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zakura

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7月19日 日曜日

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森の奥にある一件の家。

今日は朝から三人は集まっていた。

部屋の机にはたくさんのお酒の缶。

床には倒れるように寝ている灰色の髪の黒(こく)。

もう一人、机に顔をうっつぷして寝ている肩までの髪の女、灰(ぐれい)。

その向かいでパソコンを打っている黒髪の男、白(はく)。

部屋には扇風機の音とキーボードを叩く音。

白の方を見て灰は言う。

「まだ、やってんの?」

白は起きていたのかと驚いたようにして、言葉を紡いだ。

「終わらなくて、、」

「昨日終わらせたじゃん。」
 
正確には今日の朝方である。

白は困ったように言った。

「これは、明日までの。」

灰はため息をつく。

「また人のやつか。」

白はごまかすように言った。

「違うんだよ。これは、俺もやらなきゃいけなかったやつで……。」

「嘘つくなよー。」

床から顔をあげて黒も白を睨む。

白は困ったように笑った。

「白はギリギリになってする人じゃないでしょ。なにうちらをごまかそうとしてんのよ。」

黒も続く。

「そうだよ。白が真面目でなんでも後回しにしないってわかってるんだからー。」

「どうせ、頼まれたんでしょ?」

白はもうごまかせないと確信してうなずいた。

灰は舌打ちする。

「ったく、だから断れって言ってるよね?毎回。」

「苦しいのは自分だよ?断るのも人のためっていつもいってるじゃーん。」

「でも、、、同僚は子供いるから、休みの日仕事できないし、、、」

灰は指で机をとんとん叩きながら言う。

「あんたは、休みの日仕事できるの?」

「え?、、、できるけど、、」

灰は長いため息をつく。

そのあと白を真っ正面から見つめていった。

「子供がいる、いない関係ないの。

その人にはその人の仕事があって

その人のキャパに合わせてあるの。

その人が休みの日まで持ち込まなきゃできなかったのならそいつの力不足よ。

同僚が休みの日仕事しないなら、

あんたが仕事する必要はない。」

白は黙る。

「……」

灰も黙る。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

耐えきれなくなった灰が口を開いた。

「もう!!

私がこんだけいっても、どうせ頼まれたらするんでしょ!くそ!!

お人好しが!

ったく、断るってスキルを身に付けろよ!」

とぶつぶついいながら部屋を出ていく。

残された黒は白の方を見て言う。

「心配してるんだよ?俺も灰も。」

白は顔をくしゃっと歪めた。

「わかってる。」

黒は優しく言う。

「わかってるならいいんだよー。」

そういうと黒も外へ出ていった。

白は呟く。

「わかってる、、、わかってるよ。


……灰が羨ましいよ。」

その声は誰にも届かず消えていく。













五時のサイレンで目が覚める白。

時計を見て驚く。

今まで寝ていたようだ。

朝五時に帰ってきた体は限界だったようで二人が外に出てから作業をしていたら寝てしまったようだ。

白はあせる様子でパソコンを見る。

そこには、、、



『化粧品サンプル◯◯◯◯について』

『新商品開発案』

『次回雑誌◯◯原案』

終わらせなければならないパワーポイントや資料がすべて出来上がってデスクトップに入っていた。

やったのは二人しかいない。

外に出ていったのを思いだし、急いで外に出る。


外では二人がバーベキューをしていた。

白の慌てた様子を見て二人は笑う。

「なんつーかおしてんの白。」

「ふふっ。おもしろー。」

白はよろよろと二人に近づく。

昨日も今日も二人に助けてもらってばっかりの白はもう思いが溢れそうだった。

それを察した二人はぎょっとする。

慌て出す。

「ちょ、、ちょっと!なに泣きそうになってのよ!」

「なかないでよー、、お肉!お肉食べよ!」

白は涙をこぼす。

「きゃあああ!!泣かないでよ!!なんでなくのよ!」

「ちょっと!灰!トング網に置きっぱになってるからー!」

白は思わず笑い出す。

その様子を落ち着いた二人は見ている。

白は言った。

「ありがとう。」

灰はいつも通り嫌み付く。

「聞きあきたわ。」

「俺らもいつも助けられてるからねー白に。」

二人は白の肩を叩きながらバーベキューの網の前へとつれていく。

美味しそうなお肉を頬張る三人。





 



ところで、、

なぜ白のしなければならない資料やパワーポイントの内容がわかったのかっていうことは、今回は内緒。

誰も知らなくていいこと。

黒と目があった灰はにっこり笑った。

白の電話の発信履歴には会社の同僚の名前がずらりと並んでいることに白はまだ気づかない。


夕日が沈んでいく。

三人の夜はこれからだ。







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