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第6章 – 跳躍と沈黙の約束
しおりを挟む時間が飛ぶように過ぎていった。
川でミイとふざけ合いながら遊んでいると、冷たい水、彼女の笑い声、水しぶきの音がすべて混ざり合い――忘れられない思い出として刻まれていくのがわかった。
「ハル!」
ミイが呼び、近くの大きな岩を指さす。
「一緒に来て。見せたいものがあるの!」
岩の上まで行き、縁に立った瞬間、ゴクリと唾を飲み込む。
想像以上の高さだった。
「冗談だろ…」思わず一歩後ずさる。
ミイは笑顔で手を差し伸べてきた。
「怖がらないで。私が一緒に飛んであげる。」
その瞳を見つめた。なぜか、不思議と恐怖が一瞬だけ消えていく。
俺は彼女の手をしっかり握った。
「準備はいい?」
「い、いや…まだ…」
「じゃあ行くわよ!」
返事をする暇もなく、ミイは飛び出し、俺も引っ張られるように空へ――。
風が頬を切り裂く。心臓が爆発しそうに跳ね上がる。
そして次の瞬間、水の中へ全身が飲み込まれた。
川の中は、完全な静寂。
冷たさも、飛び込んだ衝撃も、全てが生の鼓動として伝わる。
恐ろしい体験だったはずなのに――同時に、これまでで最も素晴らしい瞬間でもあった。
水面に浮かび上がると、二人で声をあげて笑った。
再び岩を登り、砂浜の自分たちの場所へ戻る。
「お昼にしよ?」
濡れた髪を整えながら、ミイが言った。
「お、お昼? でも俺、何も持ってきてないぞ…」
「大丈夫。いっぱい持ってきたから。」
差し出された皿には、白いご飯とストロガノフ。
香りが鼻をくすぐり、腹が鳴る。
「こんなの…受け取れないよ…」
「受け取りなさい。さあ、食べて。」
断れるはずもなく、フォークを取り、ひと口。
その味に驚き、咀嚼の手が止まる。
「こ、これは…すごい。お前が作ったのか?」
「ご飯は私。ストロガノフはお母さん。」
胸を張るミイ。
箸が止まらない。食べるたび、もっと美味しく感じる。
「最高だ…本当に美味しい。ありがとう、ミイ。」
俺の言葉に、彼女はただ優しい笑みを浮かべ、嬉しそうに見つめていた。
昼食を終え、荷物をまとめて帰り道へ。
だが、遊泳客のいるエリアに近づいたとき、数人の若者たちがこちらへ歩み寄ってきた。
ミイが軽く一人にぶつかる。
「すみません…」と小さく呟いたが、彼らは引き下がらない。
「へぇ、かわいいじゃん。」
一人がにやけながら言う。
「なぁ、ちょっと俺たちと遊ばない?」
伸びてきた手がミイの腕を掴もうとした瞬間――俺の体は勝手に動いていた。
その手を叩き落とす。
「誰の許可で彼女に触ってるんだ!」
思っていた以上に強い声が出た。
男たちは一瞬黙り込み――やがて肩をすくめた。
「残念だな。彼氏持ちか。行こうぜ。」
笑いながら立ち去っていく彼ら。
俺はまだ緊張で体を固めていたが、視線を感じて振り返ると、ミイが小さく笑っていた。
「ハル…今の、とってもカッコよかったよ。」
顔が一気に熱くなる。怒りか恥ずかしさか――心臓が速く打ち続ける。
ミイはバイクにまたがり、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「さぁ、行こうか?」
深く息を吐き、俺も後ろに乗り込む。彼女の背中にしがみついた。
風が強く顔を打つ。
だが心の奥で気づいていた。
ミイはいつもと違っていた。
言葉にはしない。だが伝わる。
――彼女の心臓も、俺と同じように速く打っているのだと。
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