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騎士への道
聖凰騎士団6
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「逃げやがったか……まだ、切り札も使ってねぇってのにな! それにしても……随分と女に好かれてる奴だな。気に入らねぇぜ!」
「逃げた……と言うより、目的が達成されたから帰っただけだろうな。我々には、端から用は無かったって事だ。それに、切り札を持っているのは向こうも同じだ。勝てたかどうかは分からんさ」
左の手の平に右の拳を打ち付けて悔しがるディルムッドを横目に、フィンは小さくなっていくアーサーの姿を目で追う。
お互いに、探り合いのような戦いだった。
だが、それでも相手の力量は測る事は出来る。
「まぁ、強ぇ事は間違いなさそうだな。俺達二人を相手に、あそこまで立ち回れるのは普通じゃねぇ……それに、後から出てきた美人騎士の実力もなかなかだし、あの可愛い顔した魔法使い……顔に似合わない、えげつない魔法を淡々と使いやがる」
「私のマック・ア・ルインの動きを止めた神器も気になるが……確かに、一瞬で人を死に導く魔法を躊躇いなく……我々が気付かない程で詠唱する魔法使いの存在は脅威だな。聖凰騎士団か……かなりの人材が集まってると考えた方がよさそうだ」
ディルムッドはフィンの言葉に頷くと、廃墟と化した町に目を向けた。
そこへ、一人の男が瓦礫を避けながら走り寄って来る。
「団長、ディルムッド様、ご無事で何よりです!」
「イェリクか……町は壊滅状態なのは分かるが、生存者は? 我々は、何名程の命を守れた?」
「はっ……それは……」
フィンの問いに、イェリクと呼ばれた騎士は歯切れの悪い返事をした。
「どうした? まさか、流石に全滅という事は無いのだろう?」
「はい……勿論、助かった人々はいます。しかし、妙な事が……」
イェリクは更に一歩フィン達に寄り、眉間に皺を寄せる。
「妙……とは?」
「その……町にいた奴隷が全員いなくなっているのです。そして奴隷を使っていた住人達は、根こそぎ殺されていました。助かっていたのは、奴隷を使っていなかった人々だけです」
イェリクの言葉を聞いたディルムッドは、ゲフィオンが言い放った台詞を思い出す。
「野蛮……ね。奴隷を使う事が、野蛮な行為って言いたかったのか? だが、奴隷として生かしてもらえる方が殺されるよりマシだと思うんだがな……奴隷解放する為に、どれだけの命を犠牲にしたと思ってやがんだ」
「まったくです! 我らフィアナ騎士も、数名の戦死者が出てしまっています。許せませんよ!」
ディルムッドの言葉に、イェリクが強い声で同意する。
「奴隷解放……奴らの狙いは、それだけなのか? ヨトゥンがミッドガルドに攻め込んでいる今、人間同士で争っている余裕なんて無い筈なんだがな……」
フィンは、崩壊した町を見て呟いた。
その瞳に、怒りを滲ませて……
「ほへー、本当に一瞬で移動してきちゃった……こりゃ、飛行機も新幹線も必要なくなる日も近いなー」
光が薄くなって周囲の景色がみえてくると、転移魔法陣の上に立っていた時の景色と明らかに違う事が分かる。
目の前に壁がある……それも、黒光りする頑丈そうな壁だ。
絵美は壁の上を見上げると、6メートル以上はありそうな場所に天井がある事が分かる。
つまり、少なくとも屋外から屋内へは移動した事は事実だ。
「でもさでもさ、確か転移ってベルヘイムの王様の神剣……確かジュワユーズって剣の能力じゃなかったっけ? あのマーリンって人、神剣持ってなくても神剣の力を使える凄い人なの?」
「それは……凄い魔導師ではあるけど、流石に持ってもない神剣の力を使える程ではないわ。それにしても、絵美さんは相変わらずですね」
絵美の質問の圧に少し圧されながら、ルナは答える。
「ルナ、喋っているなら先に行くぞ。ティア、助けた連中に住居を割り当ててやれ」
アーサーは出迎えに来ていたティアに指示を出すと、そのまま建物から出て行く。
その後を追うように、マーリンや一つ目の巨人、シェルクードや奴隷だった人々が続々と建物の外に出る。
「絵美さん、確かに転移はジュワユーズじゃないと出来ないわ。だからマーリン様は、ジュワユーズの力を使っているの。この床に描かれている魔法陣……これが人とヨトゥンが初めて戦った時に、ベルヘイム騎士団やフィアナ騎士団を大量に送り込んだ時の魔法陣……ジュワユーズの特性を初めて使った魔法陣なの」
ルナはその場にしゃがむと、青白く光が浮かぶ魔法陣を指で撫でた。
「なる。ってー事は、ジュワユーズで魔法陣を書けば、その力は誰でも使えるようになる訳だ。こりゃ、便利だねー」
「そう……便利なのよ。だから、ジュワユーズで描かれた魔法陣は二つしかない。ここと、ベルヘイム天空城の中だけ……だって、ここの魔法陣がヨトゥンの手に渡ったら、大量のヨトゥン軍がミッドガルドを襲って来る事になる。だから、この大地は黒い闇で覆われている。7国の騎士の一人……ゼークさんの先祖様の力によって……」
ルナが哀しそうな表情をしたのは一瞬だった……直ぐに立ち上がると、絵美と美羽に笑顔を見せる。
「ようこそ、私達の国へ! 私達の国は、人種や階級での差別は無いわ。ゆっくり見ていって、私達の国を……」
ルナに導かれるように、絵美と美羽は建物の外に出た。
そこには、巨人やヨトゥンや人が分け隔てなく生活している世界があった……
「逃げた……と言うより、目的が達成されたから帰っただけだろうな。我々には、端から用は無かったって事だ。それに、切り札を持っているのは向こうも同じだ。勝てたかどうかは分からんさ」
左の手の平に右の拳を打ち付けて悔しがるディルムッドを横目に、フィンは小さくなっていくアーサーの姿を目で追う。
お互いに、探り合いのような戦いだった。
だが、それでも相手の力量は測る事は出来る。
「まぁ、強ぇ事は間違いなさそうだな。俺達二人を相手に、あそこまで立ち回れるのは普通じゃねぇ……それに、後から出てきた美人騎士の実力もなかなかだし、あの可愛い顔した魔法使い……顔に似合わない、えげつない魔法を淡々と使いやがる」
「私のマック・ア・ルインの動きを止めた神器も気になるが……確かに、一瞬で人を死に導く魔法を躊躇いなく……我々が気付かない程で詠唱する魔法使いの存在は脅威だな。聖凰騎士団か……かなりの人材が集まってると考えた方がよさそうだ」
ディルムッドはフィンの言葉に頷くと、廃墟と化した町に目を向けた。
そこへ、一人の男が瓦礫を避けながら走り寄って来る。
「団長、ディルムッド様、ご無事で何よりです!」
「イェリクか……町は壊滅状態なのは分かるが、生存者は? 我々は、何名程の命を守れた?」
「はっ……それは……」
フィンの問いに、イェリクと呼ばれた騎士は歯切れの悪い返事をした。
「どうした? まさか、流石に全滅という事は無いのだろう?」
「はい……勿論、助かった人々はいます。しかし、妙な事が……」
イェリクは更に一歩フィン達に寄り、眉間に皺を寄せる。
「妙……とは?」
「その……町にいた奴隷が全員いなくなっているのです。そして奴隷を使っていた住人達は、根こそぎ殺されていました。助かっていたのは、奴隷を使っていなかった人々だけです」
イェリクの言葉を聞いたディルムッドは、ゲフィオンが言い放った台詞を思い出す。
「野蛮……ね。奴隷を使う事が、野蛮な行為って言いたかったのか? だが、奴隷として生かしてもらえる方が殺されるよりマシだと思うんだがな……奴隷解放する為に、どれだけの命を犠牲にしたと思ってやがんだ」
「まったくです! 我らフィアナ騎士も、数名の戦死者が出てしまっています。許せませんよ!」
ディルムッドの言葉に、イェリクが強い声で同意する。
「奴隷解放……奴らの狙いは、それだけなのか? ヨトゥンがミッドガルドに攻め込んでいる今、人間同士で争っている余裕なんて無い筈なんだがな……」
フィンは、崩壊した町を見て呟いた。
その瞳に、怒りを滲ませて……
「ほへー、本当に一瞬で移動してきちゃった……こりゃ、飛行機も新幹線も必要なくなる日も近いなー」
光が薄くなって周囲の景色がみえてくると、転移魔法陣の上に立っていた時の景色と明らかに違う事が分かる。
目の前に壁がある……それも、黒光りする頑丈そうな壁だ。
絵美は壁の上を見上げると、6メートル以上はありそうな場所に天井がある事が分かる。
つまり、少なくとも屋外から屋内へは移動した事は事実だ。
「でもさでもさ、確か転移ってベルヘイムの王様の神剣……確かジュワユーズって剣の能力じゃなかったっけ? あのマーリンって人、神剣持ってなくても神剣の力を使える凄い人なの?」
「それは……凄い魔導師ではあるけど、流石に持ってもない神剣の力を使える程ではないわ。それにしても、絵美さんは相変わらずですね」
絵美の質問の圧に少し圧されながら、ルナは答える。
「ルナ、喋っているなら先に行くぞ。ティア、助けた連中に住居を割り当ててやれ」
アーサーは出迎えに来ていたティアに指示を出すと、そのまま建物から出て行く。
その後を追うように、マーリンや一つ目の巨人、シェルクードや奴隷だった人々が続々と建物の外に出る。
「絵美さん、確かに転移はジュワユーズじゃないと出来ないわ。だからマーリン様は、ジュワユーズの力を使っているの。この床に描かれている魔法陣……これが人とヨトゥンが初めて戦った時に、ベルヘイム騎士団やフィアナ騎士団を大量に送り込んだ時の魔法陣……ジュワユーズの特性を初めて使った魔法陣なの」
ルナはその場にしゃがむと、青白く光が浮かぶ魔法陣を指で撫でた。
「なる。ってー事は、ジュワユーズで魔法陣を書けば、その力は誰でも使えるようになる訳だ。こりゃ、便利だねー」
「そう……便利なのよ。だから、ジュワユーズで描かれた魔法陣は二つしかない。ここと、ベルヘイム天空城の中だけ……だって、ここの魔法陣がヨトゥンの手に渡ったら、大量のヨトゥン軍がミッドガルドを襲って来る事になる。だから、この大地は黒い闇で覆われている。7国の騎士の一人……ゼークさんの先祖様の力によって……」
ルナが哀しそうな表情をしたのは一瞬だった……直ぐに立ち上がると、絵美と美羽に笑顔を見せる。
「ようこそ、私達の国へ! 私達の国は、人種や階級での差別は無いわ。ゆっくり見ていって、私達の国を……」
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