兄はポータルで消え、白髪の不思議な少女だけが僕を助けられる

MayonakaTsuki

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第23章 — ヘイターの決意

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エルの言葉がまだ空気に残っているうちに、ヘイターは膝から力が抜けるのを感じた。彼は木の椅子に身を落とし、肘を膝に置き、両手で頭を抱え込んだ。呼吸は荒く、世界そのものが背負う重荷には狭すぎるように感じられた。
――生きている……。
彼は心の中で繰り返しつぶやき、その事実にすがりつこうとした。まるで大海原のただ一枚の板に掴まるように。

エルは慎重な足取りで近づき、後ろからそっと抱きしめると、静かな声で沈黙を破った。
「あなたのお兄さんが生きている限り、まだ希望はあるわ。希望があるなら、必ず道は開ける。」

その言葉は深く彼の胸に届いた。ヘイターは目を閉じ、一瞬、痛みと共に不思議な力が再び心の奥に芽生えるのを感じた。長く息を吐き、顔を上げてエルを見つめる。
「決めた。」自分でも驚くほど強い声だった。「あの街へ行く。そして、兄を救う。」

エルはわずかに微笑み、その瞳にも同じ決意が映っていた。
「なら、あなたは一人じゃない。私も手を貸すわ。」

ヘイターは彼女の手を取り、心からの感謝を込めて言った。
「ありがとう……本当に。」

張り詰めた空気を和らげたのは、食器を並べる音だった。エルの兄ディラズが食事を運んできたのだ。
「重い話はもういいだろう。」彼は控えめに微笑もうとした。「長旅で疲れているはずだ。せめて落ち着いて昼食をとってくれ。」

ヘイターはうなずき、その心遣いを受け入れた。食卓に座ることで、ほんのしばらく責任の重さを忘れることが許された気がした。ディラズの用意した食事は質素だったが、体も心も温めてくれるものだった。

それからの日々は、休息の時間、暖炉を囲む会話、そして軽い訓練で彩られた。ヘイターとディラズの間には、彼の内気さを超えて少しずつ友情が芽生えていった。

やがて出発の日が訪れた。
小屋の前で、ヘイターは別れを告げた。
「本当にありがとう。もてなしも、食事も……そして俺を信じてくれたことも。」

ディラズは眼鏡を直し、感情を隠そうとした。
「君が兄さんを救えることを願っている。そして、いつかまた家に戻れる日が来るように。」

エルはリュックを背負ったまま、兄を強く抱きしめた。
「ありがとう、兄さん。元気でね。」

別れを済ませ、ヘイターとエルは再び歩き出した。目の前の道は果てしなく思えたが、ヘイターの心にはもう迷いはなかった。

彼には目的がある。
必ずヘルメスにたどり着くために。
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