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第二話(四)
しおりを挟む「春菜! あ、秋葉っ!?」
両親が慌てて娘たちのもとへ駆け寄る。双子はしっかりと手を繋いで、横たわっていた。
春菜はぼんやりと目を開けて、ゆっくりと上半身を起こす。
一方、秋葉は倒れた状態で瞳を閉じたままだった。
「わ……わたしは……。熱いっ……!」
春菜は額に熱を感じて手を触れる。そこだけ沸騰しているような、強烈な熱さだった。
「は……春菜……。その御印は……!?」
「え……?」
夏純も冬子も、信じられない光景に腰を抜かした。
かつて秋葉の額にあった龍神の花嫁の御印は、そっくりそのまま春菜の額に宿っていたのだ。
そして、意識を失い横たわっている秋葉の額には、もう何の痕跡も残っていなかった。
それどころか、彼女の体内からは一滴の霊力も感じられない。
秋葉と春菜の力は、反転してしまった。
しかも、秋葉は空っぽになって。
その後は、双子を取り巻く環境はすっかり変わってしまった。
龍神の御印が出たことによって、春菜は神の花嫁になった。
そして、なんの霊力も残っていない秋葉は、当然皇族と縁続きになれるはずもなく――……。
「きゃっ!」
秋葉は父から離れの納屋に乱暴に投げ込まれた。
「この穀潰しが。生かしてもらえるだけ有り難く思え」
見上げると、これまでに見たこともなかった父の冷ややかな視線。その後ろには同じ目をした母と、うっすらと笑みを漏らしている妹の姿があった。
その日から、秋葉だけが四ツ折家の家族ではなくなった。
◆
それから五年。
今日は双子が十七歳になる誕生の日だった。
即ち、龍神様のもとへ嫁入りに行く日だ。
秋葉ではなく――御印を持つ春菜が。
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