VRMMOの最強魔眼士~視力極振りの最弱職~

A4si

文字の大きさ
23 / 23

22.リスポーン

しおりを挟む
 気がつくと目の前には見慣れた噴水があった。

 少しして、自分がリスポーン、すなわち一度死んで復活したことが分かった。

 ……納得いかない。

 なんで負けた?
 魔法が発動しなかったから。

 なんで?
 さっき確認したステータスのMPがゼロになっていたから。

 じゃあしょうがないんじゃ?
 今ふと思い出して懐を漁って出てきたのがMP回復ポーションだった。

 つまり、こいつのことさえ覚えていればまだ可能性はあったわけで。
 そこまで考えると後悔の念がドバっと押し寄せてきて、頭を両手で抱えながら天を仰ぐ。

「あー!悔しいー!!」

 ……やべ、声に出しちゃった。
 あーあ、道行く人にギョッとされちゃった……。
 まぁしょうがないか。悔しいのはホントだし。

 ……どうしよう、もう一度行こうかな……いや、やめておこう。
 たとえあそこから風魔法がもっと使えたからと言ってどうこう出来るような状況じゃなかった。
 今回の戦闘で思い知らされたのだ。自身の決定力の無さを。

 使ってみて分かった。
 風魔法はどちらかと言えばサポート寄りで、いざ攻撃に転じるとなると、チマチマしたものしか撃てない。
 つまり、俺はアイツを倒すために圧倒的な決定力を身につけなくてはならない。
 あのナマズを一発で仕留められるような強い攻撃を。

 ……と考えたのはいいのだが、生憎俺はそんな都合のいい攻撃方法を知らない。
 誰かから聞かなければ。

 身近な人を頭に浮かべていると、一人の人物に心当たりがあった。
 昨日の今日ではあったが、このゲームの中の知り合いでそういうことを知ってそうなのはあの風の魔導書を買った『精霊の智慧』の店主さんくらいである。
 店主さんも知らなければもうどうしようもないが、行かないことには何も分からないので、とりあえず行って聞いてから考えよう。

 ◇◇◇

「──で、無謀にも〈泥沼の主〉に風魔法だけで挑んでおめおめと逃げ帰って来た……と」
「うっ……おっしゃる通りでございます……」

 てかあのナマズ、泥沼の主って名前だったのか。
 なんか無駄にカッコいいな。強そう。
 ……いや、実際に強かったんだけども。

「あのねぇ……わたし君に風魔法は攻撃用じゃないよって教えた気がするんだけど」

 …………マジ?
 
「……すいません、聞いてませんでした」

 咄嗟に何らかの嘘を考えたが何も思い浮かばなかった。

「はぁー……〈泥沼の主〉を倒すんだったら、火魔法は必須。じゃないと回復されちゃうよ?」
「あぁー、あれ火魔法で防げるんですね!」

 滅茶苦茶いいことを聞いた。
 ただ、気がかりなのは……

「……ちなみに火魔法の魔導書って何円……違う、何ゴールドするんですか……?」
「7万」
「え゙ッ、風より2万も高いじゃないですか!?」
「それだけ有用性があるの。これでも友情割引してる」

 これで割引されてるって……マ?

「聞くのも怖いんすけど元って……」
「10万」
「ひぇっ……」

 風の倍じゃん……。

「……まぁ、ちょっと頼みたいことがあるから、それを引き受けてくれたら魔導書、あげなくもないけど……」

 ……え、神か?

「お願いします引き受けさせてください店主様」
「うわ、急に積極的になるな……今の貴方だと結構危険だよ?」
「えっ……死なない程度にお願いします」
「それは知らない。自己責任で受けて」
「うっ、当たりキツい……とりあえず、どんなことをすればいいんですか?」
「門を出てすぐの森にいるトレントを狩って来て欲しい。そいつの落とす〈トレントの木片〉が欲しい。十匹くらい倒せば十分かな」
「なるほど……分かりました。受けます」
「ん、じゃあ頼んだ」

『〈親密クエスト:サラ〉が発生しました。クエスト受注欄に移動します』


 サラのお願い〈D級〉new!


 ほう、店主さんってサラさんって名前なんだ。
 そういえば前来た時にグラさんがそう呼んでた気がする。

 ……っと、今はクエストの内容か。
 というか、冒険者ギルドを通さないとこんな感じで依頼が受注されるんだな。

 とりあえずクエスト受注欄にある『サラのお願い』という文字を押してみる。


 クエスト:魔法具店『精霊の智慧』の店主、サラのお願いを叶えましょう。

 内容:[泥濘の森]にてE級モンスター〈トレント〉を十匹以上討伐し、〈トレントの木片〉を入手せよ。
 成功報酬:魔導書〈火〉、???

 [追跡]


「おぉ……」

 冒険者ギルドとはまた違う感じで、なんかザ・ゲームって感じがする。ただの感覚だが。
 よし、じゃあ『追跡』。

 すると、足元の地面にいくつもの矢印が足跡のように表示される。

 あれ、なんか冒険者ギルドで依頼を受けた時と違う。
 何か理由でもあるんだろうか?

 ……いや、なんか製作者のこだわりっぽいな。
 父さんもそうだが、何かしらのモノの製作者はこだわりが強い人が多い。
 多分これもその産物だろう。
 まぁ、何か不都合が起きない限りは問題ない。

 んじゃ、サッと持ち物確認を済ませてクエストこなすとしますか。
 
 といってもナマズのとこに行く時からMP回復ポーションしか持ってなかったからな、持ち物はMP回復ポーションのみである。
 一応、装備を買おうと防具屋とかに顔を出してみたのだが、値札を見てやめた。

「では、いってきます」
「ん、頑張って」

 サラさんに手を振って、俺は街の外にある森に向かう。
 今度は標的をナマズからトレントに変えて。


・~~~

後書き
 諸事情により、次回更新が遅れます。
 数日ほどお待ちください。
しおりを挟む
感想 7

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(7件)

penpen
2023.07.27 penpen
ネタバレ含む
2023.07.28 A4si

(。⌓°꒷꒦⎞ヌトォ……()

解除
JINKA
2021.10.13 JINKA
ネタバレ含む
解除
ケッケレ
2021.09.20 ケッケレ
ネタバレ含む
解除

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略

神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。 そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。 これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。