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第十二話(五)
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「――と、いうわけなのです」
秋葉に詰め寄られて、瑞雪は半ば自棄っぱちに洗いざらい喋った。
どうせいつかは花嫁も知ることとなるのだ。それが早いか遅いかだかだ。
もしかしたら、あとで狐宵あたりに叱られるかもしれないが、箝口令を敷かないほうがが悪い。即ち、私は悪くない。
「つまりは……」
秋葉は目を伏せて、黙り込んだ。さっきまでの勢いはなく、どこか落ち込んでいるようにも見える。
「アキ、どうしたの? どこか痛いの?」
白銀もそれを察したのか、慰めるように首に巻き付いて頭で頬を突いた。彼女は彼の小さな頭をそっと撫でる。
「ううん、大丈夫。ただ……霊力のない私は、憂夜にとって、物凄く足手まといなんじゃないかって思って……」
「そんなことないと思うけどなぁ。黒龍様はいつも楽しそうにしてるし」
「でも、その間も私の身体を保護するために神力を調整してるんでしょ……」
秋葉は言葉を閉ざして、再び視線を下に落とした。鉛のような重たい空気が、肩にどっしりとのしかかってくる。沈黙が瑞雪の胸を圧迫しそうだった。
(ううぅ……気まずい)
瑞雪は秋葉に喋ったことをすぐに後悔した。責任感の強い娘だ、絶対に己を責めるだろうとは思った。
(はぁ……。こういうしんみりした空気って苦手なんだよなぁ……)
雪女と呼ばれる妖である彼女は、昔は雪国に住んでいた。そこは太陽の光が届かなくて、身体の芯から凍えるような場所だった。
雪の妖怪なので寒さは平気なのだが、あの気候のせいか、仲間の雪女や雪男たちは性格まで暗い者ばかりだった。
瑞雪が「へいへい! ようよう!」と明るく声を掛けても、静かに頭を下げて挨拶を返すだけ。
みんなほとんど喋らないし、なに考えているか分からないし、ちょーーーー暗い!
そんな雰囲気に耐えられなくて里を出た。
最初は南を目指した。そこの妖怪たちは陽気で一緒にいて楽しかったが、南の国は雪国出身の彼女には暑すぎた。
そうして各地を転々として、黒龍のもとに辿り着いたのだ。
彼は闇を司る神だけあって、少しひんやりとしていて居心地がいい。周囲には根暗な者もいなくて、どんちゃん騒ぎができて楽しい場所だった。
……狐宵はちょっと陰湿なところがあるが。
霊力のない花嫁がやって来たときは度肝を抜かれたが、秋葉の快活さや負けん気の強いところが気に入った。
たまの泣き言は仕方ないとは思うが、この問題は長引きそうな予感がするのだ。
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