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22.リスポーン
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気がつくと目の前には見慣れた噴水があった。
少しして、自分がリスポーン、すなわち一度死んで復活したことが分かった。
……納得いかない。
なんで負けた?
魔法が発動しなかったから。
なんで?
さっき確認したステータスのMPがゼロになっていたから。
じゃあしょうがないんじゃ?
今ふと思い出して懐を漁って出てきたのがMP回復ポーションだった。
つまり、こいつのことさえ覚えていればまだ可能性はあったわけで。
そこまで考えると後悔の念がドバっと押し寄せてきて、頭を両手で抱えながら天を仰ぐ。
「あー!悔しいー!!」
……やべ、声に出しちゃった。
あーあ、道行く人にギョッとされちゃった……。
まぁしょうがないか。悔しいのはホントだし。
……どうしよう、もう一度行こうかな……いや、やめておこう。
たとえあそこから風魔法がもっと使えたからと言ってどうこう出来るような状況じゃなかった。
今回の戦闘で思い知らされたのだ。自身の決定力の無さを。
使ってみて分かった。
風魔法はどちらかと言えばサポート寄りで、いざ攻撃に転じるとなると、チマチマしたものしか撃てない。
つまり、俺はアイツを倒すために圧倒的な決定力を身につけなくてはならない。
あのナマズを一発で仕留められるような強い攻撃を。
……と考えたのはいいのだが、生憎俺はそんな都合のいい攻撃方法を知らない。
誰かから聞かなければ。
身近な人を頭に浮かべていると、一人の人物に心当たりがあった。
昨日の今日ではあったが、このゲームの中の知り合いでそういうことを知ってそうなのはあの風の魔導書を買った『精霊の智慧』の店主さんくらいである。
店主さんも知らなければもうどうしようもないが、行かないことには何も分からないので、とりあえず行って聞いてから考えよう。
◇◇◇
「──で、無謀にも〈泥沼の主〉に風魔法だけで挑んでおめおめと逃げ帰って来た……と」
「うっ……おっしゃる通りでございます……」
てかあのナマズ、泥沼の主って名前だったのか。
なんか無駄にカッコいいな。強そう。
……いや、実際に強かったんだけども。
「あのねぇ……わたし君に風魔法は攻撃用じゃないよって教えた気がするんだけど」
…………マジ?
「……すいません、聞いてませんでした」
咄嗟に何らかの嘘を考えたが何も思い浮かばなかった。
「はぁー……〈泥沼の主〉を倒すんだったら、火魔法は必須。じゃないと回復されちゃうよ?」
「あぁー、あれ火魔法で防げるんですね!」
滅茶苦茶いいことを聞いた。
ただ、気がかりなのは……
「……ちなみに火魔法の魔導書って何円……違う、何ゴールドするんですか……?」
「7万」
「え゙ッ、風より2万も高いじゃないですか!?」
「それだけ有用性があるの。これでも友情割引してる」
これで割引されてるって……マ?
「聞くのも怖いんすけど元って……」
「10万」
「ひぇっ……」
風の倍じゃん……。
「……まぁ、ちょっと頼みたいことがあるから、それを引き受けてくれたら魔導書、あげなくもないけど……」
……え、神か?
「お願いします引き受けさせてください店主様」
「うわ、急に積極的になるな……今の貴方だと結構危険だよ?」
「えっ……死なない程度にお願いします」
「それは知らない。自己責任で受けて」
「うっ、当たりキツい……とりあえず、どんなことをすればいいんですか?」
「門を出てすぐの森にいるトレントを狩って来て欲しい。そいつの落とす〈トレントの木片〉が欲しい。十匹くらい倒せば十分かな」
「なるほど……分かりました。受けます」
「ん、じゃあ頼んだ」
『〈親密クエスト:サラ〉が発生しました。クエスト受注欄に移動します』
サラのお願い〈D級〉new!
ほう、店主さんってサラさんって名前なんだ。
そういえば前来た時にグラさんがそう呼んでた気がする。
……っと、今はクエストの内容か。
というか、冒険者ギルドを通さないとこんな感じで依頼が受注されるんだな。
とりあえずクエスト受注欄にある『サラのお願い』という文字を押してみる。
クエスト:魔法具店『精霊の智慧』の店主、サラのお願いを叶えましょう。
内容:[泥濘の森]にてE級モンスター〈トレント〉を十匹以上討伐し、〈トレントの木片〉を入手せよ。
成功報酬:魔導書〈火〉、???
[追跡]
「おぉ……」
冒険者ギルドとはまた違う感じで、なんかザ・ゲームって感じがする。ただの感覚だが。
よし、じゃあ『追跡』。
すると、足元の地面にいくつもの矢印が足跡のように表示される。
あれ、なんか冒険者ギルドで依頼を受けた時と違う。
何か理由でもあるんだろうか?
……いや、なんか製作者のこだわりっぽいな。
父さんもそうだが、何かしらのモノの製作者はこだわりが強い人が多い。
多分これもその産物だろう。
まぁ、何か不都合が起きない限りは問題ない。
んじゃ、サッと持ち物確認を済ませてクエストこなすとしますか。
といってもナマズのとこに行く時からMP回復ポーションしか持ってなかったからな、持ち物はMP回復ポーションのみである。
一応、装備を買おうと防具屋とかに顔を出してみたのだが、値札を見てやめた。
「では、いってきます」
「ん、頑張って」
サラさんに手を振って、俺は街の外にある森に向かう。
今度は標的をナマズからトレントに変えて。
・~~~
後書き
諸事情により、次回更新が遅れます。
数日ほどお待ちください。
少しして、自分がリスポーン、すなわち一度死んで復活したことが分かった。
……納得いかない。
なんで負けた?
魔法が発動しなかったから。
なんで?
さっき確認したステータスのMPがゼロになっていたから。
じゃあしょうがないんじゃ?
今ふと思い出して懐を漁って出てきたのがMP回復ポーションだった。
つまり、こいつのことさえ覚えていればまだ可能性はあったわけで。
そこまで考えると後悔の念がドバっと押し寄せてきて、頭を両手で抱えながら天を仰ぐ。
「あー!悔しいー!!」
……やべ、声に出しちゃった。
あーあ、道行く人にギョッとされちゃった……。
まぁしょうがないか。悔しいのはホントだし。
……どうしよう、もう一度行こうかな……いや、やめておこう。
たとえあそこから風魔法がもっと使えたからと言ってどうこう出来るような状況じゃなかった。
今回の戦闘で思い知らされたのだ。自身の決定力の無さを。
使ってみて分かった。
風魔法はどちらかと言えばサポート寄りで、いざ攻撃に転じるとなると、チマチマしたものしか撃てない。
つまり、俺はアイツを倒すために圧倒的な決定力を身につけなくてはならない。
あのナマズを一発で仕留められるような強い攻撃を。
……と考えたのはいいのだが、生憎俺はそんな都合のいい攻撃方法を知らない。
誰かから聞かなければ。
身近な人を頭に浮かべていると、一人の人物に心当たりがあった。
昨日の今日ではあったが、このゲームの中の知り合いでそういうことを知ってそうなのはあの風の魔導書を買った『精霊の智慧』の店主さんくらいである。
店主さんも知らなければもうどうしようもないが、行かないことには何も分からないので、とりあえず行って聞いてから考えよう。
◇◇◇
「──で、無謀にも〈泥沼の主〉に風魔法だけで挑んでおめおめと逃げ帰って来た……と」
「うっ……おっしゃる通りでございます……」
てかあのナマズ、泥沼の主って名前だったのか。
なんか無駄にカッコいいな。強そう。
……いや、実際に強かったんだけども。
「あのねぇ……わたし君に風魔法は攻撃用じゃないよって教えた気がするんだけど」
…………マジ?
「……すいません、聞いてませんでした」
咄嗟に何らかの嘘を考えたが何も思い浮かばなかった。
「はぁー……〈泥沼の主〉を倒すんだったら、火魔法は必須。じゃないと回復されちゃうよ?」
「あぁー、あれ火魔法で防げるんですね!」
滅茶苦茶いいことを聞いた。
ただ、気がかりなのは……
「……ちなみに火魔法の魔導書って何円……違う、何ゴールドするんですか……?」
「7万」
「え゙ッ、風より2万も高いじゃないですか!?」
「それだけ有用性があるの。これでも友情割引してる」
これで割引されてるって……マ?
「聞くのも怖いんすけど元って……」
「10万」
「ひぇっ……」
風の倍じゃん……。
「……まぁ、ちょっと頼みたいことがあるから、それを引き受けてくれたら魔導書、あげなくもないけど……」
……え、神か?
「お願いします引き受けさせてください店主様」
「うわ、急に積極的になるな……今の貴方だと結構危険だよ?」
「えっ……死なない程度にお願いします」
「それは知らない。自己責任で受けて」
「うっ、当たりキツい……とりあえず、どんなことをすればいいんですか?」
「門を出てすぐの森にいるトレントを狩って来て欲しい。そいつの落とす〈トレントの木片〉が欲しい。十匹くらい倒せば十分かな」
「なるほど……分かりました。受けます」
「ん、じゃあ頼んだ」
『〈親密クエスト:サラ〉が発生しました。クエスト受注欄に移動します』
サラのお願い〈D級〉new!
ほう、店主さんってサラさんって名前なんだ。
そういえば前来た時にグラさんがそう呼んでた気がする。
……っと、今はクエストの内容か。
というか、冒険者ギルドを通さないとこんな感じで依頼が受注されるんだな。
とりあえずクエスト受注欄にある『サラのお願い』という文字を押してみる。
クエスト:魔法具店『精霊の智慧』の店主、サラのお願いを叶えましょう。
内容:[泥濘の森]にてE級モンスター〈トレント〉を十匹以上討伐し、〈トレントの木片〉を入手せよ。
成功報酬:魔導書〈火〉、???
[追跡]
「おぉ……」
冒険者ギルドとはまた違う感じで、なんかザ・ゲームって感じがする。ただの感覚だが。
よし、じゃあ『追跡』。
すると、足元の地面にいくつもの矢印が足跡のように表示される。
あれ、なんか冒険者ギルドで依頼を受けた時と違う。
何か理由でもあるんだろうか?
……いや、なんか製作者のこだわりっぽいな。
父さんもそうだが、何かしらのモノの製作者はこだわりが強い人が多い。
多分これもその産物だろう。
まぁ、何か不都合が起きない限りは問題ない。
んじゃ、サッと持ち物確認を済ませてクエストこなすとしますか。
といってもナマズのとこに行く時からMP回復ポーションしか持ってなかったからな、持ち物はMP回復ポーションのみである。
一応、装備を買おうと防具屋とかに顔を出してみたのだが、値札を見てやめた。
「では、いってきます」
「ん、頑張って」
サラさんに手を振って、俺は街の外にある森に向かう。
今度は標的をナマズからトレントに変えて。
・~~~
後書き
諸事情により、次回更新が遅れます。
数日ほどお待ちください。
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