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第4章 ― 剣の精霊
しおりを挟む空気にはまだ静寂が漂っていた。
ヘイタンは頭を下げ、拳を固く握った。
「これが…失敗だ。」
遠くから見守っていた、かつての英雄の仲間の一人が口を開いた。
「じゃあ…これからどうなるんだ?」
魔法使いは深く息を吸った。
「分からないの。血筋を持つ後継者を剣が拒む場合の記録は、どこにも残っていないわ…」
その時、突然柔らかな光が空間を満たした。
儀式の中心から、透き通るような形が現れ、黄金色の光に包まれていた。
それは精霊だった。
その存在は荘厳でありながら、どこか温かさを感じさせるものだった。瞳は古の星のように輝き、唇を開くと、魂に届くような囁き声が響いた。
「私の名はイリス。この剣を古の時代に作りし者の一人です。」
場は完全な静寂に包まれた。空気さえも、敬意に震えているかのようだった。
イリスはヘイタンに向き直り、穏やかな微笑みを浮かべながらそっと彼の顔を撫でた。
「あなたは立派な青年ね。でも悲しまないで…運命はあなたにその道を与えなかったのです。」
ヘイタンは混乱しながら目を上げた。
「どういう意味ですか?」
「世界は…あなたに別の道を望んでいるのです。」
イリスは答えた。
「あなたの使命は、兄のように剣を振るうことではありません。あなたの使命は、新たな剣の持ち主を見つけること。倒れた英雄に匹敵するにふさわしい者を。」
その言葉は雷のようにヘイタンの胸を打った。
「僕…新しい持ち主を見つけなければならないのですか?」
「そうです。」
イリスは微笑んだ。
「旅立ちなさい。世界はすでにあなたの道を描いています。」
ヘイタンは深く息を吸い、心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
そして精霊の前にひざまずき、頭を下げて敬意を表した。
「これが運命の望みなら…受け入れます。必要なことは何でもやります。」
イリスは光の手を彼の頭に置いた。
「あなたの兄は誇りに思うでしょう。彼は名誉と尊敬をもって死に、今は安らかな場所に眠っています。」
最後に、その声は祝福のように響いた。
「この旅で幸せになりなさい、ヘイタン。世界があなたを待っています。」
そう告げると、イリスの光は徐々に消え、眠る剣だけが柔らかい光を残した。
ヘイタンは目を閉じた。
兄の死以来初めて、彼はただの重荷ではなく、使命を背負っているのだと感じた。
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