ACTIVE HEROS

木村 正広

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FIRST MISSON

【Ji-G】の決断

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【Ji-G】
 それが日本における「悪魔の歌」への対策機関の名称である。

 Ji-Gは「悪魔の歌」、そして「発信者」や「受信者」を食い止める為、適性のある人材を集めていた。しかし、大きな問題がそこにはあった。
-ミイラ取りがミイラになる-
その可能性だ。

 組織内部もそうだが、特に現場に赴く隊員は万が一「発信者」と対峙した際、「受信者」となってしまう可能性があり、また耳栓などを使ったとしても、メカニズムは定かではないが、この「悪魔の歌」はそれを透過してしまう性質を持つ為、この人材集めは難航していた。

 しかし、この「悪魔の歌」にはもうひとつ重要な特性があった。17キロヘルツ前後の高周波だという事だ。この高周波音には加齢とともに聞こえにくくなるという性質があったのだ。

 Ji-Gの幹部は、ある決断を下した。いや、それ以外の答えが見当たらなかっただけなのかもしれない。

 適性のある人材、それは即ち、「優秀な高齢者」だということ。

 とは言うものの、身体能力をはじめとした高齢者の有するそれらの能力は、決して若年者、ましてや「受信者」たちに勝るものではない。

 しかしそれ以外に「悪魔の歌」から日本を救う答えが見当たらなかったのだ。

 こうしてJi-Gによる、優秀な高齢者集めがはじまったのである。

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