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・二の部屋
第15話 諸悪
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ウウウウウウウウウウウウウウウウウ――ウウウウ――
化け物の声だ。何かうなっている――
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ――
「大丈夫だ。たまにあんな声をあげる。こんな気味の悪い声とも今日でお別れだ」
カズオが自分に言い聞かせるようにどこを見るでもなく言った。
響いて何重にも聞こえるうなり声は苦しんでいるような泣いているような、悲痛なものだった――。
「だいたい話は終わったから寝れそうなら夜に備えて寝ておけよ。俺はここで寝る。お前もこの部屋で寝ろ」
言いながら窓際にあるダンボールを廊下に移動させて、座布団を2つ持って1つをナオキの近くに落とした。
ウウ、ウウウウウウウウウウウ――
この状況で寝るのか――。でもたしかに寝れるときに寝ていたほうが良い。カズオが平然と座布団を丸めて、平然と眠りに就こうとしているということは大丈夫なんだろう。
「お前は何でここに?」
座布団を枕にして寝転んだカズオに尋ねられた。
「えっと、100億円がほしいからですね」
「まあ、そうだよな」
「カズオさんは何で?」
「俺も金のためだな。それ以外は……ねえよ」
年上の人と世間話をするのは苦手だった。年齢やここに来るのに至った経緯をもっと詳しく聞きたかったが失礼かもしれないと思って言葉が引っ込んでしまう。
「脱出できる状況になったとして、さっきの人達――あの女の人少女は親子なんですかね?」
「どうやら親子らしいな」
「あの親子は置いていくんですか」
「放っておけばいい。あの女は全然協力的じゃない。ここでこのまま死んでもいいらしい。最初はあの女に協力を持ちかけたんだが1人でやれと言われた」
「そうなんですか……」
あの親子についても詳しく知りたい気持ちはあったが、知ったところでカズオの話が本当ならすぐにお別れなのでナオキは話を続けようとしなかった――。
「お前は置いて行かないから安心しろ。こうやって言うとで逆に信用されないかもしれないな。だから正直に心の内を話そう」
明るくなり始めた部屋に沈黙が流れ、ナオキが逃げ方を頭の中でシュミレーションしているとカズオが体を起こして改まって話し出した。
「俺は弱い人間だ。人生後先無くなって捨ててしまってもいいと思って捨て身の覚悟でここに来たが、霊を殺そうなんて思わなかった。若いお前のほうがよっぽど勇気がある。お前みたいなやつが100億円を手にするべきなんだろうなあとさっき負け犬のように思った。この空間から出れたとして、その先の部屋により強力な霊がいるなら俺一人じゃきっと無理だ。だから少なくともここでお前だけを置いて逃げたりはしない」
逆に言えばこの先は見捨てるかもしれないということだが、確かにそういう話なら信用できる。調べる内容も思っていたよりは理にかなっていたし、このまま夜を迎えても良いとナオキは話を聞いて思った。
人生捨てて捨て身の覚悟か――いろいろ苦労してきたんだろうなあ可哀そうに。そういえば自分も自己アピールにはそんなことを書いた。自分は誇張したがカズオが顔の皺を際立たせて唇を噛む様子からカズオの場合は本心からなんだろう。
しかし、可哀そうに思った気持ちは本当だが、ナオキはこの先カズオが危険に陥っても助けずにすぐ見捨てると決めていた……。
カズオから少し離れてナオキも座布団を枕に寝転び、体感的に20~30分経ったがナオキは眠れなかった。子供のころホラー番組を見た後寝れなかったように、目を閉じるとそこに化け物の巨大な目が浮かび上がる。
ウウウウウウウウウウ――
またこの家の諸悪の根源がうなりだした。
うなりたいのはこっちだ。
そんなことを思っていると手に生々しい感触がした――
化け物の声だ。何かうなっている――
ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ――
「大丈夫だ。たまにあんな声をあげる。こんな気味の悪い声とも今日でお別れだ」
カズオが自分に言い聞かせるようにどこを見るでもなく言った。
響いて何重にも聞こえるうなり声は苦しんでいるような泣いているような、悲痛なものだった――。
「だいたい話は終わったから寝れそうなら夜に備えて寝ておけよ。俺はここで寝る。お前もこの部屋で寝ろ」
言いながら窓際にあるダンボールを廊下に移動させて、座布団を2つ持って1つをナオキの近くに落とした。
ウウ、ウウウウウウウウウウウ――
この状況で寝るのか――。でもたしかに寝れるときに寝ていたほうが良い。カズオが平然と座布団を丸めて、平然と眠りに就こうとしているということは大丈夫なんだろう。
「お前は何でここに?」
座布団を枕にして寝転んだカズオに尋ねられた。
「えっと、100億円がほしいからですね」
「まあ、そうだよな」
「カズオさんは何で?」
「俺も金のためだな。それ以外は……ねえよ」
年上の人と世間話をするのは苦手だった。年齢やここに来るのに至った経緯をもっと詳しく聞きたかったが失礼かもしれないと思って言葉が引っ込んでしまう。
「脱出できる状況になったとして、さっきの人達――あの女の人少女は親子なんですかね?」
「どうやら親子らしいな」
「あの親子は置いていくんですか」
「放っておけばいい。あの女は全然協力的じゃない。ここでこのまま死んでもいいらしい。最初はあの女に協力を持ちかけたんだが1人でやれと言われた」
「そうなんですか……」
あの親子についても詳しく知りたい気持ちはあったが、知ったところでカズオの話が本当ならすぐにお別れなのでナオキは話を続けようとしなかった――。
「お前は置いて行かないから安心しろ。こうやって言うとで逆に信用されないかもしれないな。だから正直に心の内を話そう」
明るくなり始めた部屋に沈黙が流れ、ナオキが逃げ方を頭の中でシュミレーションしているとカズオが体を起こして改まって話し出した。
「俺は弱い人間だ。人生後先無くなって捨ててしまってもいいと思って捨て身の覚悟でここに来たが、霊を殺そうなんて思わなかった。若いお前のほうがよっぽど勇気がある。お前みたいなやつが100億円を手にするべきなんだろうなあとさっき負け犬のように思った。この空間から出れたとして、その先の部屋により強力な霊がいるなら俺一人じゃきっと無理だ。だから少なくともここでお前だけを置いて逃げたりはしない」
逆に言えばこの先は見捨てるかもしれないということだが、確かにそういう話なら信用できる。調べる内容も思っていたよりは理にかなっていたし、このまま夜を迎えても良いとナオキは話を聞いて思った。
人生捨てて捨て身の覚悟か――いろいろ苦労してきたんだろうなあ可哀そうに。そういえば自分も自己アピールにはそんなことを書いた。自分は誇張したがカズオが顔の皺を際立たせて唇を噛む様子からカズオの場合は本心からなんだろう。
しかし、可哀そうに思った気持ちは本当だが、ナオキはこの先カズオが危険に陥っても助けずにすぐ見捨てると決めていた……。
カズオから少し離れてナオキも座布団を枕に寝転び、体感的に20~30分経ったがナオキは眠れなかった。子供のころホラー番組を見た後寝れなかったように、目を閉じるとそこに化け物の巨大な目が浮かび上がる。
ウウウウウウウウウウ――
またこの家の諸悪の根源がうなりだした。
うなりたいのはこっちだ。
そんなことを思っていると手に生々しい感触がした――
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