁ。止めないと。と思うのになかなか止まない。
「ごめ…んなさ…。…みないで…ぇ。」
「謝らんで、大丈夫やで…。じょうず…に達せた、やん。」
「じょう…ず。ほんと…に?」
涙を顔を隠してくれている掌が拭ってくれる。
返事の代わりに、ぐちゅっと蜜があふれ出す源の中に指が入ってくる。
ゴツゴツとした節ばった指がイッたばかりで感度が高いその熱の場所に一本入る。
トロトロと蜜が指に絡みついているのか、滑りは大変に良い。
くの字に曲げられた瞬間ぎゅうっと中を締め付けてしまう。
「あっ…はっ…ぁああ」
涙が生理的な涙に代わる。
「んぅ…!あっ、そこ!!」
「ここが気持ちいいんか?」
出し抜きされたり、ざらざらと内側を撫でられる。
内側のとある一点が体の電気量を上げる。
たまらず声が出るが、顔を見せないように必死に掌に顔を押し当てる。
するとその掌が動いて、顎を捕まえた。
そのまま口の中に指が入り込んでくる。
「んぁ?!あ、えん...りゅ...ああぁ!!」
耐えられず、敷布団の布を必死につかむ。
体の奥から、湧き上がるその快楽の閃光の逃し方が分からず、ただただその快楽を受け入れる。
がくがくっとまた再び閃光のような快楽が私の体を走り抜ける。
とろっと蜜があふれるのが自分でもわかった。
「ふぁ…。あ…、んんっ」
口の中にある指が炎龍の指だと思った瞬間、グワッと下腹の奥が疼く。
「達するの上手やなぁ…。上手、じょうず…。もう一回…達してみよか?」
「…ぅん。ふぁ…ぃ。」
また上手だと褒められて胸がぎゅぅっと苦しくなる。もう一回だと言われ、素直にコクコクと頷く。
ゾクゾクと体中の骨に沿って静電気が走る。
まだ下の中にもある指をぎゅうっと締め付けてしまう。
まるでまだ足りないと言わんばかりにだ。
口の中にある指がゆっくりと動く。それに合わせて下の指も動くものだから、下の中での指の動きが容易に想像できた。
「あ…ぁ…!ほこっ、やらぁ」
「快楽を感じて…?気持ちいいやろ?」
情けない顔をしているだろうに隠すことすらできないほど、私は必死に横にあるシーツを掴んで、彼の指に夢中になる。
タラりと口の中の唾液すら口の端に垂れてしまう。
手で抵抗すればいいのに、そんなことすら頭に浮かばない。
(快楽を感じる…?抵抗しては…だめ…?)
「はぁ…!ぁあ…はぁ…んっあ」
その快楽を、指の動きをずっとただ抵抗もせず、大人しく受け入れる。
「そうや…。いいこやなぁ。…イけ。」
いきなり中の弱いところを一気にぬめりとともにずっと擦られる。
「んんんっ~~~~!!」
駆け上がる電気。
たまにトントンと叩かれる様な愛撫も加わり、たまらず声を出す。
「んぁ。あぁ…。んぅは。はあぁああ…!」
こんなに気持ちいことをされたら、おかしくなってしまうのでは?と恐怖が一瞬浮かび、抵抗しそうになるが、炎龍の言葉を思い出し、体が勝手にその抵抗の意思を抑え込む。
(快楽は受け入れなくちゃ…いけない…。)
シーツを掴む手が強くなる。
一気に持ち上がった電気は今までと違って、じっくりと脳内を焼いた。
口の中の指をかまないように、ゆっくりと今度は達した。
一瞬別の何かが来そうだったが、なんとかその波はこなかった。
目がチカチカとする。
あまりの快楽に脳内が快楽の色で塗りつぶされそうだ。
「おちろ」
ようやく炎龍の言っている言葉か聞こえたと思ったら、『落ちろ』と言ったらしい。(結局何を言いたいのか理解ができないけど。)
「おちろ…?んっあ、あ。はぁ、ああぁ。やぁあ。こえ」
口の中の指を嚙まないようにすると、声がおさえられない。
顔を近づけて来たと思ったらそうっと声をかけられる。
「なぁ?あのクソ共にどこ、どう…触られたんや、どうされそうになった?怒らん…から。教えてや?」
ゆっくり口と下の中から指が抜かれる。
「あ…。」
炎龍の美しい顔がすぐそこまで迫る。
まるで口付けしそうなほど近い。
優しく目元が細まるが、目だけがずっと笑ってない。
ギラギラとした目の中には、暗い色が入り込み、いつもの綺麗な彼の赤色を、今だけは紅く見せている。怒りが紛れ込んでいるように見えるその瞳に私は気づいていたが気づかないふりをした。
きっと私の為に無理してこんな行為をしてくれているんだろう…なんて。
それでもその考えすら熱と快楽のせいでぼうぅっと溶けて消えていく。
(どこを、どう…?)
「むね…をさわって…。したのところの一番…弱いところを指で…こすられ…て。口付け…されそうに…なりました。」
「胸と、下と、唇やな…。」
熱い息がまた顔に掛かるが、あの三人の男達に感じた気持ち悪さはない。
むしろその息が私の意識をもっとぼぅっとさせる。
「胸を触って。」
胸を服の上から優しく掬うように触ってくる。
「んぁ。」
服がもどかしい。ずっと痛いくらい主張している胸の頂が布にこすれて、ピリピリと静電気を脳裏に流す。
シーツを掴んでいた手を離し、上半身の着物(?)服(?)に手をかける。
(熱い…。暑い…。)
触ってほしくて、もどかしくて、さっきのことを全部忘れたくて。
私の胸を触っていた手が止まった。
じっと見つめられるその目と目が合う。
口パクで、『は・や・く』と促される。
ドクドクとうるさい心臓と、触れるだけで、すべてが快楽につながる感覚が、私を急かす。
帯を外し、手前にある下着の引っ掛けを外した。
先程苦戦していた男は、どうやら後ろにフックがあると思っていたらしく、背中を片手で痛いほど触って爪を立ててきた。最後はあきらめたらしく、無理やり上の下着の中に手を入れようとしていたが…まだ入れられていなかった。
ドクドクと心臓が五月蝿い。
あれ?上半身って裸になっていいんだっけ?
でもその目線が私のそんな考えをとかしてしまう。
下着が外れると、ふるんっと抑えられていた発育の良い、形が良い胸が露わになる。
まだ発達途中の胸は強くつかむと痛みをまだ与えてくることがある。
だが今はそのいつもの痛みより、頂で存在を主張しているその桃色の突起が痛いほど熱を帯びている。
両手で隠そうとしたが、炎龍が手を伸ばしてきたのが見えた。
炎龍の手が私の腕を優しく退かして、ゆっくりとその胸を揉み始める。
痛くないように、優しく揉み解し、その痛みを快楽に変えていく。
「白くて…。やわらかい。」
「あっ、はぁ…はっん。」
しばらく揉みほぐしてその感触を堪能しているようだったが、胸の突起を突然摘ままれた。
「んあぁ!!」
胸の突起を捏ね回すように触った後、弾いたり、摘まんだりされる。
「んっあっあ、ぁ…ん~~!」
(胸でそんなに感じたことないのに。嘘っ!?この体どれだけ感度がいいの!??)
毒のせいだとも頭が回らず、胸に与えられる快感に翻弄される。
触られないのに、熱ばかりがたまる下のせいで腰が勝手にいやらしく動いてしまう。
顔が胸に向かって下がると、口をパカっと開けて口のなかに胸の突起を含んだ。
「へ?…あ!ダメっ!今食べちゃっ____あぁぁ!」
ヌルっとした感覚が私の胸の頂を包み、吸われる。
「吸っちゃ…!あぁ…。はぁ…んぁ」
チュウチュウと吸われると下腹の奥がキュンキュンとなく。
舌でコロコロと転がされるその突起は、まるで別の生き物化のように熱を含み、私を責め立てる。
ゾクゾクした溜まるような感覚から、ビリビリとした快楽へ変わっていく。
(だめっ…。弱くされちゃってる…。)
胸が快楽に弱いのは分かったが、より一層その弱さを深堀されているようで困る。
胸がこんなに弱くされてしまったら、胸だけで達せるんじゃないだろうか?
なんて考えるとギュゥと下腹の中が切なく何もない中身を締め付ける。
熱い口内の中、言葉とは裏腹に食べてほしいと言わんばかりに、押し付けてしまう。
コツンとした謎の感覚が胸の突起が捉えた。
なんだろうと思う間もなく、強く吸われた後、途端に舌で潰される。
「はぁああ!」
頭をとっさに掴んでしまい、炎龍の髪の毛がぐしゃりと歪む。
「っ!」
少し、驚いたようにビクリッと炎龍の体が動いたのが分かった。
頭を掴まれたことに驚いたらしいが痛くはなかったようだ。よかった。
だがもうその手も気にせずに胸の愛撫を続ける炎龍。
でも私は混乱していた。
(だめっ!頭掴んじゃダメなんだった。どうしよう!)
慌てて、頭を触らぬようにしようとしたが、手をどこに投げればいいのかわからず、頭をなでるように、つつむように抱きしめてしまう。
「んっ!あっ、だめ胸だけで…イッちゃっ…~~~ぁ_____ん!!」
ガクガクガクッ!!
今まで一番深い快楽が私を襲う。
ぎゅっと胸元の炎龍を強く抱きしめる。
「イッてる…!イッてるからぁ…!んぁ…ん~!」
イッてもお構いなしに口の中にある突起を弄ぶ。
グワッと下腹が熱くなると、ビリビリとした感覚が指先や足先に走り、たまらず、指先を曲げる。
「だめっ、ちがうのっ!きちゃぅ!…やらっ…はぁああ…ん!!!」
ガクンっと大きく揺れると、下から愛液とは別の液体がしょろしょろと出る。
「ふぁぁ…あ…。」
一気に脱力するが、体の下半身の痙攣が残る。ピクピクと揺れる下半身。
チュッとリップ音とともに胸から口が外され顔が持ち上がる。
頭を掴んでいた手が緩んでいたようだ。
「ごめ…んなさい。…粗相を…。」
すぐに頭に浮かんだのは粗相をしてしまったということだ。
涙がジワリとまた溢れそうになる。
なんで『特別』な人の手前、粗相をしなくてはいけないんだ。
最悪だ。汚いって思われてしまったかも…。
目を固く閉じたが、驚いたことに想像とは違う言葉が返ってきた。
「潮吹いたんか?気持ちよくなってえらいなぁ…。」
よしよしと頭を撫でられる。
ゆっくりを目を開けるとギラギラとした目のまま、それでも優しそうに目を細め、頬を少し赤く染め褒めている炎龍がいた。
「ほな、それじゃあ…もう一回イってみよか。」
「んっ…。また、もぅいっかぃ…?」
頭を撫でられた瞬間になにかが頭をよぎった。
ハニトラの方法(いわば狩人同士の性行為の方法)って…違うような。
(あれ…?これって狩人者の方法でいいんだっけ…?)
いつの間にか体の上に覆いかぶさっている炎龍。
炎龍が胸から口を離すと、いつの間にか移動していた手が私の方足を掴み、ぐっと外側に少し開かせた。
「あとは…、下の弱いとこ…擦る…だったよな。」
(え…。まさか再現されてる…?)
「んああ!だめっ。そこ…よわ、いの!ぁぁああ!!」
片手で胸を触られ、もう片手で下の弱いところを擦られる。
先ほどイッたばかりいうのに、熱く濡れた蜜の中にある小さな芽を、指でコシコシと優しく擦られる。
擦られるたびに、その芽から走る電流に体がビクビクと跳ね揺れる。
たまらず声を上げている私は、炎龍の頭から、肩に手を落とし、必死にしがみつくしかなかった。
開いている手で、抵抗の一つでもすればいいのに、相手が炎龍というだけで、私の体はその与えられている快楽にすべてを委ねてしまう。
「あ、クる!だめっだっ…あ、あぁ。んぁあああ!!!」
ガクガクッと再び脳裏に火花のようなものがチラつき、最後は白く染め上げる。
回数を重ねるごとに、楽になるどころか、熱が高まって、下腹の奥…、最奥がずっと切なくてキュンキュンと啼いている気がする。
下の芽は弱く敏感なこともあって、すぐに達してしまった。
「じょうず…。じょうすやなぁ…。」
まるで幼子に言うように優しく褒められる。
イッたばかりでまだ敏感なその芽をやさしく、まわりの蜜のぬめりを塗り付け、撫でてくる。
時々押しつぶし、小刻みに揺らされる意地悪も加わり私は読めないその動きに翻弄される。
優しく褒めてくれているというのに、その動きは真逆に私を快楽への奈落へと責め立てている。
それでもその褒めてくれる言葉にコクコクとただ素直に頷いてしまう。
(うれしい…。炎龍にもっと褒めてもらいたい…そしたら、もしかしたら__。)
頭の中がドロドロと快楽の色に塗りつぶされ、正常な頭の働きができなくなっているのにも気が付かず、快楽に落ちていくのだった。
少し遡ること10分ほど前。
炎龍side
口元に持っていた手拭を括り付け、ギルドに走っていたところいきなり、グンッと腹の奥に熱が来た。
「…?!」
ガクッと腰が落ちそうになったが、寸でのところで踏ん張った。
慌てて、走っていた道を外れ、森の中に身を隠す。
体に起きた状態を把握しようと体を確認するが特に怪我は無い。
「なんや…?」
だが確かに熱が、体の奥をじりじりと焼き始める。
この感覚には覚えがあった。
(媚薬…?!)
将軍家で毒を鳴らす講義で、一番最初に飲んだ毒、それが『媚薬』だった。
あの時はまだ精通が来ておらず、ただただ腹にくる、股の核心に集まる謎の熱を開放することもできず、ひたすら悶え苦しんだ記憶がある。
その毒が体になれるまで、何度も毒を飲み続けたと思う。
精通が来ないうちに慣れるように飲むのが『媚薬』だった。
熱が放たれることが出来ず、溜まった結果、体が勝手に痙攣を起こし、死の狭間をさまよった事をなんとなく思い出してしまう。
その幼い時の記憶。
「毒には耐性があるはずなんやけど…。」
精通が来た自分にとっては、集まる熱の解放の仕方を知っているが、それは毒が薄い状態で行うことで効果を的確に発揮するものであり、毒が多く、継続時間が長いような場合は、ただただその快楽を底上げするだけの行為と化してしまう。
「この場合は、後者の方やな。」
体の熱がゆっくりじりじりと上げられるタイプは、遅効性で、尚且つ効力が強いのが特徴だ。
だが、熱を解放か解毒薬で熱を無くさぬ限り溜まった熱は体に悪影響を及ぼす。
後で一人で毒を抜かねば...。
「だが...いろんな種類の媚薬を飲んだけど、この種は初めてやな。」
煙を利用した媚薬は、媚香という。
暗殺者が客相手に使うことが多い代物だが、ここまで強いものは拷問用くらいだろう。
(大抵の媚薬にはもう、うんともすんとも言わない俺の体でもこれだからな。他の連中やられとるんやないか?)
早くギルドに向かわなくては、雹華が狙いかもしれない。
一人でいるなら部屋にでも引き篭ってくれればいいが、もしかしたら…。
嫌な予感がずっとするのか、警鐘が頭の中で鳴り響いている。
この風、ギルドの方面に向かって強く吹いている。誰かわざと風の能力を使って風向きを変えている気がしてならないのもその要因の一つだろう。
すると後ろから女の声が聞こえてきた。先程森の影に隠れなければ今もあそこにいたであろう場所。
今は少し走ったおかげか、離れたところにいるし、何より森の中だ。
女には見えないはずだ。
「ねぇ、あと何分くらいでここに話の龍の男がやってくるの?」
「さぁ?でももうすぐじゃない?早く来るように仕向けといたって言ってたし。時間計算だとかなんだとか…?言ってたわよ。」
(俺が来るのを知っとるってことは、この煙の件はこの女どもやな。でも、他にも協力者がいそうやな)
急いで走ってなかったら、あの女たち(二人)とばったり会っていたところだろう。
いつもみたいにノロノロ歩かなくてよかった。なんて考えて体の熱をなるべく意識しないようにする。
「火の能力使いの中でも、だいぶ強いらしいじゃん?大丈夫かな~。」
「平気よ。用意してもらったこの首飾りを付けたら、能力使えなくなるらしいじゃん?」
女の一人が持っている首飾りとやらは、黒い石が埋め込まれている金色の首飾りだ。
まるで犬か猫に付けるような首飾り...いや、首輪だ。
「それって能力を使うたびに、首が締まるようになってるんだっけ?」
「そうそう!」
あんな代物は見たことがない。
(何の能力が込められたものや。…あぁくそ!熱のせいで意識が集中できん!!)
熱がこの場で集まる前に、あの女どもを排除しなければ。
能力が安定して使える今のうちに...。
火の能力を使おうと腕を構えた時だった。
とんでもない話が出てきたのだ。
「あの奥のギルド?ってとこにいる仮面の女ってやつ。今頃男どもにヤラれてるかね~?」
「あの不細工な手癖が悪い三人でしょ?特にタチ悪い奴らじゃん!かわいそう~!」
腹にたまる熱とは別の熱が頭に昇る。
予想していたことだ。
でも、予想よりずっと早く事が進んでいたら…?
(…死にさらせぇや、アマどもがっ!!)
想像してしまったらもう遅い。
火がいつもより温度を高め、青が少し混ざる。
龍のように形を成したかと思うと、楽しげに話す女の顔めがけて放った。
「「ぎゃぁああ!!!!」」
女に悲鳴がこだましていたが、そんな事はきにせず走る。
そのあと一気に振り返らず、ギルドに向かって加速する。
「雹華っ!無事でいてくれ…!!」
走るたびに熱がぐるぐると腹の奥で疼きだし、体全体を熱で覆いつくしていく。
「っはぁ。__っ!はあ…はぁ」
背中などに走る電撃のような快楽も、腰を重くするこの衝撃も今だけは耐え抜く。
ズサッァアッと雪煙を起こしてギルドの入り口に到着する。
止まった衝撃で一度達しそうになるが、何とか耐えた。
ギルドに来て分かったが、だいぶ煙が濃い。
見えづらいように白色なのと、風が強いせいで判断がしづらいのが特に悪質だ。
風が当たるだけで、意識が快楽の色で埋め尽くされそうだ。
手の平に刃物を当てて、少し切る。
傷をつけ、その傷口に爪を立てた。
痛みで快楽を誤魔化す作戦だ。
(だが、いつまでももたへん...!)
離れの屋敷に自分の部屋があると教えてくれたのはいつだったか。
(離れに行ってみるか。…あっちだったはずや)
ギルドの入り口には、結界の石が置いてあるにもかかわらず、その石になにか不思議なものが括り付けられている。
(しめ縄?それも黒色やと?…噂の闇の能力か…!)
結界が張られているはずの場所には結界が張られておらず、すんなり入ることができる。
つまり、もう敵は侵入した後になっているはずだ。
(急いで探さんといけん。)
体の毒耐性が変に働いてしまっているのか、正常に動いているのか…。
そのせいで体に燻ぶる熱だけが異様に高い。
(どこかで熱を発散しないと、こりゃ確実に後遺症が残るで。)
なんて冷静に考えてしまう分、狩人にとことん向いている性分なのだろう。
ふふっと自嘲気味に笑ってしまったその一瞬だった。
廊下に吹き込む風が、肌を刺す。
「_______ぁっ!」
一瞬気を緩めれば、快楽に飲み込まれるのはすぐに分かった。
すぐに気を引き締め、掌の傷に爪を立て直す。
(少しの衝撃でこの威力。これ絶対、拷問用やろ。こんなの町中に放つなんて...これ放った奴は何考えてるんや。)
自分もいつも通り歩いていたら...。
(あの女どもの餌食だったな。戦闘経験は俺の方があるだろうが、闇の能力の錬金物を持ってるなんて…能力を封じられたら体術か剣術しか使えんが、一歩間違えてあの首飾りをつけられたら抵抗できん。しかもこの快楽の強さ。いつも通りに戦闘だなんて不可能や。)
女の相手は仕事でしたことはあるが、狩人特有の方法だ。
その女が後にしつこくて、それ以降していないのだが...。
狩人特有じゃない方法でやってみたいと思ったことは一度もない。
(めんどくさそうだし、入れて終わりならそれが一番楽だし、短時間で済む為、体力を削らなくて済むので大変ありがたいからである。)
でも、あんなルールも守らなさそうな奴らに食われたら…
(想像するだけでも鳥肌モノや!)
敵がいないか確認しつつ、歩みを進める。
その時、曲がり角の向こうの廊下から声が聞こえた。
複数人いる男たちの声のようだ。
「こりゃぁ上玉だ!!!」
「うぉぉお!!めちゃくちゃいいじゃねぇか!!」
男たちが喜んで、まるで獣かのように雄たけびを上げている声だ。
「んっはっ。ん~~~っっ!」
それとは別のあまりにも官能的で、誘発的な声が耳に届いた。
一瞬誰の声だと驚いて呆けてしまった、だがすぐに雹華の甘い声だと気が付いた。
(この先にいるんか…!!)
快楽や熱のことなど全部頭の奥に追いやって、急いで駆ける。
走る度に快楽という熱が体を犯すが、この時全てを忘れて走っていた。
曲がり角を曲がったところで、三人の大の男たちの後姿が見えた。
後ろの男に両手を拘束され、前の男が袴の横から手を差し込み遠慮もなくその熱の元を弄る様子が目に入る。
左横にいる男が胸を服の上から揉み、服を脱がそうと(苦戦)しているらしい。
抵抗しているようだか、力の差は明らかだ。特に三対一は卑怯だろう。
首のあたりに後ろからでもわかる、あの女どもが持っていた闇の能力の首飾りを付けている。
いつも見えない雹華の顔が見える。
仮面が廊下に落ちている。どうやら外されてしまったらしい。
その雹華は足を必死にとじ、目を固くつぶっている。
口元には血が滲んでおり、下唇をかんでいる。
必死に抵抗しているのだろう、掴まれている腕は遠くからもわかる程赤くなっている。
髪は乱れ、汗が顔に浮いている...。
(な…んや、これは)
想像以上の状況で、一瞬硬直してしまう。
だがすぐに意識を戻し、廊下を走る。走る。
(距離がまだある…!!)
長い廊下、奥に近い場所にいる雹華にはまだ距離があった。
達することがないよう必死に耐えているらしい雹華の姿が見えた。
「いつまで耐えれるかなぁ?!」
「この顔最高!」
「味見してやろうなぁ」
左横にいる男が何を思ったのか、雹華の顔を雑に掴んで顔を己の方に向けたのが見えた。
顎を遠慮なく掴まれ泣きそうな雹華の顔を堪能すると、満足げに息を顔に吹きかけている。
口づけしようとしているのか何なのか、口を少し半開きにして雹華の顔に近づいていく男。
抵抗しようと顔を背けようとするが顎を強く捕まれている。
その様子が雹華の横顔から見えた。
ついに諦めたように目をうっすら開けて、近づく男の顔を見ると、力なく閉じた雹華の目から涙が落ちた。
「炎龍...」
小さいその口が動き、俺の名前を呼んだとき自分でも信じられないほど、頭に血が昇った。
(誰の女に手ぇ出しとるんやっこのカスどもがっ!!!!)
男の顔が雹華の顔に触れる前に吹っ飛んでいく。
自分の火の能力がいつもより荒々しく、高温の青色に変化して、男どもを襲う。
(わが呼び声に応えろ!!)
「燃え上れ!!!!」
龍のような炎が周りにいた男たちを焼く。
男たちがその炎が作り出した熱風で雹華から離なした。
「うぎゃぁああぁあああ!!!!」
「あちぃっ!!!」
「燃えるぅう!!!!」
全身が燃えるその男たちは体についた炎を消そうと、庭にある雪に走っていく無様な男ども。
雹華に口づけをしようとしていた男は、炎によって生み出された熱風で吹き飛んでいったようだ。
雪に体をこすり、火を消そうとのたうち回る男たちに追加の火の龍をお見舞いに送った。
あまりの熱さに皮膚が爛れ、そのまま痙攣をおこし、その場で動かなくなったのが見えた。
それでも怒りが収まらず、自分でも信じられないほど感情をむき出しにして怒鳴っておた。
「てめぇらが穢していい女とちゃうぞ!」
穢れなく、美しい泥水の中にでも咲く高貴な蓮の花。
(お前らごときの男どもが、手折っていい女じゃない!触るなやっ!)
まだ燃やしたりない。まだ殺したりない。まだこんなじゃ雹華の涙に釣り合わない__。
火よりも熱い炎を出そうと、能力を再び使おうとしたとき、ドサッと膝をつく音が聞こえた。
その衝撃に耐え、自分の体を抱きしめる雹華の後姿が見えた。
すると驚く程すぐに怒りが収まり、雹華のところに駆け寄る。
「っはぁ…。雹華。」
何とか一線を越える前に助けることができたという思いと、どうしてもっと早く助けられなかったんだという思いで、頼りない情けない声が出た。
「お、遅くなった…。はぁ、はぁ…。悪い。」
走ったせいか、媚香のせいか。息が上がる。
本来ならば動揺を悟らせてはいけないのに、どうしてか勝手に言葉が口から出た。
「炎龍…」
振り返った雹華は、涙の後が痛々しく頬に痕を残し、うるんだ扇情的なその海色の瞳は、光がなく、ゆっくりと俺を見返した。
少し空いた唇の間から見える赤く濡れたその舌がゆっくりと呼吸に合わせて見え隠れする。
(…っ!視覚的にもやばいな…っ)
体が反応してしまうのは媚香のせいだとしても、胸元がぐっと掴まれる感覚に陥ったのは、きっと視覚的問題があるからに違いない。(顔だけはいいと認めている。)
雹華が数回瞬きをすると、光がゆっくりと目に戻り、目尻に溜まった雫を一つ頬に流した。
動けないらしい、まだ少し快楽によってピクピクと体が跳ねている。
「すまん、持ち上げるで」
雹華の足と背中に、優しく、あまり衝撃が加わらないように手を添えて、両抱きした。
「っ!~~…!。ふぅ…。」
そのまま立ち上がると、そのまま衝撃が体に走った。
(危ない。手を離しそうになった。)
額の汗が粒のようにあふれ出て、額に浮かぶのが分かった。
荒い息を隠すように小さく息を吐くのは、不調を隠してしまういつもの癖だ。
(狩人が両腕を使えない状態でいるのは望ましくない。が、今回は特別や。)
歩き出すと足の裏から伝わる少しの衝撃で意識が快楽に変わる。
顔が歪み、持ち上げる腕に力が籠ってしまう。
なぜ、彼女だけ特別に扱ってしまうのか、その答えだけは考えないように歩く。
その答えが分かった時、自分が今までの自分でいられない気がしたから。
小さなため息で呼吸を整えて、表情をなるべく動かさず歩く。
常に自分の命を狙う者たちに弱みを悟られないようにして生きてきた中で身に着けた術だ。
「えん...りゅ...わたし…。へい…きです。にげ、て、くださ…い。」
甘い声が漏れないよう、雹華が慎重に言葉を紡ぐ。
ここに誰か敵が来たら、雹華を庇って戦うのは限界があるだろう。
だが、
(この女を穢されるくらいなら腕ぐらいくれてやるわ!)
「こと、わる!」
なるべく息が混じらぬように話す。
ぐっと掴む腕がに力が勝手に入った。
その感触が体に響いたのか雹華の体がビクンっと大きく跳ねた。
「っあ…はぁ…!ご、ごめ…んっ…あ。こえ…がっ。~~ぁっ!」
最後は声が漏れないよう必死に声を抑えたのだろう、少し鼻から抜けるような高い声にもならぬ声が腕の中で啼いた。
とっさに体に抱き着かれ、体に思わぬ衝撃が走る。
「~~~っ!はっ…。」
自分も声が出ないよう、耐えたのち、短く息を吐いた。
雹華は衝撃が入らぬよう、ゆっくりとその手を離して自身の顔を覆った。
俺に衝撃を与えぬように配慮したらしい。
まったく、本当に気を使うやつだ。そんなことに気を使わなくていいのに...。
覆った手の隙間から、とろんとした目が見え、口は少し開き、てらてらと光る唾液が小さい口の中に見える。
コクンと小さくその唾液を飲み込んだ後、雹華は謝罪を口にした。
「ごめっ…。」
「…っ気にせんで、ええ。なるべく、揺ら…さずに、あるく。」
謝る彼女をなるべく安心させるように、人間が安心するといわれる口調をなるべく意識して話す。
だが、少しでも気を抜くと、違う声が出そうなので、途切れ途切れになってしまった。
無理やり前を向いて歩く。
このままこの顔を見るのは毒だ。
この媚香よりも毒だ。あぁ、間違いない、とんでもない毒だ。
先程の顔を思い出す。煽情的で、誘惑的、蠱惑的なその動き、表情__。
(その口を口で塞ぎたい…、そのまま、下にも口を付けて中にまで…。)
喉の奥でゴキュンッと変な音が鳴った。
いままでどんな女(仕事で)を相手にしても、狩人の方法以外やりたくない、面倒くさい。と思っていたのに。
すべてを暴いて、自分のものを押し入れて、その美しく気高い穢れのない体を…花を手折ってまいたい。
部屋があると言っていたはずだ。
早く部屋に行きたい。
早く部屋に行ってそのまま_____
(違う!安全を確保する為に部屋に連れていくんや。)
自分の雄としての欲望が頭を占めないよう、必死に否定する。
部屋には結界の術がかけられるはずだ。そこならば少しは安全だろう。
入口の結界石は発動できぬようになっていたが...部屋はまだ荒らされていないはず...。
「へ、やどこや。」
「この、まま。まっすぐのところに…っ。みえ…る。」
「あそこ、か。」
「は…い。」
甘さを含むその声が腹の奥の熱を上げる。
本人には自覚がないのだろう。
話す声が、歩くたびに伝わる体の動きが腕を、触れているところ全てを通して伝わってくる。
(もう少し揺らして、達してやった方が楽やろか。それともこのまま焦らして、ぐずらせるのもありか…。)
なんて、意地が悪い感情が顔を出す。
それでも比較的揺らさぬよう、衝撃が加わらぬように歩く。
自分も衝撃が来ると、困るのは同じことだ。
「んっ、んっ…。んっあ。あっ。」
歩く動きに合わせて、声が漏れている雹華。
本人は気づいていないようだが、足と足を固く閉じ、擦り合わせている。
顔を隠している手で、自慰行為でもすればいいのに、そんなこともできないほど何やら考え込んでいるらしい。
たまにビクッと大きく跳ねるが、それでもこのぐらいの衝撃で加わる快楽では、達することはできないらしく、たまに残念そうな、強請る様な甘い声を漏らす。
あまり揺らさないように歩いているのも原因らしい。
部屋に到着した。
カツンっと床を鳴らしていた靴の音が止まる。
部屋に入ろうと思ったが、鍵が掛かっているようだ。
「鍵かかっとる。あけ、てくれ、や。」
変な声が漏れないよう話すため、いつもより話し方が曖昧だ。
毒耐性があるはずなのにこの体たらく...鍛え直しが必要のようだと思う。
「は、い…っ」
体が熱い。腹の奥が、ぐるぐると熱の渦を作っている。
早くこの熱を吐き出したい。
雹華が鍵穴に、腰にある巾着袋から鍵を取り出し、鍵穴に差し込み、ぐるりと回して開ける。
「はいるで」
無言のままコクリとうなずいた雹華を確認してから俺は雹華の部屋に入った。
(はやく、はやく…。はやくこの女を食らいたい___)
理性の線が焼き切れる一歩手前。
ゆっくりとその理性の線がブチブチとちぎれ始めていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雹華の部屋
雹華side
ガチャンッ
扉を閉め、再びカギをかけると、黄色色の光が扉を包みゆっくりとその姿扉にしみこむようにして消した。
どうやら、結界は無事に張られたらしい。
(ギルドの入口はダメだったみたいけどこの部屋は平気だったのね...良かった。)
私をまだ持ち上げたままの炎龍がゆっくりとまた歩き出す。
先程の揺らさないような歩き方と違って乱暴な歩き方に変わった。
「っあ!ん。えん、りゅう。あぁ…!どうしっ…。」
「そろそろ、はぁ…。我慢の、限界や…!」
限界とはどういう意味か…。私が重いのか、それともこんな醜態をさらしている私が嫌いだから…?熱のせいで悪い予想しか浮かばない。
歩くスピードも、揺らさないようにしていた動きも感じない動作でありながら、褥にゆっくり横に寝かされる。
靴も脱がされ、入口に放られた。
「っ!~~…。は…ぁ。」
(私を置く時だけ優しいなんてずるい…。)
声が少し漏れたが、耐えた。
寝かされたので、早く褥の奥へ行って。
一人でこの症状が治まるまで、耐えれば…。
ドスッ
褥が揺れた。
上半身を何とか動かそうと片腕を立てた時だった。
炎龍が私の褥の端に座った。
口元を覆っていた布を乱暴に取り、どこかへ放ったのが見えた。
(なんで私のお布団のところに座ったんだろ?あ、そっか、ここ以外に安全なところがないだね。)
部屋から追い出すなんてことはできない。
ここまで連れてきてもらったのだ。
お礼を言わないと...。
「ありが、とう。えん...りゅう。」
無言でこっちを見て、炎龍がゆっくりと手を伸ばしてくる。
目の端でとらえたのは、炎龍の靴が脱げたところだった。
「…?____んっ!」
どうしたんだろうと見つめ返していたら、その手が私の腰を掴んだ。
がっしりとした、逞しい手が腰を途端につかむものだから、声を抑えることができなかった。
驚いて見つめ返してしまうと息が荒い炎龍の顔とぶつかった。
「ね…つ。吐き出さんと、後遺症…っのこるで。」
「え…?で、も…どう、やって?」
はぁはぁと息を切らしながら、話してくる内容は無視できないものであった。
この熱を耐えていればいつか終わるものだと思っていたが、実はそうではないらしい。
(熱の吐き出し方って…、あれしかないよね?でも、人前でどうしろと…?!)
キョトンとした顔と目が合った。
「はじ…めてか?ひとりでは…?」
無言で首を振るしかない。
(なんでこんなこと言わなくてはいけないの…!一人でヤッたことがあるのは日本の頃の私だし、この体はまだそんな経験ないんですよ!なんて言えない。)
「はぁ…。」
ため息つかれたんですけど…。
仕方がないではありませんか!この体大切にしたいんですよ!それにまだ十六歳だし!?
「ハニ、トラのヤリ方は?」
口調がずっと途切れ途切れだ。
声が漏れないようにしているのだろう。(ハニトラとは誘惑専門の略語だ。)
言われた意味が同じだと思うのだが、何か違うんだろうか?
(ハニトラのヤリ方でやったことはあるか?と聞かれたと思う)
一応その経験もないので首を振る。
(ヤッたことないんだから、狩人同士なんてもっとないですよ!言わせないで!何か胸に来る痛みがあるので!!)
何か考えたそぶりをしたが、特に深いことではなかったらしく、簡単にその思考を止めたらしい。
「…じゃあいいか。」
「っえ。ちょ。」
掴まれていた腰に添えられていた手が下腹の上をなでる。
「ん~~~!あぁ…は」
撫でている手がゆっくりと下に降りていく。
袴の結ばれている紐を手を回してほどかれる。
足と足の間にある熱く、濡れている場所に手が触れた。
性急すぎて何が起きているのか分からず、下着になっていることに遅れて理解する。
「あぁ…。あ…んぁ__!」
ビクッと大きく体をしならせる。
空いた手で、重なっている着物の前合わせをずらすと生の太腿が見える。
その閉じた場所から溢れる蜜によって濡れた太ももが現る。
その太腿に沿って手がゆっくりとその場所に下着の上から触れた。
「もう、こんなに濡れとる…」
「いわ、ないでぇ…。」
ゆっくりと形を確かめるように、割れ目に沿って擦られると、たまらず蜜があふれ出した。
(さっきの男の人たちが触ったときよりも、ずっとやさしくて…気持ちいい。)
くちゅくちゅと水音が部屋に響く。
もうすでに下着があふれ出る蜜によって濡れ、肌に張り付くほどで、形が見えてしまっている。
恥ずかしくて、それでも気持ちが良くて、何が起こっているのか分からなくて…。
「えんりゅ...あ。わかんな...。」
どうでもよくなるくらい触ってほしい。
熱くて熱くて仕方がないその場所。
「っ…!直接、がいいんか…?」
返事も聞かずに下着の中に手を入れてきた。
グチュッと今までとは比べようのない水音が鳴る。
「あぁぁあ!!」
腰が勝手に持ち上がりそうになる。
静電気のような感覚から、電気に一気に変えたような程、体全身に走るその信号が、まだこの世界で『快楽』の文字をうまく知らない私に快楽を叩き込んでくる。
声を我慢しようと下唇をかむ。
こっちをみた炎龍と目が合った。
炎龍も息が途切れ途切れで、汗がポタリとその綺麗な顔の輪郭を滑って落ちていく。
「噛むな、血…。でとる。はぁ…、はぁ。声出してええで…。」
前合わせを崩した後、空いていた手で私の顔をやさしく触れてくる。
先程の男たちの愛撫(愛撫と呼べるものではなかったが)で声を出さないようにしていた時に、下唇を強く嚙んでいた。その為か、下唇が少し切れているらしい。
言われれば血の味がする。
こんなにやさしくされるなんて…。
(勘違いしそう…。)
でも、今だけは夢を見てもいいのかな...。
顔に添えられた手に私の手も重ねて、頬を摺り寄せる。
掌に傷があるのが見えた。
(傷…。)
いつこんなところに傷を...?いつも手袋しているから気づかなかったのかな?
その掌の傷に口付けをする。
どうか、早く癒えますようにと願いを込めながら。
そのまま目を炎龍の方に向けると、何かを飲み込むような仕草をした途端、喉の奥からゴキュンッと変な音が聞こえた。
熱に浮かされて、少し潤んだ赤い瞳は、それでも甘さを含まず。ギラギラとして、こちらを凝視している。
目が合ったとたん、息が上がっている炎龍が目を細め、切羽詰まったような声を出した。
「っ。はぁ。ぁ。煽るなや。」
コリュッ
下の熱に隠れている、小さな芽に指が触れる。
小さく主張してしまっているその芽に気が付いたのか、気づいていたのか。
コリコリと擦ってくる。
「んあぁ、あ、あ、あ、そこ。よわ…いの。あぁぁああ____!!」
熱が一気に形を成したかのように蠢き、体を蹂躙する。秘部から頭へ、頭から秘部へ、電気が走る。
閃光が頭の中に流れ込んだ時、体が一回硬直した。
その後瞬間的にガクガクッと体が痙攣した。
頭の中が閃光で焼かれたように真っ白になって、体が一気に脱力する。
「ぁ…。はぁ…。んっああ」
空中に投げ出されたような感覚が怖くて、頬に添えられた手に必死にしがみついて、達してしまった。
「~~~~。」
何か言っているらしいが、そんなのちっとも聞こえないくらい私は混乱して、掌に必死に顔を埋める。
炎龍の大きい掌は私の顔を隠すにはちょうどいい。
(イッちゃった…。炎龍の前で…。)
軽蔑される。後悔される。はしたないって思われちゃったかも…。
一回熱が吐き出されたからなのか、ほんの少しの理性が戻ってくる。と同時に途端に涙が出てきた。
ぽろぽろと溢れて、あぁ。止めないと。と思うのになかなか止まない。
「ごめ…んなさ…。…みないで…ぇ。」
「謝らんで、大丈夫やで…。じょうず…に達せた、やん。」
「じょう…ず。ほんと…に?」
涙を顔を隠してくれている掌が拭ってくれる。
返事の代わりに、ぐちゅっと蜜があふれ出す源の中に指が入ってくる。
ゴツゴツとした節ばった指がイッたばかりで感度が高いその熱の場所に一本入る。
トロトロと蜜が指に絡みついているのか、滑りは大変に良い。
くの字に曲げられた瞬間ぎゅうっと中を締め付けてしまう。
「あっ…はっ…ぁああ」
涙が生理的な涙に代わる。
「んぅ…!あっ、そこ!!」
「ここが気持ちいいんか?」
出し抜きされたり、ざらざらと内側を撫でられる。
内側のとある一点が体の電気量を上げる。
たまらず声が出るが、顔を見せないように必死に掌に顔を押し当てる。
するとその掌が動いて、顎を捕まえた。
そのまま口の中に指が入り込んでくる。
「んぁ?!あ、えん...りゅ...ああぁ!!」
耐えられず、敷布団の布を必死につかむ。
体の奥から、湧き上がるその快楽の閃光の逃し方が分からず、ただただその快楽を受け入れる。
がくがくっとまた再び閃光のような快楽が私の体を走り抜ける。
とろっと蜜があふれるのが自分でもわかった。
「ふぁ…。あ…、んんっ」
口の中にある指が炎龍の指だと思った瞬間、グワッと下腹の奥が疼く。
「達するの上手やなぁ…。上手、じょうず…。もう一回…達してみよか?」
「…ぅん。ふぁ…ぃ。」
また上手だと褒められて胸がぎゅぅっと苦しくなる。もう一回だと言われ、素直にコクコクと頷く。
ゾクゾクと体中の骨に沿って静電気が走る。
まだ下の中にもある指をぎゅうっと締め付けてしまう。
まるでまだ足りないと言わんばかりにだ。
口の中にある指がゆっくりと動く。それに合わせて下の指も動くものだから、下の中での指の動きが容易に想像できた。
「あ…ぁ…!ほこっ、やらぁ」
「快楽を感じて…?気持ちいいやろ?」
情けない顔をしているだろうに隠すことすらできないほど、私は必死に横にあるシーツを掴んで、彼の指に夢中になる。
タラりと口の中の唾液すら口の端に垂れてしまう。
手で抵抗すればいいのに、そんなことすら頭に浮かばない。
(快楽を感じる…?抵抗しては…だめ…?)
「はぁ…!ぁあ…はぁ…んっあ」
その快楽を、指の動きをずっとただ抵抗もせず、大人しく受け入れる。
「そうや…。いいこやなぁ。…イけ。」
いきなり中の弱いところを一気にぬめりとともにずっと擦られる。
「んんんっ~~~~!!」
駆け上がる電気。
たまにトントンと叩かれる様な愛撫も加わり、たまらず声を出す。
「んぁ。あぁ…。んぅは。はあぁああ…!」
こんなに気持ちいことをされたら、おかしくなってしまうのでは?と恐怖が一瞬浮かび、抵抗しそうになるが、炎龍の言葉を思い出し、体が勝手にその抵抗の意思を抑え込む。
(快楽は受け入れなくちゃ…いけない…。)
シーツを掴む手が強くなる。
一気に持ち上がった電気は今までと違って、じっくりと脳内を焼いた。
口の中の指をかまないように、ゆっくりと今度は達した。
一瞬別の何かが来そうだったが、なんとかその波はこなかった。
目がチカチカとする。
あまりの快楽に脳内が快楽の色で塗りつぶされそうだ。
「おちろ」
ようやく炎龍の言っている言葉か聞こえたと思ったら、『落ちろ』と言ったらしい。(結局何を言いたいのか理解ができないけど。)
「おちろ…?んっあ、あ。はぁ、ああぁ。やぁあ。こえ」
口の中の指を嚙まないようにすると、声がおさえられない。
顔を近づけて来たと思ったらそうっと声をかけられる。
「なぁ?あのクソ共にどこ、どう…触られたんや、どうされそうになった?怒らん…から。教えてや?」
ゆっくり口と下の中から指が抜かれる。
「あ…。」
炎龍の美しい顔がすぐそこまで迫る。
まるで口付けしそうなほど近い。
優しく目元が細まるが、目だけがずっと笑ってない。
ギラギラとした目の中には、暗い色が入り込み、いつもの綺麗な彼の赤色を、今だけは紅く見せている。怒りが紛れ込んでいるように見えるその瞳に私は気づいていたが気づかないふりをした。
きっと私の為に無理してこんな行為をしてくれているんだろう…なんて。
それでもその考えすら熱と快楽のせいでぼうぅっと溶けて消えていく。
(どこを、どう…?)
「むね…をさわって…。したのところの一番…弱いところを指で…こすられ…て。口付け…されそうに…なりました。」
「胸と、下と、唇やな…。」
熱い息がまた顔に掛かるが、あの三人の男達に感じた気持ち悪さはない。
むしろその息が私の意識をもっとぼぅっとさせる。
「胸を触って。」
胸を服の上から優しく掬うように触ってくる。
「んぁ。」
服がもどかしい。ずっと痛いくらい主張している胸の頂が布にこすれて、ピリピリと静電気を脳裏に流す。
シーツを掴んでいた手を離し、上半身の着物(?)服(?)に手をかける。
(熱い…。暑い…。)
触ってほしくて、もどかしくて、さっきのことを全部忘れたくて。
私の胸を触っていた手が止まった。
じっと見つめられるその目と目が合う。
口パクで、『は・や・く』と促される。
ドクドクとうるさい心臓と、触れるだけで、すべてが快楽につながる感覚が、私を急かす。
帯を外し、手前にある下着の引っ掛けを外した。
先程苦戦していた男は、どうやら後ろにフックがあると思っていたらしく、背中を片手で痛いほど触って爪を立ててきた。最後はあきらめたらしく、無理やり上の下着の中に手を入れようとしていたが…まだ入れられていなかった。
ドクドクと心臓が五月蝿い。
あれ?上半身って裸になっていいんだっけ?
でもその目線が私のそんな考えをとかしてしまう。
下着が外れると、ふるんっと抑えられていた発育の良い、形が良い胸が露わになる。
まだ発達途中の胸は強くつかむと痛みをまだ与えてくることがある。
だが今はそのいつもの痛みより、頂で存在を主張しているその桃色の突起が痛いほど熱を帯びている。
両手で隠そうとしたが、炎龍が手を伸ばしてきたのが見えた。
炎龍の手が私の腕を優しく退かして、ゆっくりとその胸を揉み始める。
痛くないように、優しく揉み解し、その痛みを快楽に変えていく。
「白くて…。やわらかい。」
「あっ、はぁ…はっん。」
しばらく揉みほぐしてその感触を堪能しているようだったが、胸の突起を突然摘ままれた。
「んあぁ!!」
胸の突起を捏ね回すように触った後、弾いたり、摘まんだりされる。
「んっあっあ、ぁ…ん~~!」
(胸でそんなに感じたことないのに。嘘っ!?この体どれだけ感度がいいの!??)
毒のせいだとも頭が回らず、胸に与えられる快感に翻弄される。
触られないのに、熱ばかりがたまる下のせいで腰が勝手にいやらしく動いてしまう。
顔が胸に向かって下がると、口をパカっと開けて口のなかに胸の突起を含んだ。
「へ?…あ!ダメっ!今食べちゃっ____あぁぁ!」
ヌルっとした感覚が私の胸の頂を包み、吸われる。
「吸っちゃ…!あぁ…。はぁ…んぁ」
チュウチュウと吸われると下腹の奥がキュンキュンとなく。
舌でコロコロと転がされるその突起は、まるで別の生き物化のように熱を含み、私を責め立てる。
ゾクゾクした溜まるような感覚から、ビリビリとした快楽へ変わっていく。
(だめっ…。弱くされちゃってる…。)
胸が快楽に弱いのは分かったが、より一層その弱さを深堀されているようで困る。
胸がこんなに弱くされてしまったら、胸だけで達せるんじゃないだろうか?
なんて考えるとギュゥと下腹の中が切なく何もない中身を締め付ける。
熱い口内の中、言葉とは裏腹に食べてほしいと言わんばかりに、押し付けてしまう。
コツンとした謎の感覚が胸の突起が捉えた。
なんだろうと思う間もなく、強く吸われた後、途端に舌で潰される。
「はぁああ!」
頭をとっさに掴んでしまい、炎龍の髪の毛がぐしゃりと歪む。
「っ!」
少し、驚いたようにビクリッと炎龍の体が動いたのが分かった。
頭を掴まれたことに驚いたらしいが痛くはなかったようだ。よかった。
だがもうその手も気にせずに胸の愛撫を続ける炎龍。
でも私は混乱していた。
(だめっ!頭掴んじゃダメなんだった。どうしよう!)
慌てて、頭を触らぬようにしようとしたが、手をどこに投げればいいのかわからず、頭をなでるように、つつむように抱きしめてしまう。
「んっ!あっ、だめ胸だけで…イッちゃっ…~~~ぁ_____ん!!」
ガクガクガクッ!!
今まで一番深い快楽が私を襲う。
ぎゅっと胸元の炎龍を強く抱きしめる。
「イッてる…!イッてるからぁ…!んぁ…ん~!」
イッてもお構いなしに口の中にある突起を弄ぶ。
グワッと下腹が熱くなると、ビリビリとした感覚が指先や足先に走り、たまらず、指先を曲げる。
「だめっ、ちがうのっ!きちゃぅ!…やらっ…はぁああ…ん!!!」
ガクンっと大きく揺れると、下から愛液とは別の液体がしょろしょろと出る。
「ふぁぁ…あ…。」
一気に脱力するが、体の下半身の痙攣が残る。ピクピクと揺れる下半身。
チュッとリップ音とともに胸から口が外され顔が持ち上がる。
頭を掴んでいた手が緩んでいたようだ。
「ごめ…んなさい。…粗相を…。」
すぐに頭に浮かんだのは粗相をしてしまったということだ。
涙がジワリとまた溢れそうになる。
なんで『特別』な人の手前、粗相をしなくてはいけないんだ。
最悪だ。汚いって思われてしまったかも…。
目を固く閉じたが、驚いたことに想像とは違う言葉が返ってきた。
「潮吹いたんか?気持ちよくなってえらいなぁ…。」
よしよしと頭を撫でられる。
ゆっくりを目を開けるとギラギラとした目のまま、それでも優しそうに目を細め、頬を少し赤く染め褒めている炎龍がいた。
「ほな、それじゃあ…もう一回イってみよか。」
「んっ…。また、もぅいっかぃ…?」
頭を撫でられた瞬間になにかが頭をよぎった。
ハニトラの方法(いわば狩人同士の性行為の方法)って…違うような。
(あれ…?これって狩人者の方法でいいんだっけ…?)
いつの間にか体の上に覆いかぶさっている炎龍。
炎龍が胸から口を離すと、いつの間にか移動していた手が私の方足を掴み、ぐっと外側に少し開かせた。
「あとは…、下の弱いとこ…擦る…だったよな。」
(え…。まさか再現されてる…?)
「んああ!だめっ。そこ…よわ、いの!ぁぁああ!!」
片手で胸を触られ、もう片手で下の弱いところを擦られる。
先ほどイッたばかりいうのに、熱く濡れた蜜の中にある小さな芽を、指でコシコシと優しく擦られる。
擦られるたびに、その芽から走る電流に体がビクビクと跳ね揺れる。
たまらず声を上げている私は、炎龍の頭から、肩に手を落とし、必死にしがみつくしかなかった。
開いている手で、抵抗の一つでもすればいいのに、相手が炎龍というだけで、私の体はその与えられている快楽にすべてを委ねてしまう。
「あ、クる!だめっだっ…あ、あぁ。んぁあああ!!!」
ガクガクッと再び脳裏に火花のようなものがチラつき、最後は白く染め上げる。
回数を重ねるごとに、楽になるどころか、熱が高まって、下腹の奥…、最奥がずっと切なくてキュンキュンと啼いている気がする。
下の芽は弱く敏感なこともあって、すぐに達してしまった。
「じょうず…。じょうすやなぁ…。」
まるで幼子に言うように優しく褒められる。
イッたばかりでまだ敏感なその芽をやさしく、まわりの蜜のぬめりを塗り付け、撫でてくる。
時々押しつぶし、小刻みに揺らされる意地悪も加わり私は読めないその動きに翻弄される。
優しく褒めてくれているというのに、その動きは真逆に私を快楽への奈落へと責め立てている。
それでもその褒めてくれる言葉にコクコクとただ素直に頷いてしまう。
(うれしい…。炎龍にもっと褒めてもらいたい…そしたら、もしかしたら__。)
頭の中がドロドロと快楽の色に塗りつぶされ、正常な頭の働きができなくなっているのにも気が付かず、快楽に落ちていくのだった。
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