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木村 正広

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FIRST MISSON

車酔い

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 泰三の前に2台の軍用車が止まった。泰三は首藤と共にそのうち1台でJi-Gの本部まで送られることになった。もう1台は「受信者」の始末をするのだろう。

「あんたら、やるじゃないか」
車を運転するしわしわの口元がバックミラーごしに話しかける。
 泰三も首藤も返事をしなかった。それでもその「シワシワ」はお構いなしに話を続ける。
「わしも武術かなんかをやっておけば良かったわい。なんせ社会に出てから自動車部品を作ったり、その後はタクシーの運転手をずぅっとやっとったからな!ぶわはは!」
 そのわりには急発進や、急なブレーキ、荒っぽいハンドル捌きだったので、泰三は次第に気持ちが悪くなり、一刻も早く耳障りな声のするこの車から降りたかった。シワシワに向かって、喋ってないでちゃんと運転しろと言いたかったが、そうする気にさえなれなかった。首藤は大きな怪我はしていないようだが、相変わらず朦朧としていた。

「着きましたよお客さん。料金は5,480万円になります。なんて冗談ですよ冗談!ぶわはは!」

 シワシワが何やら冗談を言っていたようだが、泰三と首藤はそれを無視して、まるで何かから解き放たれるかのように車を降りた。

「ここがJi-Gの本部です。」
徐々に意識がはっきりしてきた首藤が歩きながら言う。外には警備員がまばらに見えるが、皆40代より若くは見えなかった。
 首藤は先に上官への報告を済ませてくるとのことなので、泰三はそのまま殺風景な廊下のようなところで待たされることになった。

「お待たせして申し訳ない。」
首藤が戻ってきた。次に、まずは準備をするということで、泰三は渡された軍服らしきものに着替えることになった。
「着替えました。」
「では、次は武器を…」

首藤は泰三を武器庫へと案内した。
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