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第十七話(三)
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姉は、もっともっと素晴らしい場所に行くのだと思うと、腸が煮え繰り返そうだった。
神は、この世の全ての種族の中で最上位の存在だ。彼らの住まう場所は、人間の世界などとは比べ物にならないくらい美しく荘厳な場所だという。
きっと皇都の街並みよりも立派で、人間界のものは望めば全て手に入って、とても優雅な暮らしが待ち受けているのだろう。
それを享受するのが、姉だけなのだ。
じゃあ、わたしは……?
天上の世界に住む姉に見下される下界で、一生暮らすわけ?
たとえ皇国の『皇后』になったとしても、『龍神の花嫁』より遥か下の存在じゃない!
そんなことを考えていると知恵熱が出て、一週間寝込んでしまった。かなりの高熱で、一時は生死に関わったらしい。
寝込んでいる自分のことを、姉は大層懸命に介抱したようだ。
特に命が危ぶまれた数日間は、一睡もせず、ほとんど飲み食いもせずに、ぬるくなった手ぬぐいをひたすら交換したり、水を飲ませたり。それはもう甲斐甲斐しく世話をしていたらしい。
ぼんやりと、その時の記憶がある。確か姉は耳元で「頑張れ」だの「負けないで」だの叫んでいて、うざったいと感じていた気がする。
本当に、屈辱だった。
生意気な姉。
あのときは怒り心頭に発して、頭の中がぐちゃぐちゃになった。
この姉は、どこまでも妹を見下しているのだ。
自分の点数稼ぎに看病なんかして。本当は弱い妹を、心の底から馬鹿にしているくせに。
すぐにでも姉を絞め殺したいと思ったが、高熱の身で動くことができず、激しい怒りと憎悪だけが体内に積み重なっていった。
そのとき。
自分の口の中に、何か黒い霧のようなものが入っていく感覚を覚えた。
それから、わたしは新たな『力』を手に入れたのだ。
その後は全てが上手くいきはじめた。その力が、欲するままに誘導してくれる。
かなり痛みを伴ったが、瀕死の状態になった自分に姉が霊力を送り込むのに乗じて、全てを奪ってやった。
自分の霊気が盗まれている最中なのに、必死の形相で妹を助けようとする姉の偽善的な姿がおかしくて思わず笑いそうになった。
力を失った姉は無力で、脆弱だった。
わたしはこれまで受けた汚辱への仕返しを姉にしてやった。使用人にまで蔑まれている様子は、ひどく滑稽で笑いが止まらなかった。
でも。
あの女は、あろうことか自分と同じ『龍神の花嫁』になった。
なんの力もないくせに。
身の程知らずの女なんか――潰してやる。
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