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「シャルロッテ、君のためにも婚約は続けたほうがいい」
帰りの馬車の中、ハインリヒは悪びれる様子もなく平然と言い放った。
シャルロッテは思わず息を止めて、目を見張る。そして信じられないと言うように彼の顔を見た。
「最初に言っておくけど、彼女とは遊びの関係で、僕の本命は君だけだ」と、彼はにこりと微笑む。
「……」
彼女はなんと答えれば良いか分からなかった。まだ、さっきの二人の様子が頭の中に鮮明に動いていて、目眩がしてきた。
だが、彼は彼女の沈黙を肯定と捉えたのか、一方的に話を続ける。
「僕はあんな頭の悪い尻軽女なんて相手にしないよ。だから、安心して?」
「……」
シャルロッテは返事をしない。
しばらく沈黙が続いて、ハインリヒはうんざりしたように深く息を吐いた。
「婚約の継続は、君のためを思って言っているんだよ? 婚約者に捨てられた令嬢なんて、家門の恥だ。君は修道院送りか、老貴族の後妻になるしかない。そんなの、嫌だろう?」
その瞬間、シャルロッテのもやついた頭の中が、急に冴える感覚がした。
(何を言っているの、この人は……)
再び、眼前の婚約者の顔を見やる。
そこには、素晴らしい殿方の姿はなく、ただ顔だけの良い軽薄な男がだらしなく座っていた。
彼女は、やっと気付いたのだ。
(ハインリヒ様の『君のため』は、本当は『自分のため』だったのね)
ならば。
(わたくしも、もう『自分のため』に生きていいわよね……?)
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※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
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ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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