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騎士への道
王立ベルヘイム騎士養成学校8
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「アレナ! どうした? イヴァン、何が起きてる?」
女性の悲鳴……ただ事ではないアレナの声に、クスターは足を止めて振り向く。
嫌な予感がする……と同時に、イヴァンが守ってくれているだろうと思っていた。
しかし、クスターの瞳に信じられない光景が飛び込んでくる。
イヴァンの持つバスタード・ソードがアレナの腹部に深々と突き刺さっており、剣を伝って夥しい血が流れ……滴り落ちて大地を赤く染めていく。
「イヴァン……お前、何をやっている!」
「なんだ? 貴様には、ティルフィングの声が聞こえなかったのか? 我々の救世主たる神剣は、血を欲しておられる。女1人の命で神剣の封印が解かれるなら、こんなに安い代償はないだろ?」
イヴァンは細い目を更に細くし、口角が上がる。
笑っている……恋人の腹に剣を突き刺して、イヴァンは笑っていた。
「姉貴から剣を抜け! ふざけんじゃねーぞ!」
「小僧、黙ってな! ちゃんと抜いてやるから、安心して寝てろ」
飛び掛かったザハールをゴミでも払い除けるように弾くと、イヴァンはアレナを串刺しにしたまま炎の方を向く。
「ティルフィングよ……あなたの欲する血を供えます。炎の扉を開けて、我の前に姿を見せて下さい」
穏やかな声とは裏腹に、イヴァンは剣を引くと同時にアレナの身体を炎の壁に向かって蹴り飛ばした。
アレナの身体は人形のように……力無く、血を撒き散らしながら炎の壁に向かって飛び……炎の一部を消滅させる。
「イヴァン! 貴様、何をしているのか分かってるのか!」
閃光……一閃。
クスターの振り下ろしたバスタード・ソードは、思い切り大地を蹴って前転しながらティルフィングに向かうイヴァンを捉える事が出来なかった。
「クスター、残念だったな。これで、立場は逆転だ。これからは、貴様がオレに従う番だ」
「何を言っている? オレ達は友人だっただろ? 従うとかって、何を言ってるんだ?」
クスターの言葉を鼻で笑ったイヴァンは、その細い目でラトヴァラの兄弟を睨む。
「学内最強の男と、その妹と付き合っているだけの男……それだけでも、学内ではいい思いをさせてもらったよ。だがな……羨望の眼差しで見られるのは、いつも貴様だけ。オレの事を金魚のフンだと言う奴もいた。そんなオレを、いつも下に見ていただろ!」
「そんな事、思っている訳ないだろ! お前……そんな事だけで、アレナを刺したのか!」
赤い池の中で動かなくなった妹に近付きながら、クスターはバスタード・ソードを持つ手に力を込める。
「それだ……自分は最強だという自信に満ちた顔……その顔を、恐怖で染めてやる! 学内最強……いや、ベルヘイム最強の称号はオレのモノだ!」
イヴァンは大地に突き刺ったティルフィングの柄を掴み、力の限りで引き抜いた。
漆黒の刀身に、赤いルーン文字の不気味に光る。
イヴァンの身体の中にドス黒い感覚が流れていき、沸き上がる力が芽生え始めた。
「この力だ……Myth knightになれた者だけが感じられる力……来いよクスター、遊んでやる!」
「貴様は……オレを恨むのはいい! だが、貴様はアレナを愛していなかったのか? アレナは、貴様の事を本気で愛していたのに……」
イヴァンは笑うと、クスターとの距離を詰めてティルフィングを振る。
バスタード・ソードで斬撃を受け止めたクスターは、一撃で後方へ弾け飛んだ。
「愛していた? 冗談だろ? この女とは、自分のステータスを上げる為に付き合ってやってただけだ! 貴様の妹じゃなければ、見向きもしてないさ。ティルフィングを手に入れた今、地位も名誉も……それこそ、女もオレの思うままだ。こんな女、未練も無いな」
イヴァンはそう言うと、アレナの心臓にティルフィングを突き刺す。
ティルフィングの刀身は、その血を吸っているかのように……赤く輝くルーン文字が、更に赤く光を放つ。
「そうか……オレもアレナも、人を見る目が無かった……だが、一矢は報いてみせる。ザハール、お前は逃げろ!」
「ざけんじゃねぇ! オレだって戦える! それに、姉貴をあのままにしておけねぇ! あのクソ野郎に、唾の一つもぶっかけてやるぜ!」
クスターとザハールは、力強く立ち上がる。
死ぬかもしれない……そんな恐怖は、沸き上がるアドレナリンが消し去っていた。
「神剣相手に、立派な勇気だ……だが、邪魔が入ったな。いや……貴様達から敵討ちの機会を奪う絶好のチャンスか……」
イヴァンはそう言ってティルフィングをアレナの身体から引き抜くと、クスター達を無視して洞窟の入口の方角に向けて走り出す。
そして……クスター達がティルフィングを手に入れられるか確認をしに来た騎士5人を一瞬で斬り刻む。
軽々と鎧を斬り裂き、剣を粉々に砕き、騎士の身体を斬り裂いた。
血を浴びれば浴びる程ティルフィングは赤く輝き、その切れ味を増しているように見える。
笑いながら騎士を斬り刻むイヴァンの顔は、狂喜に狂っているようであった……
その後、イヴァンはティルフィングを手に入れた英雄としてベルヘイム騎士団に入隊する。
アレナはティルフィングの封印を解く為に……恋人の為に犠牲となり、後から来たクスターがアレナが倒れている事で勘違いをして、騎士達を後ろから斬り倒した……
そう……事実が捩曲げられる事になる。
クスターは無罪の罪を償う為に2年間も牢に入る事になるのだが、5人もの命を奪った刑にしては軽い……
その理由として、妹を突然失ったならば混乱し取り乱すのは当然……英雄イヴァンの口添えのおかげで2年で済んだ。
ティルフィングを手に入れる為に……恋人とベルヘイムの未来の為に命を投げ出した聖女アレナ……
恋人の想いを胸に、ティルフィングに認められベルヘイムの未来の為に戦うMyth knightイヴァン……
そして友人の罪を軽くする為に頭を下げて懇願するイヴァンの姿は、ベルヘイム国民の胸を打つ。
復讐も出来ない状況に陥ったクスターは、2年の刑期を終えた時には、昔の輝きを失っていた……
女性の悲鳴……ただ事ではないアレナの声に、クスターは足を止めて振り向く。
嫌な予感がする……と同時に、イヴァンが守ってくれているだろうと思っていた。
しかし、クスターの瞳に信じられない光景が飛び込んでくる。
イヴァンの持つバスタード・ソードがアレナの腹部に深々と突き刺さっており、剣を伝って夥しい血が流れ……滴り落ちて大地を赤く染めていく。
「イヴァン……お前、何をやっている!」
「なんだ? 貴様には、ティルフィングの声が聞こえなかったのか? 我々の救世主たる神剣は、血を欲しておられる。女1人の命で神剣の封印が解かれるなら、こんなに安い代償はないだろ?」
イヴァンは細い目を更に細くし、口角が上がる。
笑っている……恋人の腹に剣を突き刺して、イヴァンは笑っていた。
「姉貴から剣を抜け! ふざけんじゃねーぞ!」
「小僧、黙ってな! ちゃんと抜いてやるから、安心して寝てろ」
飛び掛かったザハールをゴミでも払い除けるように弾くと、イヴァンはアレナを串刺しにしたまま炎の方を向く。
「ティルフィングよ……あなたの欲する血を供えます。炎の扉を開けて、我の前に姿を見せて下さい」
穏やかな声とは裏腹に、イヴァンは剣を引くと同時にアレナの身体を炎の壁に向かって蹴り飛ばした。
アレナの身体は人形のように……力無く、血を撒き散らしながら炎の壁に向かって飛び……炎の一部を消滅させる。
「イヴァン! 貴様、何をしているのか分かってるのか!」
閃光……一閃。
クスターの振り下ろしたバスタード・ソードは、思い切り大地を蹴って前転しながらティルフィングに向かうイヴァンを捉える事が出来なかった。
「クスター、残念だったな。これで、立場は逆転だ。これからは、貴様がオレに従う番だ」
「何を言っている? オレ達は友人だっただろ? 従うとかって、何を言ってるんだ?」
クスターの言葉を鼻で笑ったイヴァンは、その細い目でラトヴァラの兄弟を睨む。
「学内最強の男と、その妹と付き合っているだけの男……それだけでも、学内ではいい思いをさせてもらったよ。だがな……羨望の眼差しで見られるのは、いつも貴様だけ。オレの事を金魚のフンだと言う奴もいた。そんなオレを、いつも下に見ていただろ!」
「そんな事、思っている訳ないだろ! お前……そんな事だけで、アレナを刺したのか!」
赤い池の中で動かなくなった妹に近付きながら、クスターはバスタード・ソードを持つ手に力を込める。
「それだ……自分は最強だという自信に満ちた顔……その顔を、恐怖で染めてやる! 学内最強……いや、ベルヘイム最強の称号はオレのモノだ!」
イヴァンは大地に突き刺ったティルフィングの柄を掴み、力の限りで引き抜いた。
漆黒の刀身に、赤いルーン文字の不気味に光る。
イヴァンの身体の中にドス黒い感覚が流れていき、沸き上がる力が芽生え始めた。
「この力だ……Myth knightになれた者だけが感じられる力……来いよクスター、遊んでやる!」
「貴様は……オレを恨むのはいい! だが、貴様はアレナを愛していなかったのか? アレナは、貴様の事を本気で愛していたのに……」
イヴァンは笑うと、クスターとの距離を詰めてティルフィングを振る。
バスタード・ソードで斬撃を受け止めたクスターは、一撃で後方へ弾け飛んだ。
「愛していた? 冗談だろ? この女とは、自分のステータスを上げる為に付き合ってやってただけだ! 貴様の妹じゃなければ、見向きもしてないさ。ティルフィングを手に入れた今、地位も名誉も……それこそ、女もオレの思うままだ。こんな女、未練も無いな」
イヴァンはそう言うと、アレナの心臓にティルフィングを突き刺す。
ティルフィングの刀身は、その血を吸っているかのように……赤く輝くルーン文字が、更に赤く光を放つ。
「そうか……オレもアレナも、人を見る目が無かった……だが、一矢は報いてみせる。ザハール、お前は逃げろ!」
「ざけんじゃねぇ! オレだって戦える! それに、姉貴をあのままにしておけねぇ! あのクソ野郎に、唾の一つもぶっかけてやるぜ!」
クスターとザハールは、力強く立ち上がる。
死ぬかもしれない……そんな恐怖は、沸き上がるアドレナリンが消し去っていた。
「神剣相手に、立派な勇気だ……だが、邪魔が入ったな。いや……貴様達から敵討ちの機会を奪う絶好のチャンスか……」
イヴァンはそう言ってティルフィングをアレナの身体から引き抜くと、クスター達を無視して洞窟の入口の方角に向けて走り出す。
そして……クスター達がティルフィングを手に入れられるか確認をしに来た騎士5人を一瞬で斬り刻む。
軽々と鎧を斬り裂き、剣を粉々に砕き、騎士の身体を斬り裂いた。
血を浴びれば浴びる程ティルフィングは赤く輝き、その切れ味を増しているように見える。
笑いながら騎士を斬り刻むイヴァンの顔は、狂喜に狂っているようであった……
その後、イヴァンはティルフィングを手に入れた英雄としてベルヘイム騎士団に入隊する。
アレナはティルフィングの封印を解く為に……恋人の為に犠牲となり、後から来たクスターがアレナが倒れている事で勘違いをして、騎士達を後ろから斬り倒した……
そう……事実が捩曲げられる事になる。
クスターは無罪の罪を償う為に2年間も牢に入る事になるのだが、5人もの命を奪った刑にしては軽い……
その理由として、妹を突然失ったならば混乱し取り乱すのは当然……英雄イヴァンの口添えのおかげで2年で済んだ。
ティルフィングを手に入れる為に……恋人とベルヘイムの未来の為に命を投げ出した聖女アレナ……
恋人の想いを胸に、ティルフィングに認められベルヘイムの未来の為に戦うMyth knightイヴァン……
そして友人の罪を軽くする為に頭を下げて懇願するイヴァンの姿は、ベルヘイム国民の胸を打つ。
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