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その後の話:暴走と妄想の狭間で
第1話 侍女
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紙を捲る音が、部屋に響き渡る。
今にも崩れそうなほど高く積み上げられた書類の中で、黒髪の青年が一人、唸っていた。
手元の書類が恐るべき速さで捲られ、あっという間に最終ページへたどり着く。驚くべき読書スピードだ。
ここは、魔界。
そして書類に埋もれかけているこの青年こそが、魔界を統べる者――魔王ジェネラルである。
ジェネラルが、エルザ王国の王女であるミディを攫ったあの事件から、半月が経とうとしていた。
「はあ~……、中々適任者が見つからないなあ……」
ジェネラルはため息をつくと、読み終わった書類を横に避けた。ぐぐっと両手を上げると、強張った体をほぐすように後ろに倒す。そして深く息を吐き出すと、ゆっくりと元の体勢に戻った。
片肘をつき人差し指で頬を軽くたたきながら、机の上に視線を落とす。
彼は今、悩んでいた。非常に悩んでいた。
それは、ミディの侍女の事である。
魔界では、魔王や城内で働く人々に対して雑用や身の回りの世話を行う女性たちを女中と呼び、その中で、特定の魔族専属として対応する女性たちを、侍女と呼んでいる。
今は色々な女中たちに、彼女の身の回りの世話を任せている。しかし、ミディにも侍女を付けた方が、世話する方もされる方も何かと都合がいい。
そういう理由で、ミディのことをよく知るジェネラル自らが、侍女を探しているのだが……いかんせん、あの王女の性格を考えると、中々適任者が見つからないのだ。
“とりあえず、我慢強い・精神的に強いっていうのは必須条件だよね……”
ジェネラルはあの王女の性格を思い出しながら、遠い目をし考える。傍から見れば、彼がどこか空ろな瞳で宙を見つめているように見えただろう。
彼の首が、力なくカクンと前に倒れた。どうやら、名簿から探すのは諦めたらしい。
意識を現実に戻すと、魔王は書類を持って立ち上がった。本棚に近づき、書類たちを片付けていく。
魔法を使えばいいのだが、思考が煮詰まっている時は身体を動かすのに限る。
「……あっ」
ふと、名簿をしまう手が止まった。さっそく、身体を動かした効果が出たようだ。
何かに気づいたかのように、一瞬息を飲む音が聞こえたが、すぐに飲み込んだ息を吐き出した。
「……でも彼女は忙しそうだからなあ。いくら優秀でも、これ以上仕事を増やすわけにはいかないし……」
せっかくの思い付きを即却下し、自らに言い聞かせるように呟く。そして書類直しを再開すると、新たな閃きが下りてくるのを待った。
その時、ドアをノックする音が響き渡った。
手を止め、ドアに視線を向けるジェネラル。
「ジェネラル様、私です。少しお時間宜しいでしょうか?」
ドアの向こうから聞こえた声は、ジェネラルにとってなじみのある声だった。
彼の顔に、笑みが浮かぶ。
“凄く良いタイミングじゃないか。話だけでもしてみようかな?”
心の中で指を鳴らすと、
「いいよ、入ってきて。丁度、僕も話があったところだから」
そう訪問者に声をかけると、彼の魔力により、ひとりでにドアが開いた。
そして、ドアの外にいる人物を迎え入れた。
今にも崩れそうなほど高く積み上げられた書類の中で、黒髪の青年が一人、唸っていた。
手元の書類が恐るべき速さで捲られ、あっという間に最終ページへたどり着く。驚くべき読書スピードだ。
ここは、魔界。
そして書類に埋もれかけているこの青年こそが、魔界を統べる者――魔王ジェネラルである。
ジェネラルが、エルザ王国の王女であるミディを攫ったあの事件から、半月が経とうとしていた。
「はあ~……、中々適任者が見つからないなあ……」
ジェネラルはため息をつくと、読み終わった書類を横に避けた。ぐぐっと両手を上げると、強張った体をほぐすように後ろに倒す。そして深く息を吐き出すと、ゆっくりと元の体勢に戻った。
片肘をつき人差し指で頬を軽くたたきながら、机の上に視線を落とす。
彼は今、悩んでいた。非常に悩んでいた。
それは、ミディの侍女の事である。
魔界では、魔王や城内で働く人々に対して雑用や身の回りの世話を行う女性たちを女中と呼び、その中で、特定の魔族専属として対応する女性たちを、侍女と呼んでいる。
今は色々な女中たちに、彼女の身の回りの世話を任せている。しかし、ミディにも侍女を付けた方が、世話する方もされる方も何かと都合がいい。
そういう理由で、ミディのことをよく知るジェネラル自らが、侍女を探しているのだが……いかんせん、あの王女の性格を考えると、中々適任者が見つからないのだ。
“とりあえず、我慢強い・精神的に強いっていうのは必須条件だよね……”
ジェネラルはあの王女の性格を思い出しながら、遠い目をし考える。傍から見れば、彼がどこか空ろな瞳で宙を見つめているように見えただろう。
彼の首が、力なくカクンと前に倒れた。どうやら、名簿から探すのは諦めたらしい。
意識を現実に戻すと、魔王は書類を持って立ち上がった。本棚に近づき、書類たちを片付けていく。
魔法を使えばいいのだが、思考が煮詰まっている時は身体を動かすのに限る。
「……あっ」
ふと、名簿をしまう手が止まった。さっそく、身体を動かした効果が出たようだ。
何かに気づいたかのように、一瞬息を飲む音が聞こえたが、すぐに飲み込んだ息を吐き出した。
「……でも彼女は忙しそうだからなあ。いくら優秀でも、これ以上仕事を増やすわけにはいかないし……」
せっかくの思い付きを即却下し、自らに言い聞かせるように呟く。そして書類直しを再開すると、新たな閃きが下りてくるのを待った。
その時、ドアをノックする音が響き渡った。
手を止め、ドアに視線を向けるジェネラル。
「ジェネラル様、私です。少しお時間宜しいでしょうか?」
ドアの向こうから聞こえた声は、ジェネラルにとってなじみのある声だった。
彼の顔に、笑みが浮かぶ。
“凄く良いタイミングじゃないか。話だけでもしてみようかな?”
心の中で指を鳴らすと、
「いいよ、入ってきて。丁度、僕も話があったところだから」
そう訪問者に声をかけると、彼の魔力により、ひとりでにドアが開いた。
そして、ドアの外にいる人物を迎え入れた。
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