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1日目 第9話
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北海道では恩根内大橋をソ連軍が通過できない時点でこの日の戦線は止まったと言える。
それでもソ連軍は戦闘攻撃機や攻撃ヘリが自衛隊への打撃や部隊移動を阻止しようと空爆を続けたが陽が落ちるとソ連空軍は北海道の空から消えた。
「川が忌々しいな。工兵はまだか?」
ボロディンは双眼鏡で恩根内大橋の南岸である名寄川南岸を見ていた。
夕陽に照らされた河岸に自衛隊の部隊が徐々に集まっているのが見て取れた。この状況は突破した音威子府の時と似ている。
「川さえ無ければまだ進めた!」
とボロディンは思わずにいられない。だかたこそ架橋装備を持つ工兵を待ち望んだ。
「同志中尉、師団司令部からです」
兵士に呼ばれてボロディンは自分の乗る戦車の無線機に出た。
「同志ボロディン中尉、今日はよくやった」
無線の主は第232機械化狙撃兵師団の師団長であるワジク中将だった。
「ですが日本軍による妨害で現在進撃を止められております」
「ああ分かっておる。今夜中には工兵が着くから安心しろ。ともかく今夜は部隊の再編成に専念して明日の朝から攻勢を再開するのだ」
「了解しました同志師団長」
ワジク中将は穏やかにボロディンへ指示を与えた。まだ日本軍の大きな抵抗を受けておらず余裕があるからだろう。
「明日にはどのぐらい敵が増強されているだろうか」
朝の攻撃再開を前に日本軍もとい自衛隊は夜を利用して戦力を集結させるだろう。まだ歩兵しか展開できない間は地形の障害を除けば押し通れた。だが明日は戦車も砲兵も眼前に現れるだろう。
ボロディンは少し憂鬱になる。
明日からが日本軍との本格的な戦闘になるのだと。
「同志中尉、どうやら天塩の海軍歩兵が夜間に前進するそうだ」
ドスタムがボロディンへそう告げた。
ボロディンはドスタムがそんな事を自分へ伝えるのか分かっていた。海軍歩兵部隊に先を越されているぞとプレッシャーを与えているつもりなのだ。
そして明日の攻撃再開において海軍歩兵に負けまいと奮起するだろうと。それが政治将校であるドスタムの役目なのだ。
「夜の間は海軍歩兵に任せよう」
ボロディンがそう答えるとドスタムは「しかし同志中尉」と批判気味に口を開く。
「だが工兵が橋を架けた後、朝になれば対岸の日本軍を蹴散らして旭川へ突き進む」
ボロディンがそう続けると意欲があるとドスタムは理解した。
「その意気だ同志中尉、では工兵の指揮官へ作業を迅速に行うように渇を入れてくるとしよう」
ドスタムは到着したばかりの工兵部隊のところへと向かって行った。
「まったく」
ドスタムが視界から消えるとボロディンは思わずそう呟いた。
天塩に上陸した第88独立海軍歩兵旅団は南の遠別まで前進し防御を固めていた。
当初の目的が稚内から旭川へ進撃する第232機械化狙撃兵師団が進撃する為に日本軍の反撃を引き受けるものだった。
しかし日本軍は思ったよりも弱い抵抗しかせず第88海軍歩兵旅団をあえて防御に徹する意味が薄いと第8軍司令官のペレツコフは判断し前進させる事に決めた。
「苫前まで前進し第232師団の側面掩護ができるようにしよう」
苫前を占領できれば国道239号を通り霧立峠を経て士別市や名寄市へ攻撃の手を伸ばせるからだ。そうなればボロディンの部隊は自衛隊部隊の背後や側面を攻撃してくれる掩護が期待できる。
そんな使命を帯びた第88独立海軍歩兵旅団はソ連軍の水陸両用部隊である。狙撃兵大隊3個に偵察大隊や戦車大隊・防空ミサイル大隊が1個づつに砲兵大隊2個など充実した部隊だ。
とはいえ装備は戦車がT-72で砲兵の自走砲は2S1グヴォーチカと陸軍と比べると装備が旧式である。
そんな海軍歩兵旅団であるが前進命令を受けるや士気高く進撃を開始した。
「動きの鈍い陸軍に代わって前進してやるのだ」
海軍歩兵旅団の政治将校が言った訓示だがこれが海軍歩兵の将兵には大いにウケたからだ。
第88独立海軍歩兵旅団が前進を開始したのが午後6時からだった。
一方で海軍歩兵を迎え撃つのは第11旅団である。
札幌市真駒内駐屯地に司令部を置くこの部隊も第2師団などと同様にソ連軍の空爆やソ連艦隊の攻撃により部隊の移動が思うに任せない状態であった。
沿岸がソ連艦隊の脅威により移動が難しいとなり第11旅団は天塩山地の東側にある空知国道から国道239号を通り苫前へ進む事を決めた。
それでも空爆の脅威はあるが滝川駐屯地の第10普通科連隊と恵庭駐屯地の第11戦車大隊は少しづつ進む。
夜間になり第10普通科連隊と第11戦車大隊は前進を早めたが奇しくもソ連軍と事態双方のどちらが苫前を先に占領するかの競争になっていた。
その苫前は南への避難が午前から行われていたが避難する車列をソ連軍機が爆撃した事で夜を待ってから避難する人も居て街にはまだ民間人が多く残っていた。
その夜待ち組は陽が沈んだ瞬間から避難を開始した。しかし一度に多くの人と車が動いた為に避難誘導をする自治体や警察は混乱した。
苫前には鉄道が通っておらず避難は自動車を使うしかない。この為に渋滞が発生した。
苫前町は3000人の人口だが苫前より北から避難する人々もあって4000人がこれから避難しようとしていた。
自治体と警察は二手に分けて避難させる事にした。
一つは国道232号で南へ行かせる。もう一つが国道239号を通り東へ行かせるというものだった。
こうして同じ239号線から苫前へ行こうとする10普連と第11戦車大隊は避難する車列と遭遇する事になる。
当初は車線ごとに別れていたが苫前へ近づくにつれて自衛隊が進む車線にも避難車輌が現れるようになった。
「ソ連軍が来るぞ、もう近くまで!」
どうやら第88独立海軍歩兵旅団の進撃を見た誰かがSNSで広めたらしい。パニックを起こした人々は冷静さを失い自衛隊の移動用に開けている車線に入ってまで逃げようとしていた。
「そのソ連軍を我々が阻止します。ですから道を開けてください」
自衛隊の隊員は丁寧にお願いする形で道を開けて貰う。
自分達がソ連軍を防げていないから迷惑をかけている。そんな思いがあるので強気に言えない感情があったからだ。
だが説得と避難用の車線へ誘導する作業で自衛隊部隊の移動が止まる事になる。
「この車線に入らないで下さい。元の車線へ戻りなさい」
警察のパトカーが来てから避難誘導は捗る。秩序の維持・法を守らせると言う目的があるから警官は一般人へ強い態度で指示ができる。
だが遅れた時間は取り戻せない。
パトカーの無線から「ソ連軍と思われる戦車や装甲車が苫前に来た」と報告が入った。
午後8時に第88独立海軍歩兵旅団は何の抵抗も受けず無血で苫前を占領した。
「日本軍の展開は遅いんだな。何事も無くここまで来れた」
独立第88海軍歩兵旅団の旅団長であるボリエフスキー少将は拍子抜けした。
遠別から苫前まで1発の銃弾も受けたり道路に障害物を置かれて妨害されたりの抵抗は受けなかった。避難の車列も南か東を目指していたので海軍歩兵旅団は何事も無く苫前に入る事ができた。
「もしかすると札幌までいけるかもしれないですね」
旅団の参謀長がそう言うほどであった。
「ここで防御態勢を固める。動きが鈍い日本軍でもそろそろやって来るだろう」
ボリエフスキーは所定の任務に従い苫前を確保する任務に徹する。
苫前を占領したのは第252海軍歩兵大隊に戦車中隊・偵察中隊を付けた先遣隊である。旅団主力が到着するまでは心許ない。
「先を越されるとはなあ」
苫前より南東にある古丹別に連隊本部を置いた第10普通科連隊では連隊長今永一等陸佐が悔やみながら地図を眺めていた。
第10普通科連隊は避難車輌の混乱を抜け出したがソ連軍の苫前占領を知り近くの古丹別や上平など古丹別川の南岸沿いに主力を展開させた。
10普連の第3中隊は第11戦車大隊第2中隊第1小隊と共に古丹別側の北岸にある長島に展開をしていた。
一応は苫前から出るソ連軍を防ぐ形であるが十分に防げるか不安があった。
川と言う自然の障害物を防御に使えるが周囲は畑が広がる平坦な地域だ。普通科隊員600人と戦車20両で防げるか今永には不安があった。
「敵戦力が分かれば逆襲して苫前を奪還したいものだが」
今永の前にある地図には指揮下の部隊の位置は細かく記されているがソ連軍の位置に関しては不明であり描かれていない。
普通科連隊の情報小隊という索敵部隊をはじめ普通科中隊から斥候を出して苫前のソ連軍について探る行動を始めたばかりだった。
今永はもしも敵が自分の指揮戦力よりも少ないまたは奇襲できる好機があれば攻撃して苫前を奪還したいと思っていた。だが苫前にどの程度ソ連軍が居るか、配置はどうかなど不明な点が多く反撃するには至っていない。
まだこの時点で苫前にあるソ連軍は第10普通科連隊と第11戦車大隊を合わせた戦力と同程度、いや戦車戦力では自衛隊の方が優勢なのだが今永がそんな事を知る由も無い。
防御の態勢と斥候を続けたまま時間が過ぎる。
赤外線暗視装置により苫前にソ連軍が続々と入り増強されていると判明した。
「敵装甲車が南下中です」
午後9時30分に情報小隊からの報告が入る。
「すぐに橋を確保するんだ。日本軍が爆破してしまう前に」
苫前に到着したボリエフスキーは行動を起こす。
恩根内橋のように爆破される前に苫前の町より南にある古丹別川に架かる苫前橋を確保せよとボリエフスキーは命じた。
まず偵察部隊の装甲車PRP-4(BMP-1歩兵戦闘車を偵察部隊用または砲兵観測用に改造したもの)が2両、国道232号を南下し苫前橋に向かう。それを10普連の斥候が見つけた装甲車であった。
「その装甲車は斥候だな」
今永はどんな任務で装甲車が来ているか分かっていた。苫前橋とその周囲がどうなっているか見に来ているのだ。
「戦車で攻撃しますか?」
連隊副官が今永に尋ねる。
「いやこの装甲車は通してしまおう。後から来る本隊を叩くんだ」
今永は敵戦力を叩く好機が来たと思えた。
「敵は苫前橋の確保をしようと動いている。ならば戦力はそんなに出さないだろう」
全面攻勢を受けるのなら不安だが、橋を巡る局地戦ならば今永は自信があった。
「もしも第2中隊に気づいて敵が停止なり攻撃して来たら後退しろ、敵に橋を渡らせるんだ」
橋の前は10普連第2中隊と第11戦大第1中隊が布陣していた。もしもこれらの戦力に気づいて橋を渡るのを躊躇されては攻撃ができないからだ。
「こちらチーカ1、橋を渡り川の南岸に出た。敵と交戦するものの僅かな抵抗で退却した」
海軍歩兵の偵察部隊は苫前橋を渡り古丹別川の南岸に着くとそう報告する。
橋を渡る途中でRPR-4の熱源探知装置で10普連第2中隊や第11戦車大隊の90式を発見し76ミリ砲を撃つや第2中隊は銃撃をしながら後退した。
「日本軍は逃げたのか」
ボリエフスキーは意外に思えた。2両の装甲車ぐらいで退却するとは信じられなかった。
(罠ではないのか?)
わざと退却したフリをしてこちらを誘い出すつもりではないかとボリエフスキーは思えた。
だが罠で損害を受けるよりも橋を爆破され敵前で架橋する危険の方がリスクが高いと判断する。そうなると罠であってもあえて突っ込むべきだとボリエフスキーは決心する。
「橋を確保だ」
ボリエフスキーの命令で歩兵1個中隊と戦車1個小隊が前進する。
4両のT-72がBTR-80装輪装甲車やMT-LB装甲輸送車に分乗した歩兵中隊を率いて苫前橋へ向かう。
「戦車4両と装甲車多数の敵が前進して来ました」
「橋を占領する部隊だな。戦闘用意だ」
今永は情報小隊の報告を聞くと戦闘を決心する。
1km退却した10普連第2中隊に11戦大第1中隊が苫前橋に照準を合わせて待ち構える。
「新たな敵戦車4両が前進して来ます」
情報小隊は新たに出現した4両のT-72の姿を認めた。
「これで戦車が8両か。だがまだこちらが有利だ」
今永は苫前橋の前に布陣する第11戦車大隊第1中隊は14両の90式戦車があるからだ。
「敵部隊が橋を渡り切ったところで戦闘を開始せよ」
今永はそう命じてから現地の指揮官へ託した。
「こちらプルート5、橋を占領した。損害なし」
苫前橋を占領した海軍歩兵中隊は無事に占領できたと報告した。
苫前橋の南岸は装甲車から降りた海軍歩兵に4両のT-72が防御態勢を敷き、川の反対側には4両のT-72が橋を確保する部隊を掩護する位置に就いていた。
布陣を終えた海軍歩兵は安堵よりも緊張に気を張り詰めていた。
敵の気配が濃く感じ取れるからだ。
赤外線暗視装置に10普連第2中隊や11戦大第1中隊の姿を確認できたから尚更だ。
「日本軍が攻撃して来ない限りは攻撃は待て」
ボリエフスキーは旅団全て揃い総攻撃ができるまで苫前橋を確保した部隊を警戒させつつ動かさないつもりだった。
「揃ったな。やるか」
11戦大第1中隊の中隊長は海軍歩兵が苫前橋を渡り切ったのを確認して攻撃開始を決断する。
「士魂3より全車へ。攻撃開始」
午後9時40分、90式戦車14両が一斉に120ミリ砲を放つ。
「射撃開始!」
戦車の砲撃を合図に10普連第2中隊も銃撃や迫撃砲による砲撃を開始した。
あらかじめ狙いを定めた射撃は海軍歩兵の将兵や車輌に叩き込まれる。
たちまち4両のT-72が爆発炎上し、海軍歩兵の将兵は次々に倒れるか激痛を叫ぶ。
「こちらプルート5、日本軍から攻撃を受けている!増援と支援を求む!」
海軍歩兵中隊の半数が死傷し戦車も残り2両にさせられ悲鳴に近い救援要請をする。
「前進!敵を追い返せ!」
海軍歩兵が射撃で弱体化したと見た戦車と普通科の指揮官は海軍歩兵を追い返すべく前進を命じた。
90式戦車が前進し普通科隊員が後に続く。
「プルート5、このままでは維持できない」
「了解したプルート5、これより砲兵の支援を行う。砲兵による掩護を受けながら退却せよ」
ボリエフスキーは布陣したばかりの砲兵大隊による砲撃を命じた。
グヴィーチカ自走砲の122ミリ砲が射撃を開始し10普連第2中隊や11戦大第1中隊に砲弾が降り注ぐ。
「ここまでか」
激しい弾幕を浴びて自衛隊の指揮官は前進を諦め元の位置まで戻るよう命じた。
「よくやった。今夜は敵がまた来るまで戦闘は無しだ」
今永はそう命じた。敵戦力に打撃を与えると言う目的は果たしたのだから。
だが海軍歩兵は自衛隊側が静まると分隊や小隊ごとの海軍歩兵を徒歩で渡らせ橋の確保を試みる。その都度普通科の銃撃や戦車の砲撃を浴びせ撃退する小競り合いを一晩中続ける事になる。
それでもソ連軍は戦闘攻撃機や攻撃ヘリが自衛隊への打撃や部隊移動を阻止しようと空爆を続けたが陽が落ちるとソ連空軍は北海道の空から消えた。
「川が忌々しいな。工兵はまだか?」
ボロディンは双眼鏡で恩根内大橋の南岸である名寄川南岸を見ていた。
夕陽に照らされた河岸に自衛隊の部隊が徐々に集まっているのが見て取れた。この状況は突破した音威子府の時と似ている。
「川さえ無ければまだ進めた!」
とボロディンは思わずにいられない。だかたこそ架橋装備を持つ工兵を待ち望んだ。
「同志中尉、師団司令部からです」
兵士に呼ばれてボロディンは自分の乗る戦車の無線機に出た。
「同志ボロディン中尉、今日はよくやった」
無線の主は第232機械化狙撃兵師団の師団長であるワジク中将だった。
「ですが日本軍による妨害で現在進撃を止められております」
「ああ分かっておる。今夜中には工兵が着くから安心しろ。ともかく今夜は部隊の再編成に専念して明日の朝から攻勢を再開するのだ」
「了解しました同志師団長」
ワジク中将は穏やかにボロディンへ指示を与えた。まだ日本軍の大きな抵抗を受けておらず余裕があるからだろう。
「明日にはどのぐらい敵が増強されているだろうか」
朝の攻撃再開を前に日本軍もとい自衛隊は夜を利用して戦力を集結させるだろう。まだ歩兵しか展開できない間は地形の障害を除けば押し通れた。だが明日は戦車も砲兵も眼前に現れるだろう。
ボロディンは少し憂鬱になる。
明日からが日本軍との本格的な戦闘になるのだと。
「同志中尉、どうやら天塩の海軍歩兵が夜間に前進するそうだ」
ドスタムがボロディンへそう告げた。
ボロディンはドスタムがそんな事を自分へ伝えるのか分かっていた。海軍歩兵部隊に先を越されているぞとプレッシャーを与えているつもりなのだ。
そして明日の攻撃再開において海軍歩兵に負けまいと奮起するだろうと。それが政治将校であるドスタムの役目なのだ。
「夜の間は海軍歩兵に任せよう」
ボロディンがそう答えるとドスタムは「しかし同志中尉」と批判気味に口を開く。
「だが工兵が橋を架けた後、朝になれば対岸の日本軍を蹴散らして旭川へ突き進む」
ボロディンがそう続けると意欲があるとドスタムは理解した。
「その意気だ同志中尉、では工兵の指揮官へ作業を迅速に行うように渇を入れてくるとしよう」
ドスタムは到着したばかりの工兵部隊のところへと向かって行った。
「まったく」
ドスタムが視界から消えるとボロディンは思わずそう呟いた。
天塩に上陸した第88独立海軍歩兵旅団は南の遠別まで前進し防御を固めていた。
当初の目的が稚内から旭川へ進撃する第232機械化狙撃兵師団が進撃する為に日本軍の反撃を引き受けるものだった。
しかし日本軍は思ったよりも弱い抵抗しかせず第88海軍歩兵旅団をあえて防御に徹する意味が薄いと第8軍司令官のペレツコフは判断し前進させる事に決めた。
「苫前まで前進し第232師団の側面掩護ができるようにしよう」
苫前を占領できれば国道239号を通り霧立峠を経て士別市や名寄市へ攻撃の手を伸ばせるからだ。そうなればボロディンの部隊は自衛隊部隊の背後や側面を攻撃してくれる掩護が期待できる。
そんな使命を帯びた第88独立海軍歩兵旅団はソ連軍の水陸両用部隊である。狙撃兵大隊3個に偵察大隊や戦車大隊・防空ミサイル大隊が1個づつに砲兵大隊2個など充実した部隊だ。
とはいえ装備は戦車がT-72で砲兵の自走砲は2S1グヴォーチカと陸軍と比べると装備が旧式である。
そんな海軍歩兵旅団であるが前進命令を受けるや士気高く進撃を開始した。
「動きの鈍い陸軍に代わって前進してやるのだ」
海軍歩兵旅団の政治将校が言った訓示だがこれが海軍歩兵の将兵には大いにウケたからだ。
第88独立海軍歩兵旅団が前進を開始したのが午後6時からだった。
一方で海軍歩兵を迎え撃つのは第11旅団である。
札幌市真駒内駐屯地に司令部を置くこの部隊も第2師団などと同様にソ連軍の空爆やソ連艦隊の攻撃により部隊の移動が思うに任せない状態であった。
沿岸がソ連艦隊の脅威により移動が難しいとなり第11旅団は天塩山地の東側にある空知国道から国道239号を通り苫前へ進む事を決めた。
それでも空爆の脅威はあるが滝川駐屯地の第10普通科連隊と恵庭駐屯地の第11戦車大隊は少しづつ進む。
夜間になり第10普通科連隊と第11戦車大隊は前進を早めたが奇しくもソ連軍と事態双方のどちらが苫前を先に占領するかの競争になっていた。
その苫前は南への避難が午前から行われていたが避難する車列をソ連軍機が爆撃した事で夜を待ってから避難する人も居て街にはまだ民間人が多く残っていた。
その夜待ち組は陽が沈んだ瞬間から避難を開始した。しかし一度に多くの人と車が動いた為に避難誘導をする自治体や警察は混乱した。
苫前には鉄道が通っておらず避難は自動車を使うしかない。この為に渋滞が発生した。
苫前町は3000人の人口だが苫前より北から避難する人々もあって4000人がこれから避難しようとしていた。
自治体と警察は二手に分けて避難させる事にした。
一つは国道232号で南へ行かせる。もう一つが国道239号を通り東へ行かせるというものだった。
こうして同じ239号線から苫前へ行こうとする10普連と第11戦車大隊は避難する車列と遭遇する事になる。
当初は車線ごとに別れていたが苫前へ近づくにつれて自衛隊が進む車線にも避難車輌が現れるようになった。
「ソ連軍が来るぞ、もう近くまで!」
どうやら第88独立海軍歩兵旅団の進撃を見た誰かがSNSで広めたらしい。パニックを起こした人々は冷静さを失い自衛隊の移動用に開けている車線に入ってまで逃げようとしていた。
「そのソ連軍を我々が阻止します。ですから道を開けてください」
自衛隊の隊員は丁寧にお願いする形で道を開けて貰う。
自分達がソ連軍を防げていないから迷惑をかけている。そんな思いがあるので強気に言えない感情があったからだ。
だが説得と避難用の車線へ誘導する作業で自衛隊部隊の移動が止まる事になる。
「この車線に入らないで下さい。元の車線へ戻りなさい」
警察のパトカーが来てから避難誘導は捗る。秩序の維持・法を守らせると言う目的があるから警官は一般人へ強い態度で指示ができる。
だが遅れた時間は取り戻せない。
パトカーの無線から「ソ連軍と思われる戦車や装甲車が苫前に来た」と報告が入った。
午後8時に第88独立海軍歩兵旅団は何の抵抗も受けず無血で苫前を占領した。
「日本軍の展開は遅いんだな。何事も無くここまで来れた」
独立第88海軍歩兵旅団の旅団長であるボリエフスキー少将は拍子抜けした。
遠別から苫前まで1発の銃弾も受けたり道路に障害物を置かれて妨害されたりの抵抗は受けなかった。避難の車列も南か東を目指していたので海軍歩兵旅団は何事も無く苫前に入る事ができた。
「もしかすると札幌までいけるかもしれないですね」
旅団の参謀長がそう言うほどであった。
「ここで防御態勢を固める。動きが鈍い日本軍でもそろそろやって来るだろう」
ボリエフスキーは所定の任務に従い苫前を確保する任務に徹する。
苫前を占領したのは第252海軍歩兵大隊に戦車中隊・偵察中隊を付けた先遣隊である。旅団主力が到着するまでは心許ない。
「先を越されるとはなあ」
苫前より南東にある古丹別に連隊本部を置いた第10普通科連隊では連隊長今永一等陸佐が悔やみながら地図を眺めていた。
第10普通科連隊は避難車輌の混乱を抜け出したがソ連軍の苫前占領を知り近くの古丹別や上平など古丹別川の南岸沿いに主力を展開させた。
10普連の第3中隊は第11戦車大隊第2中隊第1小隊と共に古丹別側の北岸にある長島に展開をしていた。
一応は苫前から出るソ連軍を防ぐ形であるが十分に防げるか不安があった。
川と言う自然の障害物を防御に使えるが周囲は畑が広がる平坦な地域だ。普通科隊員600人と戦車20両で防げるか今永には不安があった。
「敵戦力が分かれば逆襲して苫前を奪還したいものだが」
今永の前にある地図には指揮下の部隊の位置は細かく記されているがソ連軍の位置に関しては不明であり描かれていない。
普通科連隊の情報小隊という索敵部隊をはじめ普通科中隊から斥候を出して苫前のソ連軍について探る行動を始めたばかりだった。
今永はもしも敵が自分の指揮戦力よりも少ないまたは奇襲できる好機があれば攻撃して苫前を奪還したいと思っていた。だが苫前にどの程度ソ連軍が居るか、配置はどうかなど不明な点が多く反撃するには至っていない。
まだこの時点で苫前にあるソ連軍は第10普通科連隊と第11戦車大隊を合わせた戦力と同程度、いや戦車戦力では自衛隊の方が優勢なのだが今永がそんな事を知る由も無い。
防御の態勢と斥候を続けたまま時間が過ぎる。
赤外線暗視装置により苫前にソ連軍が続々と入り増強されていると判明した。
「敵装甲車が南下中です」
午後9時30分に情報小隊からの報告が入る。
「すぐに橋を確保するんだ。日本軍が爆破してしまう前に」
苫前に到着したボリエフスキーは行動を起こす。
恩根内橋のように爆破される前に苫前の町より南にある古丹別川に架かる苫前橋を確保せよとボリエフスキーは命じた。
まず偵察部隊の装甲車PRP-4(BMP-1歩兵戦闘車を偵察部隊用または砲兵観測用に改造したもの)が2両、国道232号を南下し苫前橋に向かう。それを10普連の斥候が見つけた装甲車であった。
「その装甲車は斥候だな」
今永はどんな任務で装甲車が来ているか分かっていた。苫前橋とその周囲がどうなっているか見に来ているのだ。
「戦車で攻撃しますか?」
連隊副官が今永に尋ねる。
「いやこの装甲車は通してしまおう。後から来る本隊を叩くんだ」
今永は敵戦力を叩く好機が来たと思えた。
「敵は苫前橋の確保をしようと動いている。ならば戦力はそんなに出さないだろう」
全面攻勢を受けるのなら不安だが、橋を巡る局地戦ならば今永は自信があった。
「もしも第2中隊に気づいて敵が停止なり攻撃して来たら後退しろ、敵に橋を渡らせるんだ」
橋の前は10普連第2中隊と第11戦大第1中隊が布陣していた。もしもこれらの戦力に気づいて橋を渡るのを躊躇されては攻撃ができないからだ。
「こちらチーカ1、橋を渡り川の南岸に出た。敵と交戦するものの僅かな抵抗で退却した」
海軍歩兵の偵察部隊は苫前橋を渡り古丹別川の南岸に着くとそう報告する。
橋を渡る途中でRPR-4の熱源探知装置で10普連第2中隊や第11戦車大隊の90式を発見し76ミリ砲を撃つや第2中隊は銃撃をしながら後退した。
「日本軍は逃げたのか」
ボリエフスキーは意外に思えた。2両の装甲車ぐらいで退却するとは信じられなかった。
(罠ではないのか?)
わざと退却したフリをしてこちらを誘い出すつもりではないかとボリエフスキーは思えた。
だが罠で損害を受けるよりも橋を爆破され敵前で架橋する危険の方がリスクが高いと判断する。そうなると罠であってもあえて突っ込むべきだとボリエフスキーは決心する。
「橋を確保だ」
ボリエフスキーの命令で歩兵1個中隊と戦車1個小隊が前進する。
4両のT-72がBTR-80装輪装甲車やMT-LB装甲輸送車に分乗した歩兵中隊を率いて苫前橋へ向かう。
「戦車4両と装甲車多数の敵が前進して来ました」
「橋を占領する部隊だな。戦闘用意だ」
今永は情報小隊の報告を聞くと戦闘を決心する。
1km退却した10普連第2中隊に11戦大第1中隊が苫前橋に照準を合わせて待ち構える。
「新たな敵戦車4両が前進して来ます」
情報小隊は新たに出現した4両のT-72の姿を認めた。
「これで戦車が8両か。だがまだこちらが有利だ」
今永は苫前橋の前に布陣する第11戦車大隊第1中隊は14両の90式戦車があるからだ。
「敵部隊が橋を渡り切ったところで戦闘を開始せよ」
今永はそう命じてから現地の指揮官へ託した。
「こちらプルート5、橋を占領した。損害なし」
苫前橋を占領した海軍歩兵中隊は無事に占領できたと報告した。
苫前橋の南岸は装甲車から降りた海軍歩兵に4両のT-72が防御態勢を敷き、川の反対側には4両のT-72が橋を確保する部隊を掩護する位置に就いていた。
布陣を終えた海軍歩兵は安堵よりも緊張に気を張り詰めていた。
敵の気配が濃く感じ取れるからだ。
赤外線暗視装置に10普連第2中隊や11戦大第1中隊の姿を確認できたから尚更だ。
「日本軍が攻撃して来ない限りは攻撃は待て」
ボリエフスキーは旅団全て揃い総攻撃ができるまで苫前橋を確保した部隊を警戒させつつ動かさないつもりだった。
「揃ったな。やるか」
11戦大第1中隊の中隊長は海軍歩兵が苫前橋を渡り切ったのを確認して攻撃開始を決断する。
「士魂3より全車へ。攻撃開始」
午後9時40分、90式戦車14両が一斉に120ミリ砲を放つ。
「射撃開始!」
戦車の砲撃を合図に10普連第2中隊も銃撃や迫撃砲による砲撃を開始した。
あらかじめ狙いを定めた射撃は海軍歩兵の将兵や車輌に叩き込まれる。
たちまち4両のT-72が爆発炎上し、海軍歩兵の将兵は次々に倒れるか激痛を叫ぶ。
「こちらプルート5、日本軍から攻撃を受けている!増援と支援を求む!」
海軍歩兵中隊の半数が死傷し戦車も残り2両にさせられ悲鳴に近い救援要請をする。
「前進!敵を追い返せ!」
海軍歩兵が射撃で弱体化したと見た戦車と普通科の指揮官は海軍歩兵を追い返すべく前進を命じた。
90式戦車が前進し普通科隊員が後に続く。
「プルート5、このままでは維持できない」
「了解したプルート5、これより砲兵の支援を行う。砲兵による掩護を受けながら退却せよ」
ボリエフスキーは布陣したばかりの砲兵大隊による砲撃を命じた。
グヴィーチカ自走砲の122ミリ砲が射撃を開始し10普連第2中隊や11戦大第1中隊に砲弾が降り注ぐ。
「ここまでか」
激しい弾幕を浴びて自衛隊の指揮官は前進を諦め元の位置まで戻るよう命じた。
「よくやった。今夜は敵がまた来るまで戦闘は無しだ」
今永はそう命じた。敵戦力に打撃を与えると言う目的は果たしたのだから。
だが海軍歩兵は自衛隊側が静まると分隊や小隊ごとの海軍歩兵を徒歩で渡らせ橋の確保を試みる。その都度普通科の銃撃や戦車の砲撃を浴びせ撃退する小競り合いを一晩中続ける事になる。
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