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word32 「迷子 親の場所」①
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僕は今日、ちょっとしたお出かけをした。そして今はその帰り道である――。
休日に服を買いに市内のアウトレットへ。そろそろ寒い季節がやってくるので冬用の上着を求めて。それと、前から続いている自分磨きや恋の為、今年はずっと去年と同じ服で過ごしていた僕は午後から気合を入れて乗り込んだ。
久しぶりだったおしゃれな若者が集まる空間で、いくつも店を回っていくのは歩いているだけで疲れることだった。けれど、その分収穫もあったと思う。高校生にしては財布が厚い僕は一目で気に入った服をいくつか買った。流行も取り入れた自信が持てるコーディネートが揃った。
普段の生活圏からは遠く離れたアウトレットへはバスを利用して行った。だから、帰りもバス。20分ほど音楽でも聴きながらバスで揺られた僕は、目的地のバス停に着くとイヤホンを外して降車する。
見慣れた近くで1番大きい駅。人の流れに乗って歩く。それほど人だらけでもないけど、帰りの乗り物が招く眠気を飛ばすには十分な数だった。
ここからは自転車でまた10分ほど。少し離れた自転車置き場でサドルに跨ると、自宅目指して車の数が少ない通りのほうへ入った。
家に帰ったら何をしようか。筋トレはするとしても、他に何かやるべきことはあるだろうか。やりたいことはいくつかあるけれど、もう夜までそれほど時間は無いし……。
そんなことを考えながら、自転車を数分こいだ時に僕は異変に気づく。完全に住宅地に入って信号も無くなったので速度を上げた時だ。
後ろから猛スピードで迫ってくる足音がある――。
何事かと後ろを見る。するとそこには小さな女の子の姿があった。小さな手足を必死に動かしている。
目は明らかに僕のことを見ていた。その顔は嬉しそうで、輝くような笑顔をしている。
僕は動揺した。そのまま角を曲がってみてもやはり同じように曲がってついてくる。どう見ても自転車でゆく僕の後をダッシュでついて来ているのだけれど、その理由が分からないのだ。
自転車を止める。すると、謎の女の子も足を止めた。
「……な、何かな?」
「……はあ、はあ」
僕は息を切らしていないけど、全力疾走していたであろう女の子は疲れて舌を出す犬のような息遣いになっていた。
長い髪で目はぱっちりしている幼稚園児くらいの女の子。ヒマワリ柄の服を着ている。周囲を見たところ、親らしき大人はいなかった。
「えっと……」
自転車から下りてみたけど、何と声をかけていいか分からない。何しろ僕に下の兄妹はいないし、親戚や仲の良い友達にも年が離れた子供はいない。小さな子と接するのはやり方が分からなくて苦手だった。
しかし、そんな壁を取り払うように少女の方から僕の方へ数歩近寄ってくる。
「タッチ!捕まえた!」
休日に服を買いに市内のアウトレットへ。そろそろ寒い季節がやってくるので冬用の上着を求めて。それと、前から続いている自分磨きや恋の為、今年はずっと去年と同じ服で過ごしていた僕は午後から気合を入れて乗り込んだ。
久しぶりだったおしゃれな若者が集まる空間で、いくつも店を回っていくのは歩いているだけで疲れることだった。けれど、その分収穫もあったと思う。高校生にしては財布が厚い僕は一目で気に入った服をいくつか買った。流行も取り入れた自信が持てるコーディネートが揃った。
普段の生活圏からは遠く離れたアウトレットへはバスを利用して行った。だから、帰りもバス。20分ほど音楽でも聴きながらバスで揺られた僕は、目的地のバス停に着くとイヤホンを外して降車する。
見慣れた近くで1番大きい駅。人の流れに乗って歩く。それほど人だらけでもないけど、帰りの乗り物が招く眠気を飛ばすには十分な数だった。
ここからは自転車でまた10分ほど。少し離れた自転車置き場でサドルに跨ると、自宅目指して車の数が少ない通りのほうへ入った。
家に帰ったら何をしようか。筋トレはするとしても、他に何かやるべきことはあるだろうか。やりたいことはいくつかあるけれど、もう夜までそれほど時間は無いし……。
そんなことを考えながら、自転車を数分こいだ時に僕は異変に気づく。完全に住宅地に入って信号も無くなったので速度を上げた時だ。
後ろから猛スピードで迫ってくる足音がある――。
何事かと後ろを見る。するとそこには小さな女の子の姿があった。小さな手足を必死に動かしている。
目は明らかに僕のことを見ていた。その顔は嬉しそうで、輝くような笑顔をしている。
僕は動揺した。そのまま角を曲がってみてもやはり同じように曲がってついてくる。どう見ても自転車でゆく僕の後をダッシュでついて来ているのだけれど、その理由が分からないのだ。
自転車を止める。すると、謎の女の子も足を止めた。
「……な、何かな?」
「……はあ、はあ」
僕は息を切らしていないけど、全力疾走していたであろう女の子は疲れて舌を出す犬のような息遣いになっていた。
長い髪で目はぱっちりしている幼稚園児くらいの女の子。ヒマワリ柄の服を着ている。周囲を見たところ、親らしき大人はいなかった。
「えっと……」
自転車から下りてみたけど、何と声をかけていいか分からない。何しろ僕に下の兄妹はいないし、親戚や仲の良い友達にも年が離れた子供はいない。小さな子と接するのはやり方が分からなくて苦手だった。
しかし、そんな壁を取り払うように少女の方から僕の方へ数歩近寄ってくる。
「タッチ!捕まえた!」
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