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ずっと見てたんだ

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 「・・・・・・ひっ、いぃっっ、いいいぃぃっっーーー!!!」
 必死に歯を食い縛っても、引っ切り無しに口から声が漏れでる。
 ぐちゅぐちゅという聞くに堪えない水音が辺りに響いてもう俺はどうにかなってしまいそうだった。そんな俺の心中を知ってか知らずか、渋谷は全くペースを落とさずに俺の肉孔に指を差し入れては抜き、差し入れては中でぐにゅぐにゅと回転させ、捏ね回して掘り進める。

 「悶えるねえ~、大前君」
 笑いながら渋谷は二本の指を俺の中でバラバラに動かす。その感覚に翻弄され、俺はベッドに投げ出した身体をビクつかせる。さほど時間をかけてもないのに、俺の肉孔はとろとろと柔らかくなり、渋谷の指を全く抵抗なく飲み込むほどになっていた。

 百戦錬磨なんて、と渋谷が自分で茶化していたのは一時間ほど前だったか。とんでもない。これまで彼がどんな相手とどんな風に致してきたのかは分からないが、なんだこの手腕は。そっちの世界の基準なんて分からないけど、これは上手いなんてもんじゃないのではなかろうか。少なくともただの小悪魔男子とか、そんなレベルではない。
 いいからいいから、と口車と笑顔に乗せられた俺はするすると全裸にされ、有無を言わさず(「じゃ、さっそく解すけど座っとく?寝る?どっち?え、嫌って、何言ってんの。まあいいやじゃあ寝て。はいどーん、へへへ~、大前君が丸見え~」)備え付けのローションを垂らされ、何から文句をつけていいのか分からないでいるうちに、ずぶりと尻穴に指を突っ込まれた。

 何の心の準備もさせてくれないその行為に、「うぐぅっ・・・・・・」と声を詰まらせるが渋谷はあくまで爽やかに、そして軽やかに前戯を開始する。ぬちゃぬちゃと俺の体内を弄ぶ指は、性急ではあったが丁寧で的確だった。余裕ぶっこいているだけある。そして、いとも簡単に腰を砕けさせられた。
 「そんなになってくれて嬉しいけど~、へーき?まだまだこの先があるんだけど。頭トんじゃわないかな?」
 ぐちゅりぐちゅりという音の度に、過剰分のローションが俺の肉孔から溢れ出る。
 初めての感触、初めての快感。淫猥極まりないそれらを、全てこの女子にも引けをとらないほど可愛らしい男が与えてくるのだ。俺の頭は訳のわからなさにパンクしかけていた。

 渋谷は上機嫌で前準備を終え、「大前君初めてだからバックがいいかなあ・・・・・・?うーん、・・・・・・いや、やっぱり前からがいいな。顔見たいし。ごめん大前君、ちょっと脚上げて」と無理矢理俺の両脚を大きく開かせその間に割り込む。
 なすすべもなく渋谷の手のままに身体を開かれる。自分でもしっかりと見たことのない場所が、渋谷の眼下に全て全て晒されるのを阻止することができない。
 「ん~、いいねえいいねえ。俺も実はちょっと大前君の裸とか想像しちゃっててさ、・・・・・・あんまり頭の中でハードル上げすぎると実際見たときがっかりしたりするかな~とか思ってたけど、全然そんなことないね!大前君かっこいい!ナイス!」
 楽しそうにしゃべりながら、俺の隠しておきたい場所をそんなにじっくりと見ないでほしい。
 「あれっ?また勃ってきちゃったよ?ふふふ~、さては俺の可愛さにムラムラが止まんなくなっちゃったな?」
 「・・・・・・うっ、うぅう、・・・・・・うううう~!」
 一言一句彼の言うとおりすぎて、俺は恥ずかしさに悶絶することしかできなかった。

 なのに、渋谷はゴソゴソとゴム製の避妊具を開封しはじめる。
 「・・・・・・っ、ひ、ま、待ってっ!しっ、しぶ、やぁっ・・・・・・」
 熱に浮かされたようになって口も満足に回らない。必死に静止を訴えても、渋谷は笑顔でかわすばかりだ。
 「ん~?・・・・・・待つわけないじゃ~ん。だ~いじょうぶだいじょうぶ!そんな心配そうな顔しなくても、怪我だけはしないように気をつけるから!」

 ああ・・・・・・。
 抱かれる、抱かれるっ・・・・・・!
 俺はよほど顔面蒼白になっていたのか。渋谷が少し真顔になった。
 「・・・・・・そーんなに緊張することなくない?」
 そこで張り詰めた糸がふっと緩んだ気がした。が、今度は込み上げた気持ちが涙となって流れないように必死にならなればいけなかった。しゃくりあげそうになる声を必死に抑える。
 「・・・・・・ひっ、お、お前がっ、・・・・・・ガツガツするからだぁっ!ば、ばかっ・・・・・・」
 漏らした抗議の気持ちを、渋谷は神妙な顔で聞いているようだった。やがてぽつりと呟く。
 「・・・・・・大前君」
 「な、なんだよ・・・・・・」
 「えい」

 ズルリと彼の股間から、渋谷自身が取り出された。それを片手に持ち、俺に向けてゆらゆらと見せ付けてくる。
 「ほ~れ、ちんぽちんぽ~」
 口調は完全にふざけて悪ノリするあほな男子だ。多分この状況を和らげようと思っての行動なのだろう。しかし。
 「・・・・・・!!!ひっ、いいい!?」 
 結果的にまずかった。
 亀頭がガッツリ露出した、見るものを一瞬たじろがせるフォルム。さらにそれは黒く光り、使い込まれてきたことがはっきりと見て取れる仕上がりとなっていた。
 そんなものがゆるふわを体現したような渋谷についているという衝撃・・・・・・。
頭を思い切りぶん殴られたみたいだ。俺はもう言葉が出ずに、はくはくと口元をわななかせた。
 
 「おっ?・・・・・・ぎゃ、逆効果だった?」
 そんな俺を、最初は戸惑い気味に見ていた渋谷だったが・・・・・・。
 「・・・・・・あ~。わり、大前君」
 ぎらりと目の色を変えた。
 「その顔、やば・・・・・・。ちょっと、・・・・・・一回だけ、一回だけヤらせて?ね?」
 「えっ?ええ!?」
 俺の両脚を無理矢理ぐいっと持ち上げ開かせて、自分の腰を密着させてくる。抵抗しなければと思うのだが、不思議なことに俺の太ももに触れるその手の熱が何とも馴染む。まるで思考が渋谷と溶け合ったみたいだ。欲情を昂ぶらせる渋谷と、意識が同調してしまったみたいに。
 向こうは抱く側、俺は抱かれる側。そう植えつけられ、頭がポーっとなる。

 とはいえ、入るのか。あんなもんが・・・・・・と一瞬逡巡したものの、答えが出る前にもう素早くゴムを装着した渋谷の先端が俺の入り口に宛がわれていた。されるがままの俺の、むき出しの部分に触れたものがとんでもなく熱くて、びくりと身体が震える。

 だ、大丈夫大丈夫・・・・・・。幸い大きさは俺と大して変わらない・・・・・・と、思う。俺についてるのと同じ大きさなんだから俺の中に入ってもさほど問題はない、ない、ない・・・・・・。
 自分を騙そうと必死の俺に、渋谷は笑う。
 「へへへ、こーんなおっきい人いただいちゃうの初めて。・・・・・・いくねっ、うりゃーっ!」

 そのまま、ずぶぶぶぶぶ、と、一気にめり込んでくる。
 「ぅ、うあああぁああ、・・・・・・あっ、あああー!!!」
 しっかりと解された後だったので痛みはほとんどなかったが、それでも自分の中を雄に犯されるという未知の感覚に、俺は背中を仰け反らせた。
広げられている。自分の身体の中が、・・・・・・押し広げられている・・・・・・!

 「・・・・・・ぁ、ぐ、・・・・・・は、はいっ、・・・・・・てえぇぇ」
 「大丈夫?大前君ちゃんと息してるっ?・・・・・・おー、でもすごいすごい、するする入ってくね!っ、ぅ、もーちょっと力抜いて・・・・・・、そうそう!・・・・・・すごいじゃーん大前君!初めてとは思えない!」
 渋谷は興奮した面持ちで、みちみちと俺の中に占める体積を増やしていく。内臓がせり上がってくるような感覚に視界がチカチカして、思考が吹っ飛びそうになっている俺に、渋谷の言葉が降ってきた。
 「でもさ、俺もなかなか上手いでしょ?上も下もまあそれなりにこなしてきたけど、全ては今日このときのためだったのかもー?・・・・・・なーんちゃってね、それじゃっ、動くねっ」
 「あ、ああう、あぁああ、・・・・・・しぶっ、しぶやぁ、ま、まっ、・・・・・・うぅがあぁっっ!!!!」
 言うやいなや、激しい抽迭が開始された。身体を溶かされそうなほど熱いものに内壁をずりずりと蹂躙され、もう何か言うどころではない。
 「・・・・・・っふ、ううっ、あっ、あっ、あっ、あんっ!あああぁぁん!!!」
 ぴっちりと密着しているそれが、俺の内部を彼の形に変えていく。二人の繋ぎ目はドクドクと脈打ち、火傷するのではないかと思うほどだ。押さえようと思っても勝手に出てくる喘ぎ声が、自分のものだとはとても受け入れられない。
 「・・・・・・へへっ、あっ、ああっ、ぅんっ大前っ、くんっ!!あああぁっ!」
 渋谷も俺には及ばないながらもかなりの喘ぎ声を上げる。薄暗い中でも分かるほどに、可憐な顔を歪ませていたが、それでもまだ足りないとばかりにあらん限りの欲を俺にぶつけてきていた。
 目を爛々と輝かせ、俺の全てを手に入れようとしているかのような顔。その顔を、今まで何人の人間に見せてきたのだろう。でも・・・・・・。

 俺より身体、一回りも小さいのに。ちょっと強引だったけど、その手つきは言葉通り優しい。こんな細い身体を全身使って、汗だくになりながら俺に奉仕してくれているのも伝わってくる。
 息を弾ませながら、渋谷が目を輝かせた。
 「へへ、・・・・・・大前君、どうですか~?処女喪失しちゃった今の気分は?ん~?」
 さっき一瞬いじましいと思った俺の気持ちを返せ、前言撤回してやるわ。
こいつやっぱ気にいらねーわ。

 「あれ?怒ったー?きゃーこわい大前くーん、・・・・・・きゃははっ」
 腰を振る渋谷の動きに合わせて、汗が弾け飛んだ。いつものこいつの軽口だ。いつも教室の真ん中で、友達に囲まれてワイワイやってる時と、全く同じ顔をしている。
 いつも俺が見ていることしかできなかった、あの顔。可愛くて可愛くて、守ってやりたくなってしまうような、あの顔。
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