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第十一話(七)
しおりを挟む「兄上」
そのとき、彼の頭上から聞き覚えのある声が聞こえた。
「お前は……夏樹……!」
顔を上げると、そこには過去に強引に家門から追放した弟がいた。
夏樹は少し寂しそうな顔をして、諭すように言う。
「もう、止めましょう。我々の霊力は、世のために奉仕するものです。決して私利私欲に利用してはなりません」
「うるさいっ! 力のある者が支配してなにが悪い!?」
夏純は憎々しげに弟を睨み付けた。腸が煮えくり返って、体内の血ががますます沸騰していた。
今回の件は、きっと弟が仕組んだに違いない。兄から当主の座を奪おうと、卑劣な手を使ったのだ。
夏樹は変わらぬ兄を見て、失望したように首を横に振った。
「これまでお疲れ様でした。これからは僕が四ツ折の里を守りますので、ご安心して引退してください」
「なんだと……!?」
「俺が頼んだんだよ。やっぱ、手前の力は信頼できる奴に任せたいからなー」と黒龍。
「兄上、僕の幼い頃の夢は、貴方と一緒にこの地を守護することでした。……もう、それは叶うことはありませんが、里のために精一杯やらせていただきます」
「は………………」
目の前が真っ黒になる。
これが、四ツ折夏純の命が終わった瞬間だった。
霊力者としての、生命が。
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