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その後の話:未来の話をしよう
第18話 事情
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「この子、迷い猫なんだ。可哀想だからここでこっそり飼ってたの……。でもお外に出たかったみたいで暴れ出しちゃって……。見つかったら絶対に絶対にもとにいた場所に戻しなさいって言われるから、見つかりたくなかったのに……」
ファズは俯き、時折ユニの様子を上目使いで伺いながら、もにょもにょと事情を説明した。最後の言葉は、耳を澄ませなければ聞こえないくらい小さい。
シュンとする少年に対し、ユニは容赦ない。腰に当てる手を強く握り、お腹に力をいれると大きな声で叱った。
「当たり前です! ファズ様、生き物を飼うということが、どれだけ大変かお分かりなのですか!? ちゃんと、その生き物の一生を世話してあげないといけないのですよ! お花の水やりだって、3日坊主だったじゃありませんか!」
「それは……。でも猫ちゃんの世話はちゃんとするから!!」
「駄目です!!」
それはどこででもある、『子どもが生き物を拾ってきて、親と交渉する』場面だ。しかし、それがレシオたちが知っている小さな生き物の場合であって、角が生えたでかい猫モドキには当てはまらない。
少なくとも、プロトコルでは。
"……世話出来るとかそんなレベルじゃねえだろ……。猫パンチで木箱吹っ飛ばす力だぞ!? 危険すぎるにもほどがあるだろ……"
レシオが二人の会話を聞きながら突っ込んだ。
そうこうしているうちに、ユニとファズの問答が終わった。どうやら、両親に許可をもらえればOKということになったらしい。
それもどうなのかと思うのだが、レシオはそれ以上考えることを止めた。魔界には魔界の常識がある。人間の常識に当てはめてはいけない。
ユニの視線が、ファズからレシオたちに移動し、少女の表情が客人をもてなす柔らかい表情へと変わった。
「それはそうと、プロトコルからのお客様方」
"しまった……。この子にばれていたのを忘れていた……"
彼女の表情とは正反対に、兄妹の表情が硬くなる。レシオは心の中で舌打ちをした。
魔族は魔法を使う事が出来るらしい。先ほどの声、そして猫モドキが眠りこけた現象を見る限り、少女が魔法を使ったのは明らかだ。今自分たちに魔法を掛けられたら、一発で全滅してしまう。一難去ってまた一難な展開にレシオは唇をかんだ。魔法をかける前に、相手の動きを封じるべきか、あらゆる検証を頭の中で行う。
しかし、
「あらあら、そんなに怖いお顔をなさらないでくださいませ。レシオアーク・エルザ様、そしてティンバー・エルザ様」
見知らぬ少女の口から出るはずのない名に、二人は驚愕の表情を浮かべた。彼らの反応が面白かったのか、ユニが小さく噴き出す。
「ふふ、お二人がお越しになることは聞いておりましたので。ただお顔が分からなかったため、遅れてのお迎えとなり大変申し訳ございません」
ユニは申し訳なさそうに頭を下げた。元々二人を客人としてもてなす予定だったらしい。しかし二人にとって大切なのはユニの謝罪ではなく、彼らがここに来ると言う事を事前に知っていたという事実だ。
「……俺たちが来るのが分かっていたって……どういう事だ?」
相手の心を探るような鋭い視線を向けながら、レシオが尋ねる。しかしユニは彼の視線に全く動じず、微笑を浮かべたまま返答をした。
「エルザ王より、ご連絡を頂いておりました。お二人が、ミディ様をお迎えにやってくると」
「親父が!? どういう事だよっ!! てかミディ様って……、伯母さん生きてるのか!?」
「あの……、もしかしてお二人は、ミディ様の事を何も聞かされずにこちらにお越しになられたのでしょうか?」
レシオの慌てっぷりに、ユニは困惑している。話が通じなくて困っているのだろう。しかしあの方らしいと小さく呟くと、一つため息をついて説明をした。
「ミディ様は、魔王ジェネラル様とご結婚なされ、魔王妃となられたのですよ」
「……魔王と結婚?」
言葉の意味を理解しようと、レシオはユニの発言の一部を反復した。しかし理解するどころか、大量の疑問が沸き出て処理が追いつかない。
その時、ユニのスカートの影からファズが顔を出した。大きな瞳をキラキラさせて、2人の会話に入って来た。
「ミディ伯母さんって……、お母様の事? ユニとお兄ちゃんは、 お母様の話してるの?」
「……おっ、お母様? ってことは、この小っちゃいのは……」
ファズを指さし、震える声でレシオが呟く。
ユニはご名答とばかりに、レシオの疑問に答えを示した。
「はい、ジェネラル様の御令息ファズ様です。お二人とは、いとこというご関係になりますわ」
「……マジ……か」
自分に魔族の親戚がいた。その事実に、レシオは眩暈がしそうになった。
つい先日まで魔界や魔族などの存在は話の中、そして約20年前の過去の事でしかなかった。どっちみち、自分には関係のない世界の話だと思っていた。
それがまさか自分の伯母が魔王と結婚しており、魔族のいとこがいるなど誰が想像できただろう。いや出来ない。
眩暈を覚えつつも何とか自分を保つレシオとは正反対に、ティンバーは狂喜のあまり小躍りしている。
「こんな可愛い子がいとこなんて、素敵過ぎるのですっ! さっそくエルザ王国にお持ち帰りするのですっ!」
「おっ、おやめくださいませ、ティンバー様!」
「嫌なのですっ! もっとお姉ちゃんって言って貰いたいのですっ!」
「私も同じような理由で5回ほどお持ち帰りしてみましたが、後ほどものすごくミディ様に怒られましたので、止めたほうがよろしいですわ!」
「って、あんたも持ち帰ってんのかいっ!!」
レシオは思いっきり突っ込んだ。
めちゃくちゃ怒られると知っても、5回も持ち帰っているのだ。物凄い執念というか、馬鹿というか……、いや両方だろう。
しかしユニの言葉は、意外にもティンバーに効果的だった。憧れのお姫様から怒られると聞き、お持ち帰りは諦めたのだろう。そして魔王と伯母の関係を思い出すと、少し表情を暗くして俯いた。
「ミディ様……、自分を攫った魔王と結婚したなんて……、なんだか可哀想なのです」
どうやら、無理やり攫われ結婚させられたと思い、気の毒に思っているらしい。その言葉に、ユニは慌てて両手を振って訂正をした。魔族たちの誇りである魔王に、誤解を持って欲しくないようだ。
「いえいえ、そんなことございませんわ! お二人とも納得した上でのご結婚ですし。そもそも『魔王を倒した勇者と結婚したい』と言って、自分を攫ってくれと魔界に乗り込んできたのは、ミディ様なのですよ?」
「……誰だよ……、そんな馬鹿な事を考えた奴は……」
「あなた様の伯母様ですわ」
「……分かってる……、言われなくても分かってるさ……。その血が、少しでもこの身体に流れているかと思うと、辛すぎんだろ……」
ユニの悪意のない指摘に、レシオはとうとう膝から崩れ落ちてしまった。四つん這いになり、敷き詰められた石の床を呆然と見つめ、ブツブツ言っている。
落ち込む兄に変わり、ティンバーが父と伯母のことを尋ねた。
「さっき、エルザ王から連絡があったって仰ってましたが、お父様はミディ様のことをご存知だったのですね?」
彼女の問いに、もちろんと首を縦に振るユニ。
「ええ、そうです。ミディ様の結婚式にも、ご出席されてましたし」
「……あのクソ親父。帰ったら……、血祭りだ」
父に追い出された際の会話を思い出し、レシオは憎々しげに呟いた。彼の脳裏に、めちゃくちゃ嬉しそうににやにやしているだろう父親の姿が浮かび上がる。
いつもなら父を庇うティンバーも、この時ばかりは兄の発言を止めなかった。多少なりとも、彼女も父親に怒りを感じているらしい。
少し気の毒そうにユニが二人を見た。
「あなた様のお父様には、人をからかって楽しむところございますからね。まあこれで、私がお二人に危害を加える理由がないことがお分かりいただけたかと思います。ミディ様のご親戚ですもの。魔族を代表して歓迎いたしますわ」
そう言ってユニはにっこりと笑って、出入り口の方に視線を向けた。
「ね? ハル様」
「えっ?」
少女の言葉と視線につられ、レシオも自分たちが入って来た扉に視線を向けた。
そこには、先ほど城の前で別れたはずのハルの姿があった。
ファズは俯き、時折ユニの様子を上目使いで伺いながら、もにょもにょと事情を説明した。最後の言葉は、耳を澄ませなければ聞こえないくらい小さい。
シュンとする少年に対し、ユニは容赦ない。腰に当てる手を強く握り、お腹に力をいれると大きな声で叱った。
「当たり前です! ファズ様、生き物を飼うということが、どれだけ大変かお分かりなのですか!? ちゃんと、その生き物の一生を世話してあげないといけないのですよ! お花の水やりだって、3日坊主だったじゃありませんか!」
「それは……。でも猫ちゃんの世話はちゃんとするから!!」
「駄目です!!」
それはどこででもある、『子どもが生き物を拾ってきて、親と交渉する』場面だ。しかし、それがレシオたちが知っている小さな生き物の場合であって、角が生えたでかい猫モドキには当てはまらない。
少なくとも、プロトコルでは。
"……世話出来るとかそんなレベルじゃねえだろ……。猫パンチで木箱吹っ飛ばす力だぞ!? 危険すぎるにもほどがあるだろ……"
レシオが二人の会話を聞きながら突っ込んだ。
そうこうしているうちに、ユニとファズの問答が終わった。どうやら、両親に許可をもらえればOKということになったらしい。
それもどうなのかと思うのだが、レシオはそれ以上考えることを止めた。魔界には魔界の常識がある。人間の常識に当てはめてはいけない。
ユニの視線が、ファズからレシオたちに移動し、少女の表情が客人をもてなす柔らかい表情へと変わった。
「それはそうと、プロトコルからのお客様方」
"しまった……。この子にばれていたのを忘れていた……"
彼女の表情とは正反対に、兄妹の表情が硬くなる。レシオは心の中で舌打ちをした。
魔族は魔法を使う事が出来るらしい。先ほどの声、そして猫モドキが眠りこけた現象を見る限り、少女が魔法を使ったのは明らかだ。今自分たちに魔法を掛けられたら、一発で全滅してしまう。一難去ってまた一難な展開にレシオは唇をかんだ。魔法をかける前に、相手の動きを封じるべきか、あらゆる検証を頭の中で行う。
しかし、
「あらあら、そんなに怖いお顔をなさらないでくださいませ。レシオアーク・エルザ様、そしてティンバー・エルザ様」
見知らぬ少女の口から出るはずのない名に、二人は驚愕の表情を浮かべた。彼らの反応が面白かったのか、ユニが小さく噴き出す。
「ふふ、お二人がお越しになることは聞いておりましたので。ただお顔が分からなかったため、遅れてのお迎えとなり大変申し訳ございません」
ユニは申し訳なさそうに頭を下げた。元々二人を客人としてもてなす予定だったらしい。しかし二人にとって大切なのはユニの謝罪ではなく、彼らがここに来ると言う事を事前に知っていたという事実だ。
「……俺たちが来るのが分かっていたって……どういう事だ?」
相手の心を探るような鋭い視線を向けながら、レシオが尋ねる。しかしユニは彼の視線に全く動じず、微笑を浮かべたまま返答をした。
「エルザ王より、ご連絡を頂いておりました。お二人が、ミディ様をお迎えにやってくると」
「親父が!? どういう事だよっ!! てかミディ様って……、伯母さん生きてるのか!?」
「あの……、もしかしてお二人は、ミディ様の事を何も聞かされずにこちらにお越しになられたのでしょうか?」
レシオの慌てっぷりに、ユニは困惑している。話が通じなくて困っているのだろう。しかしあの方らしいと小さく呟くと、一つため息をついて説明をした。
「ミディ様は、魔王ジェネラル様とご結婚なされ、魔王妃となられたのですよ」
「……魔王と結婚?」
言葉の意味を理解しようと、レシオはユニの発言の一部を反復した。しかし理解するどころか、大量の疑問が沸き出て処理が追いつかない。
その時、ユニのスカートの影からファズが顔を出した。大きな瞳をキラキラさせて、2人の会話に入って来た。
「ミディ伯母さんって……、お母様の事? ユニとお兄ちゃんは、 お母様の話してるの?」
「……おっ、お母様? ってことは、この小っちゃいのは……」
ファズを指さし、震える声でレシオが呟く。
ユニはご名答とばかりに、レシオの疑問に答えを示した。
「はい、ジェネラル様の御令息ファズ様です。お二人とは、いとこというご関係になりますわ」
「……マジ……か」
自分に魔族の親戚がいた。その事実に、レシオは眩暈がしそうになった。
つい先日まで魔界や魔族などの存在は話の中、そして約20年前の過去の事でしかなかった。どっちみち、自分には関係のない世界の話だと思っていた。
それがまさか自分の伯母が魔王と結婚しており、魔族のいとこがいるなど誰が想像できただろう。いや出来ない。
眩暈を覚えつつも何とか自分を保つレシオとは正反対に、ティンバーは狂喜のあまり小躍りしている。
「こんな可愛い子がいとこなんて、素敵過ぎるのですっ! さっそくエルザ王国にお持ち帰りするのですっ!」
「おっ、おやめくださいませ、ティンバー様!」
「嫌なのですっ! もっとお姉ちゃんって言って貰いたいのですっ!」
「私も同じような理由で5回ほどお持ち帰りしてみましたが、後ほどものすごくミディ様に怒られましたので、止めたほうがよろしいですわ!」
「って、あんたも持ち帰ってんのかいっ!!」
レシオは思いっきり突っ込んだ。
めちゃくちゃ怒られると知っても、5回も持ち帰っているのだ。物凄い執念というか、馬鹿というか……、いや両方だろう。
しかしユニの言葉は、意外にもティンバーに効果的だった。憧れのお姫様から怒られると聞き、お持ち帰りは諦めたのだろう。そして魔王と伯母の関係を思い出すと、少し表情を暗くして俯いた。
「ミディ様……、自分を攫った魔王と結婚したなんて……、なんだか可哀想なのです」
どうやら、無理やり攫われ結婚させられたと思い、気の毒に思っているらしい。その言葉に、ユニは慌てて両手を振って訂正をした。魔族たちの誇りである魔王に、誤解を持って欲しくないようだ。
「いえいえ、そんなことございませんわ! お二人とも納得した上でのご結婚ですし。そもそも『魔王を倒した勇者と結婚したい』と言って、自分を攫ってくれと魔界に乗り込んできたのは、ミディ様なのですよ?」
「……誰だよ……、そんな馬鹿な事を考えた奴は……」
「あなた様の伯母様ですわ」
「……分かってる……、言われなくても分かってるさ……。その血が、少しでもこの身体に流れているかと思うと、辛すぎんだろ……」
ユニの悪意のない指摘に、レシオはとうとう膝から崩れ落ちてしまった。四つん這いになり、敷き詰められた石の床を呆然と見つめ、ブツブツ言っている。
落ち込む兄に変わり、ティンバーが父と伯母のことを尋ねた。
「さっき、エルザ王から連絡があったって仰ってましたが、お父様はミディ様のことをご存知だったのですね?」
彼女の問いに、もちろんと首を縦に振るユニ。
「ええ、そうです。ミディ様の結婚式にも、ご出席されてましたし」
「……あのクソ親父。帰ったら……、血祭りだ」
父に追い出された際の会話を思い出し、レシオは憎々しげに呟いた。彼の脳裏に、めちゃくちゃ嬉しそうににやにやしているだろう父親の姿が浮かび上がる。
いつもなら父を庇うティンバーも、この時ばかりは兄の発言を止めなかった。多少なりとも、彼女も父親に怒りを感じているらしい。
少し気の毒そうにユニが二人を見た。
「あなた様のお父様には、人をからかって楽しむところございますからね。まあこれで、私がお二人に危害を加える理由がないことがお分かりいただけたかと思います。ミディ様のご親戚ですもの。魔族を代表して歓迎いたしますわ」
そう言ってユニはにっこりと笑って、出入り口の方に視線を向けた。
「ね? ハル様」
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