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第十話 交渉(一)
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四ツ折の里の龍泉は日に日に弱まっていく一方だった。
それに比例して、夏純の霊力も衰えていくのを感じる。しばらくは誤魔化せていたが、ついに致命的な出来事が起こってしまった。
「当主様、大変です!」
血相を変えた家令が、声掛けもせずに主人の書斎へ飛び込んで来る。
「どうした? 騒がしい」
「結界を破って入ってきた鬼の妖が暴れております!」
「何だと!?」
家令とともに夏純が駆け付けると、井戸の側で八尺以上もある赤鬼が、若い娘の髪を掴んで引きずっているところだった。
周囲には数名の霊力者たちがいるが、まるで歯が立たないらしい。中には傷を負って横たわっている者もいた。
夏純はその赤鬼をざっと見て能力を測る。なるほど、たしかに立派な体躯だが、妖力自体は大したことはなさそうだ。あの者たちは、なぜこんなにも苦戦しているのだろうか。
夏純は眼前に手早く魔法陣を描き、霊気の衝撃波を赤鬼に撃った。青白い光を放ちながら一直線にぶつかり、一気に爆ぜる。白煙と、焦げ付いた匂いが広がった。
これは確実に仕留めたなと確信して彼が鬼へ近付くと、
――ドン!
まだ晴れていない視界から赤く太い腕が勢いよく飛び出してきて、彼の鳩尾にのめり込んだ。
「がはっ……!」
人間離れの物凄い腕力に彼は吹き飛ばされ、一度弾んでから地面に転がった。
「……」
「……」
当主の無様な姿に、家令たちは大きく目を見開いて息を止めた。主が敗北する様を目撃することになるなど、到底信じられなかったのだ。
それに比例して、夏純の霊力も衰えていくのを感じる。しばらくは誤魔化せていたが、ついに致命的な出来事が起こってしまった。
「当主様、大変です!」
血相を変えた家令が、声掛けもせずに主人の書斎へ飛び込んで来る。
「どうした? 騒がしい」
「結界を破って入ってきた鬼の妖が暴れております!」
「何だと!?」
家令とともに夏純が駆け付けると、井戸の側で八尺以上もある赤鬼が、若い娘の髪を掴んで引きずっているところだった。
周囲には数名の霊力者たちがいるが、まるで歯が立たないらしい。中には傷を負って横たわっている者もいた。
夏純はその赤鬼をざっと見て能力を測る。なるほど、たしかに立派な体躯だが、妖力自体は大したことはなさそうだ。あの者たちは、なぜこんなにも苦戦しているのだろうか。
夏純は眼前に手早く魔法陣を描き、霊気の衝撃波を赤鬼に撃った。青白い光を放ちながら一直線にぶつかり、一気に爆ぜる。白煙と、焦げ付いた匂いが広がった。
これは確実に仕留めたなと確信して彼が鬼へ近付くと、
――ドン!
まだ晴れていない視界から赤く太い腕が勢いよく飛び出してきて、彼の鳩尾にのめり込んだ。
「がはっ……!」
人間離れの物凄い腕力に彼は吹き飛ばされ、一度弾んでから地面に転がった。
「……」
「……」
当主の無様な姿に、家令たちは大きく目を見開いて息を止めた。主が敗北する様を目撃することになるなど、到底信じられなかったのだ。
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